憧れはすぐ側に

なめめ

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甘くて醒めない気持ち

29-11

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だけど、少しずつでもいいから律仁さんに触れられるようになりたい……。
暫くして、寝室に律仁さんが入ってくると、サイドテーブルに眼鏡を置いては布団の中に下半身を潜り込ませてきた。

「渉太、おやすみ」なんて頭をポンっと軽く叩かれては、腰をずらして横になろうとする律仁さんを渉太は咄嗟に腕を掴んで引き止める。

「あ、あの律仁さん……もう1回キスしてもいいですか?」

渉太がそう問いかけると律仁さんは返事などせずに口付けをしてくれた。
掴む左手に力が入る。
疲れているのに迷惑がられるかもしれないけど、もっと触れ合いたい……。

今度は先程より長いけど、渉太の求めているものとは違くて、凄くもどかしい。
もっと積極的にした方がいいのかと思って舌先を律仁さんの唇に沿わせようと当てたとき、律仁さんは慌てたように渉太の肩を押すと顔を真っ赤にして腕で唇を覆っていた。

「渉太……今日はやけに積極的だね。どうしたの?」
「どうしたって……」
「気持ちは嬉しいけど……これ以上したら俺が我慢できなくなる」

耳まで仄かに赤く染めているのが可愛いくて渉太の手は自然に律仁さんの髪を梳きあげていた。表に出るときはアイロンで伸ばしているのか、少し癖のある前髪はふわふわしていて触り心地がいい。

オマケにいい匂いがして、夢中になって触っていると律仁さんの耳朶はみるみるうちに血色づいていった。「今、渉太に触られるとヤバいって……」なんて困惑している律仁さん。いつもの仕返しのつもりで、そんなのはお構い無しに渉太は触り続けていた。

我慢に耐えきれなくなったのか、もう、「やめなさい」と撫でていた手首を掴まれると強く抱き寄せられる。律仁さんの胸に押し当てられた耳。心臓の音が五月蝿いくらい早く鳴っていた。
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