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第一章・ホステス麻薬事件。6

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「は、はい。頑張ります」

 それよりも、とにかく今は働かないと。調査もだが、ここのバイト代もしっかり貰いたいし。せめて元を取ろうと意気込む。俺は、先輩の今井さんの指示のもとで働いた。
 ボーイは、お酒などを運んだりキャバ嬢の方達のサポートをするのが役目だ。
 店の全体を把握するには丁度いい。
 1日目は、目的の篠田正信って男は来なかった。
 明日は、来るだろうか? あ、そうだ。神崎さんにキャバ壌の人物を把握しろと言われていたのだった。
 俺は、慌てて片付けをしながらもキャバ壌の人数と名前を探った。その中でも怪しい人物は。掃除をするふりしてコソコソと様子を伺う。
 この中に赤薔薇会の仲間が居るかもと思うと誰もが怪しく見えてくるから不思議だ。ただ、どの人も華やかで綺麗な女性ばかりだった。
 自分も瀬戸さんと同じで、こういう場所は初めてだしモテる訳でもないので緊張してしまう。すると1人のキャバ壌が、誤って俺にぶつかってしまった。
 バシャッとトレイに乗せていたビールの残りが、かかってしまう。うっ、冷たい。

「ちょっと痛いじゃない。気をつけなさいよ!」

「あ、すみませんでした」

 俺は、慌てて頭を下げるとフンッとそっぽを向いて歩いて行ってしまった。ぶつかってきたのは、向こうなのに謝らないし凄い気が強い人だな。失礼な態度に少し不愉快になった。
 えっと……確かこの店の2番人気のマヤさんだったよな?
 派手な赤いドレスに明るい茶髪をくるくると巻いていて綺麗なのだが裏表がある感じで正直苦手なタイプだ。
 あぁ……コップは、落とさなかったからいいけど濡れちゃったな。
 着ていたワイシャツが濡れてしまった。するとハンカチをスッと差し出してくれる人物が。

「大丈夫? はい、これを使って」

「あ、ありがとうございます」

 ハンカチを貸してくれたのは、このお店でナンバー1のミキさんだった。
 うわぁー美人。他のキャバ壌と比べても別格の綺麗さだ。20代後半ぐらいだろうか。黒髪のストレートロングで立ち振る舞いが品が合って大人のお姉さんって感じだった。それに色っぽい。
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