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第七章・二人の絆。5

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 警戒しながら馬車の中から耳を傾けると
「ユリア、絶対にドアとカーテンを開けるなよ⁉ 貴様ら……何の用だ? そこを退け。我々は急いでいる」
 えっ? ドアもカーテンも開けるなってどういうこと⁉
 開けるなと言われたら開けたくなるものだ。私は驚きながらも、少しカーテンを開けて様子を伺う。どうやら黒いロングローブを羽織った連中に囲まれてしまったらしい。陛下が警戒をしながら叱り飛ばしていたが、盗賊達はクスクスと笑っていた。
 すると中心に同じ黒いロングローブを羽織った小柄の女性と白銀の髪の男性が姿を表した。誰……? でも……何処かで見覚えがあるような?
「やはりここで待ち伏せして正解だったわね。エミリオン帝国の極悪非道な皇帝と聞いていたから怖い顔を想像していたけど、思った以上にいい男じゃない。あの悪役令嬢……私の計画を潰しただけじゃなくて、またいい男を捕まえるなんてムカつくわね」
「貴様……確か、ユリアの婚約者を奪った男爵令嬢⁉」
 えっ……⁉
「あ~ら私の事を知っていらっしゃるの? フフッ……嬉しいわ。この世界のいい男は、全て私のモノだもの。せっかく王子をたぶらかして婚約破棄させたのに、王妃になる前に計画がバレちゃうんだもの。残念。でも、いいわ。私には助けてくれるギルトが居るし」
 ああ、そうだわ。彼女は男爵令嬢のセレアだわ⁉ 薄っすらと残っている元の持ち主の記憶を思い出す。婚約者である第一王子をたぶらかして、婚約破棄をさせた張本人。
 拉致されたはずの彼女が何故ここに⁉
「貴様は……拉致されたはずでは?」
 陛下も驚いていうが、ハハッと高笑いをしてくるセレア。
「拉致? 嫌だ……そんなの噓に決まっているじゃない。私は、彼……ギルト長のラルフに助けられてここに居るのよ」
 な、何ですって⁉ じゃあ、今回の騒動は全て彼女の計画だったと言うの?
「貴様は何が目的だ⁉」
 陛下が怒鳴りつけるとセレアの隣に居た男が彼女を守るように前に出てきた。この男がギルト長のラルフだろうか?
「やはりセレアの作戦通りだったな。問題を起こせばエミリオン帝国が動き出すと。国から出てしまえば兵も薄くなる。俺達は、これを狙っていた。悪いが皇帝陛下は、ここで死んでもらう」
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