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第69話 恐怖! 真夏のスイカに捕らわれた男 その② 

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「なんと言うか……夏! って感じだよな!」

 くし形切り。半月状にカットされたスイカを視聴者に見せる。

『間違いなく、本物のスイカ……だよな?』

『毒とか大丈夫なのか?』

『美味そう』

『いや、美味そうなのは……そう』

 コメント欄では半信半疑だ。 なんせ、種まきから10分でできたスイカだ。

 俺でも「大丈夫だ!」って食べれず、躊躇する。

 だが、いつまでも見ているだけじゃ意味がない。 俺は覚悟を決めて食べる事にした。

「よし……いただきます」

 口に運ぶと「しゃり…… しゃり……」と音がする。

「ん~ 甘っ! 糖度、高っ!」

 シャキシャキとした歯応え。果肉から大量の果汁が溢れ出ていく。 

 その果汁はジュースのような甘さだった。

「しゃり、しゃり、しゃり……ん、美味しい。 もぐもぐ……ごくごく……ふぅ」

 うん、スイカだ。 ちゃんとスイカの味だ! 

「よし、試してみたい事があったんだ」と俺は収納空間から塩を取り出した。

 スイカに塩をかけて食べる。 たまに漫画やアニメで見かける食べ方ではあるが……果たして、どんな変化が……

「あむ、あむ、あむ……ぱくぱく、ぱくぱく。あぁ~ 塩で甘味が感じやすくなるのかぁ」

美味い。 ついつい、2つ目に手が伸びてします。

「俺は高級スイカを食べる機会に恵まれなかったが、高いスイカってこんな感じなのかもしれない!」

「いけない、いけない」と3つ目に伸ばした手を止めた。 

 このままじゃ食べるだけになってしまう。 今回の目的は食べる事ではなかったはずだ!
 
 俺は畑を見る。 今もポコポコとスイカが生まれている。 

「うん、これは収穫しないと……もったいないよな?」

 俺はスイカを持ち上げる。 

 想像していたよりも重い。 ずっしりとした重さだ。

 確か、スイカは5キロから8キロくらいの重さ。 けれでも球体の形状が持ちにくく、数字以上の重さを感じる。

「おぉ! 豊作! 豊作! こんなに実が詰まって成ってくれて感謝、感謝!」

 ツタから切り取ったスイカを、どんどん収納空間に入れていく。 

「1個5000円で売れるとして……既に5万円! すげぇ、畑で金が取れるような感覚になってきた」

『あかん、スイカの魅力に囚われてしまった』

『くっくっく……気づいてしまったな。スイカの魅力に!』

『ちなみ、これを市場に流すの合法?』

『個人経営の店に買ってもらうのはあり……じゃない? 知らんけど』

 うむ、なるほど。コメントが参考になる。確かに、これを金に換える場所も必要だな。 

「……たけプロのグッズとして売れないかな?(ボソ」

『うわぁ! ガチだ!』

『ガチで儲けを考えているぞ!』

『社長! たけし社長止めてあげて!』

「こらこら、社長の名前を出すのは卑怯だぞ」

 そんなやり取りをしていると1時間経過。 取れたスイカの総数は───

「100個か。1つ5000円で……50万円ってマジかぁ!」

 時給50万円。 そんな仕事が、この世の中にあったなんて! へっ、世界もまだまだ捨てたもんじゃないな!

 しかし、このペースを維持したら市場が混乱しないか?

 まぁ、日本が食料自給率が低いから大丈夫なはず!(酪農家が家族親族友達に収穫物を配っているため、正確なデータがでないって説は無視しよう!)

 俺は、さらにスイカを収穫する手を早めた。

『あかん、ライガの目が金になってる』

『さっきから、気合の叫び声しか出さなくなったぞ』

『ライガを、ライガを解放させよ!』

 うんうん、わかるよ。視聴者のみんな。

 スイカを収穫してる画面だけじゃつまらないよね? 取れ高ないよね?

 でもね───

「うおぉぉぉ! スイカを収穫する手が止めれないだけど!」

 俺は収穫する手を休めなかった。

「・・・・・・そう言えば、事前にスイカ料理について調べてきたんだけど」

『うわぁ! 急に正気になるな!』

『しゃべったあああああああ!』

『さっきまで、雄叫びしか出してなかったのに!』

「まぁまぁ・・・・・・変わった料理だとスイカ大福ってあるみたいだな。ちょっと、興味があるぜ」

 作れるかな? 中身がスイカなだけで、要は大福だから、できないこともないと思うが・・・・・・

「あれ?」とそんな時だった。 ポケットに入れていた端末が震えた。

「ん? 配信中にスマホは切ってるから・・・・・・ダンジョン用の端末か?」

 ダンジョンに潜るとき、入り口で専用の端末を渡される。 緊急時の連絡用端末だ。

 いや、後ろで撮影しているドローンにも同じ機能があるので、統一してくれればいいのに・・・・・・ 

「悪い、ダンジョン庁からの緊急通話だ。少し、音量を消すぜ」

『OK 把握』

『待ってます!』

『いってらっしゃい!』 

「ほい! 音量はミュートでOK! もしもし、獅童ライガ・・・・・・いえ、黒瀬大河です」

「配信中、申し訳ありません。 実はダンジョンの魔力、魔素の動きがライガさんのいる場所に集中しています。何か心当たりはございませんか?」

「心当たり・・・・・・なんだろ? わからないなぁ」と俺はスイカ畑をみた。

 ぼこぼことスイカが涌き出ている。 異常事態だが、これが原因ではないはず・・・・・・

 はずだよな?

「わかりました。その場所は危険なので、すぐに移動をお願いします」

「・・・・・・わかりました」と通話を切る。さて、どうしたものか?

 俺は改めてスイカ畑を観察する。 すると───

「あれ? 何かがスイカの中に隠れているぞ。これはもしかして・・・・・・モンスターか!」

 スイカの1玉に目と鼻と口があった。 まるでハロウィンのカボチャみたいだ。

 突如として出現したスイカのモンスター。 いきなり俺に襲いかかってきた。


 
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