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3話 俺と私のイメチェン大作戦①
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「お嬢様!!またそのままのお洋服でお休みになられたのですね!?」
ハイ。朝から怒られてるのは俺です。アンリエッタです。
昨日の件があってそのままベッドにダイブしてしまった為、服もそのまま寝ました。
そんな感じで俺を起こしに来たメイド長、セイラにめっちゃ叱られてます。
「ご自分で『もう17歳なのだから、普段の着替えくらいは一人でできます』と仰ったのはお嬢様自身ですよ!?」
「ご…ごめんなさいね…セイラ…あの後も少し眩暈があったのでそのまま休んでしまったの…」
昨日の事を言い訳にすると、セイラの隣でセイラの怒りが静まるまで待機していたユーリンがカッと目を見開いた。
「だから大丈夫ですか?と申し上げましたのに!!!」
いやん。寝た子起こしちゃった。
「ごめんなさい…心配を「心配を掛けたくなかったのは存じております!!ですが、私達もお嬢様が無理をされる方が辛いんですよ!?」
俺の言葉をユーリンが遮ると、セイラがそっと俺の額に手を置いた。
「熱はないようですね…ですが、無理は禁物ですよ。本日のご予定は、午前中にダンス。
午後は外国語とテーブルマナーの先生がいらっしゃる予定でしたが、念の為、今日は全てキャンセル致します」
「ありがとう。ごめんなさいね」
「だからと言って、遊びに行ったりはダメですからね。あと私達はアンリエッタ様の側使えです。お謝りにならないでくださいまし」
厳しくも優しいセイラは今年で33歳になる。
漆黒の髪を綺麗に撫で付けて後ろで纏めており、瞳も髪と同じく黒色。
前のメイド長の娘で、15の頃から当家に仕えてくれている頼もしい存在だ。
メイド長なので他の仕事もあるはずなのに、小さい頃から面倒を見て貰っていたせいか、何かとアンリエッタの世話を焼いてくれている。
セイラ本人には恥ずかしくて言えないが、第二の母と思うくらい慕っていたりもする。
そして、俺がお兄様に…と言うか男に転生していたなら、絶対嫁にしたいくらいの女性だ。
さて。思いもかけずに今日はお休みになったわけだが。
俺の記憶が確かなら、ゲーム内のサラとアンリエッタが出会うのは今日だったはず。
午後のテーブルマナーの先生が来る直前に屋敷を抜け出して街に一人で散策に行ったアンリエッタが人攫いに会う。
そしてそこでサラに出会い、サラに手を引かれて人攫いから逃げ出す。
…はずなんだけど、まずテーブルマナーの授業無くなったし?
出かけんなって言われたし?
コレ、すでにフラグ折れたんじゃね?
一人で散策にさえ出なければ人攫いにも会わないだろうし。
よし!神は俺に味方した!!
「そういえば、今日はアラン様もお勤めがお休みだそうですよ」
セイラが俺の着替えを出しながら言うと、ユーリンが備え付けの小部屋からバスタオルを腕に掛けた状態で出てくる。
「お湯の準備が整っております。
朝食もございますし、さっと汗だけ流されては如何ですか?」
「ありがとう。そうするわね」
流石に公爵令嬢が汗臭いのはいろんな意味でマズイ。
それじゃなくても昨日倒れて冷や汗とかかいたのにそのまま寝てしまったから、湯浴みなんてしていない。
準備をしてくれたユーリンにお礼を言って、ユーリンの出てきた小部屋に向かう。
俺の部屋は廊下から入って正面が大きな窓。
左側に天蓋付きの大きなベッドがあり、その奥に服を仕舞っているクローゼットがある。
クローゼットと言っても、流石金持ちというか…クローゼットだけで20畳はありそうな広いスペースだ。
まぁ部屋はもっと広いんだけど。
そのクローゼットのドアの隣にもう一つドアがあり、そこを開けるとさっきのユーリンが出てきた小部屋になる。
8畳くらいの小部屋に入ると、足元は平らな石を並べて出来た石床に、小さな猫足付きのユニットバスが置いてあり、そこで簡単な湯浴みができるようになっている。
もちろんシャワーなんかは無いし、風呂釜なんていうのもないから入るにはお湯を大量に沸かして浴槽に入れなくてはいけない。
この浴室はアンリエッタ専用で浴槽が小さいから湯量も少なくてすむからまだマシな方だけど、大浴場はかなりな湯量を使うから金持ちは『風呂番』という風呂だけの為の仕事をする人を雇ったりする。
そんな『お湯を入れる』という大変な作業だが、ここはアンリエッタの私室。
もちろん、風呂番を部屋に入れるわけにはいかず、この部屋の浴室を使うとなると、ユーリン率いるアンリエッタ専属メイド部隊がやらなくてはいけないわけで…
記憶が戻った(元)男としては、か弱い女性達にそんな力仕事をさせたのが申し訳なくなってくる…今度から、みんなの手を煩わせないよう大浴場に入る事にしよう…
ハイ。朝から怒られてるのは俺です。アンリエッタです。
昨日の件があってそのままベッドにダイブしてしまった為、服もそのまま寝ました。
そんな感じで俺を起こしに来たメイド長、セイラにめっちゃ叱られてます。
「ご自分で『もう17歳なのだから、普段の着替えくらいは一人でできます』と仰ったのはお嬢様自身ですよ!?」
「ご…ごめんなさいね…セイラ…あの後も少し眩暈があったのでそのまま休んでしまったの…」
昨日の事を言い訳にすると、セイラの隣でセイラの怒りが静まるまで待機していたユーリンがカッと目を見開いた。
「だから大丈夫ですか?と申し上げましたのに!!!」
いやん。寝た子起こしちゃった。
「ごめんなさい…心配を「心配を掛けたくなかったのは存じております!!ですが、私達もお嬢様が無理をされる方が辛いんですよ!?」
俺の言葉をユーリンが遮ると、セイラがそっと俺の額に手を置いた。
「熱はないようですね…ですが、無理は禁物ですよ。本日のご予定は、午前中にダンス。
午後は外国語とテーブルマナーの先生がいらっしゃる予定でしたが、念の為、今日は全てキャンセル致します」
「ありがとう。ごめんなさいね」
「だからと言って、遊びに行ったりはダメですからね。あと私達はアンリエッタ様の側使えです。お謝りにならないでくださいまし」
厳しくも優しいセイラは今年で33歳になる。
漆黒の髪を綺麗に撫で付けて後ろで纏めており、瞳も髪と同じく黒色。
前のメイド長の娘で、15の頃から当家に仕えてくれている頼もしい存在だ。
メイド長なので他の仕事もあるはずなのに、小さい頃から面倒を見て貰っていたせいか、何かとアンリエッタの世話を焼いてくれている。
セイラ本人には恥ずかしくて言えないが、第二の母と思うくらい慕っていたりもする。
そして、俺がお兄様に…と言うか男に転生していたなら、絶対嫁にしたいくらいの女性だ。
さて。思いもかけずに今日はお休みになったわけだが。
俺の記憶が確かなら、ゲーム内のサラとアンリエッタが出会うのは今日だったはず。
午後のテーブルマナーの先生が来る直前に屋敷を抜け出して街に一人で散策に行ったアンリエッタが人攫いに会う。
そしてそこでサラに出会い、サラに手を引かれて人攫いから逃げ出す。
…はずなんだけど、まずテーブルマナーの授業無くなったし?
出かけんなって言われたし?
コレ、すでにフラグ折れたんじゃね?
一人で散策にさえ出なければ人攫いにも会わないだろうし。
よし!神は俺に味方した!!
「そういえば、今日はアラン様もお勤めがお休みだそうですよ」
セイラが俺の着替えを出しながら言うと、ユーリンが備え付けの小部屋からバスタオルを腕に掛けた状態で出てくる。
「お湯の準備が整っております。
朝食もございますし、さっと汗だけ流されては如何ですか?」
「ありがとう。そうするわね」
流石に公爵令嬢が汗臭いのはいろんな意味でマズイ。
それじゃなくても昨日倒れて冷や汗とかかいたのにそのまま寝てしまったから、湯浴みなんてしていない。
準備をしてくれたユーリンにお礼を言って、ユーリンの出てきた小部屋に向かう。
俺の部屋は廊下から入って正面が大きな窓。
左側に天蓋付きの大きなベッドがあり、その奥に服を仕舞っているクローゼットがある。
クローゼットと言っても、流石金持ちというか…クローゼットだけで20畳はありそうな広いスペースだ。
まぁ部屋はもっと広いんだけど。
そのクローゼットのドアの隣にもう一つドアがあり、そこを開けるとさっきのユーリンが出てきた小部屋になる。
8畳くらいの小部屋に入ると、足元は平らな石を並べて出来た石床に、小さな猫足付きのユニットバスが置いてあり、そこで簡単な湯浴みができるようになっている。
もちろんシャワーなんかは無いし、風呂釜なんていうのもないから入るにはお湯を大量に沸かして浴槽に入れなくてはいけない。
この浴室はアンリエッタ専用で浴槽が小さいから湯量も少なくてすむからまだマシな方だけど、大浴場はかなりな湯量を使うから金持ちは『風呂番』という風呂だけの為の仕事をする人を雇ったりする。
そんな『お湯を入れる』という大変な作業だが、ここはアンリエッタの私室。
もちろん、風呂番を部屋に入れるわけにはいかず、この部屋の浴室を使うとなると、ユーリン率いるアンリエッタ専属メイド部隊がやらなくてはいけないわけで…
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