VTuberでもできるダンジョン配信!

チョーカ-

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第86話 お好み焼き対決 その2

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 さて、お好み焼きはお好み焼きである。

 お好み焼きに広島風も関西風も存在しない。 

 まして……広島焼き? 大阪焼き? 舐めているのか?

 それが赤崎フユカあらためお好み焼き警察の主張である。

 ───とは言え、広島のお好み焼きと関西のお好み焼き、それぞれの特徴は存在している。

 広島。 薄めの生地に、キャベツなどの具材を多く重ねて、麺を加える。
 
 関西。 厚めの生地。最初から生地に、具材を入れて焼いて行く。

 もしかしたら、異論もあるかもしれないが、簡単に特徴を説明すれば、こんな感じである。

「でも、関西風と広島風のお好み焼きを作って勝負する企画なのよね? それじゃ、最初から違う種類のお好み焼きって認める事になるのではないかしら?」

 再び、たけし社長の言葉でスタジオの空気が凍り付いた。

「誰だ! 社長をゲストに呼んだやつは! 問題発言しかしないぞ。企画が破壊されてしまう!」 

 そんな騒動がありながら、社長は『喋りません』とマスクを付けられた。

 料理の審査まで言葉を発することは禁止の強制ミュート状態って感じだ!

「はい、あらためまして 私、赤崎フユカと獅堂ライガはお好み焼き対決をします。日本に……いえ、世界に正しいお好み焼きの姿を見せつけるために、フユカは絶対に負けません!」

 フユカ先輩の次、俺も意気込みを聞かれて───

「思想が強い! えっと……俺の失言からこうなったので、言動に気をつけて配信していきます!」

 ルール説明。 

 赤崎フユカ先輩は、地元である広島のお好み焼きを再現。

 俺は関西のお好み焼きを再現。 どちらが美味いのか、ゲスト審査員の3人───阿波先輩、オルネ、たけし社長に審査してもらう企画だ。

 ちなみに、俺はダンジョン産の食材は禁止。

 それじゃ、関西のお好み焼きではなくダンジョン産のお好み焼きになっちゃうからな。

 使える食材は、スタジオ内に用意された物のみ!

「それじゃ、料理スタートです!」とフユカ先輩のかけ声で始まった。

「関西の特徴は生地のふんわり感だよな……と言うわけで、1時間前から昆布を弱火で茹でた出汁がこちらになります!」

 コメントでは───

『良いのか? それ!』 

『3分クッキングみたいな真似を!』

『なっ! 卑怯な!』

「まぁ、ぶっちゃけネタ企画なので……」

 関西人でも何でもない俺が、関西風を作っている時点でお察しだろう。

 「出汁を生地に混ぜて、さらに山芋を投入!」

 それから、フユカ先輩の様子を見る。 彼女は「ニヤリ」と余裕たっぷりに笑っていた。 

 調理用に用意された巨大な鉄板。 すでに生地を引いて……大量のキャベツを乗せている。

 インパクトは十分だ。 配信映えもしているみたいだぞ!

 さらに豚肉を乗せている。 やがて、具材の全てを乗せ終えると───

「とう!」とかけ声でひっくり返すとドヤ顔を披露している。

「しまった」と俺は失敗を感じた。 お好み焼きは、奥が深いとは言えシンプルな料理である。

 パフォーマンスで言えば、生地に肉とキャベツを混ぜた俺は……焼くだけしかできない。

「できない……何もパフォーマンスが……!」

「くっくっく……罠にかかったなライガ後輩。料理対決には、調理中にパフォーマンスは必要不可欠な要素。なぜなら、フユカたちは配信者なのだから!」

 配信者として、正論だ! 視聴者を楽しませる事を忘れた時点で俺に勝ち目は───

 俺は悔やみながら、ソースに青のりと鰹節……細くマヨネーズを使って完成させた。

「それでは先行であるライガくんのお好み焼きを食べてください」

「おぉ」とまずは阿波先輩が関心するような声。

「生地がふっくらしてるで。地元のお好み焼きを思い出すで!」

「いや、お前は関西人ではない! でも、美味しいわね。これが関西風?」

「ライガの手料理……ライガの手料理……」

 ん? なんか1人……同期が強火なファンみたいになっているような……気のせいだな。うん!

 不安だったが、評判は悪くない。 もしかしたら、勝てるかも───

「それじゃ、次はフユカのお好み焼きを食べるんじゃぞ!」

 ドーン! ボリュームたっぷりのお好み焼き。

 並々に盛られたキャベツ。さらにソバが山盛りに乗っている。

 しかし、みんなの反応は良くなかった。

「お、おう……」    
   
「あ、あれ? どうしたのかな、みんな? 何か悪い所が?」

「あ、あのフユカ先輩……」

 阿波先輩とオルネが言い難そうになっている。

 たけし社長は「うん、仕方がないなぁ」と口火を切った。

「私たちは女子なので、お好み焼き1枚でお腹いっぱいになるのよね」

「───な、なんてこった! 企画倒れじゃ!」

 フユカ先輩は泡を吹いて倒れそうになってしまった。

「くっ! 審査員にたくさん食べそうな面子を用意したのに、これは誤算!?」

 「それって私たちが太って見えるってこと?」

 審査員の女子たちからブーイングを浴びながら、フユカ先輩は───

「仕方がないね。このお好み焼きは私たち2人で食べよう」

 仲良く食べて配信は終わった。 ん? もしかして、フユカ先輩ってお好み焼きを食べたかっただけじゃ? 
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