ローランの歌

ー結歌ー

311.

正義はここに成就した。シャルル帝はついに多年にわたる御懸念を散ぜられた。ブラミモンドの改宗が済んだ日の夜、帝は丸天井の寝室でしばしの満足を味わいながら、御休みの床に入られた。

天使ガブリエルが現れたのは、ちょうどその時だった。「シャルルよ、いますぐ帝国の軍勢を整えて、ビィルの浜辺に急行されよ！インフの街が危ない、キリストの信者ヴィヴィアン王を救援するのだ。城市ははや異教徒に包囲され、閉じ込められた民たちがそなたの援けを待っているぞ！」

いま帰り着いたところを、またしても出陣とは！御心は重く、目には涙、白髭を掻かきたもうて、ようよう御一言あった。

「さても、さてものう……わが治世のなんと苦しみばかり多いことか……！」


　――テュロルドの編ぜし歌は、これでお仕舞い――