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チョーカ-

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第66話 Uberライガでござる その③

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『黒樹の主』 カカオトレント・ドローム

 植物系モンスター。いわゆるトレントと言われる種類のモンスターだ。

 上からは枝。 下からは根。 不規則な軌道の攻撃が飛んでくる。

 俺は、それらの攻撃を弾いて、前に─── 前に───

 急ぐ理由には、コイツの特徴的な攻撃にある。 だが、残念ながら間に合わなかったようだ。

 枝の上。 葉に紛れて隠されている小さな花。 

 そこからばら撒かれる黒い粉……花粉攻撃だ。

「ちっ! 見ているだけで、鼻と目から液体が出そうに……へっ! へっくしゅん!!!」

 状態異常を引き出す攻撃は俺には無効だ。 しかし、花粉は別だ。

 花粉症は、体を守るための免疫反応が過剰に起きてしまう症状だ。

『うわぁ、見てるだけで花粉症が発症しそう……』

『見てるだけで苦しくなる』

 視聴者たちも花粉症は悩みのようだ。 ここは早く討伐しないと同時視聴者数が減少してしまうかもしれない!

 けど───「へっ……クシュン!」

 「くぅ~ 目が痒い。鼻がかゆい! 何よりクシャミが止まらねぇ! だったら、切り札を使わせてもらうぜ!」

 切り札───普段の配信では封印している攻撃方法。
 
 すなわち、攻撃魔法の解禁だ! 

 『黒樹の主カカオトレント・ドローム』は、俺が涙で視力が下がっているのが分かっているのだろう。 ここぞとばかりに攻撃を開始してくる。

 枝と根の上下攻撃だけではない。 種も弾丸のように発射してくる。

 まるでマシンガンの速射力と貫通力───だが、俺は回避しながら詠唱を始める。

『この身は火種 この声が火薬 戦場に立てば 一瞬で火薬』

『灰になるまで魂に音を刻む 燃えろよ ! 俺の魔力!』

『炎獄崩壊《エクスプロージョン》』


 俺の腕から放たれた業火。 それは通常の威力ではない。

「周囲にばら撒かれた花粉が仇になるぜ。粉塵爆破ってやつだな」

 大盤振る舞いで降りかけている花粉に俺の攻撃魔法───炎が花粉に引火して─── その威力は、音と光を掻き消した。

 音と光が消えて、どのくらいの時間が経過したのだろうか?

「あー アー 耳が、ないなった鼓膜が戻って来た。視力も……うん、問題ないな」

『やり過ぎだよ! PC壊れたかと思ったわ!』

『鼓膜ないなった!』

『鼓膜をコンビニで買って来る!』  

 コメント欄では、クレームが流れて来る。 ま、まぁ、有名なゲーム監督も絶賛ばかりの作品よりも賛否がある方が良いって言ってるからなぁ……これで良し!

「さて、これで『黒樹の主』も倒せ───いや、まだいる!」

 周辺に巻き上がっている土煙。 それが消えるよりも早く、弾丸が撃ち込まれてきた。

「種! やはり、まだ生きてるぞ!」

 俺は撃たれた種を弾いて防御した。 やがて、土煙が晴れると───

「なるほど、根から大量の水分を吸収したのと、表面を天然の脂肪で燃えづらくしたのか。木のくせに頭が良いな」

 再び、俺の目前に出現した『黒樹の主』は葉が焼け落ち、枝も一部が炭化している。

 それでも、水分で全体的に膨らんでいて、表面は脂肪でテカテカ光っている。

「まぁ、それでも限界みたいだな……いや、植物系の再生能力で回復しているのか?」

 徐々に、焼け落ちた部分が再生している。

 う~ん、厄介なモンスターだ。 

 長期戦は面倒。もう、すぐにでも討伐しようか……いや、ダメだ。

「この状態で倒しても、目的の食材が手に入らないかもしれない」

 ぶっちゃけ、今回の目的は、コイツの種だ。 種を弾丸のように撃ち出しているが……

「うん、逃げ回って、逃げ回って、逃げ回って───」

 迫り来る連続攻撃を避けて、回復時間を稼ぐ。 

「うん、俺自身ではなく、敵の回復時間を稼ぐのは変な気分だぜ。けど───そろそろ十分かな?」

 俺は足を止めた。 そろそろインファイトで打ち合っても良い頃合いだろ?

 着火と防ぐために水分を急激に蓄えたためだろう。 動きが酷く鈍く感じる。

 接近戦に持ち込むのは容易だった。

「それじゃ……これで終わりだぜ!」

 最後のあがき……『黒樹の主』は攻撃を繰り出してきたが……もう力は残っていないみたいだ。

 拳撃を連続で打ち込む。 枝も、根も、幹も、全てが砕けていく音。

 そして『黒樹の主』は消滅していた。

「討伐成功! それじゃ、目的の食材は───あったぞ!」

 俺は地面に転がった食材を拾い上げた。 

 ラグビーボールのような形状。 堅い実……カカオポット。

 要するに、コイツから手に入る食材の正体は、カカオの実。 チョコレートの材料だ。

「まぁ、名前がだからな。手に入る食材もカカオ───やっぱり、ネタばれが過ぎるかな?」
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