転生戦争 ~世界を転生させるための冴えた方法~

黒森 徹@天才SFロボット作家

文字の大きさ
10 / 11

第10話 僕はヒーローになれない

しおりを挟む
 あの時、義経は何て言っていたのだろう。
 向日葵を追いかけながら、そのことばかり気にしていた。
 屋上から立ち去る時、彼女の声は聞こえなかったが、確かにこう言っていたような気がした。

 クウによろしく———。

 義経の唇の形は、確かにそう言っていた。

「…………だから、何なんだよ。クウって」

 不気味だった。

 『クウちゃんに宜しく』

 先日、バスの中で会ったゴスロリのお姉さんもそんなことを言っていた。
 あの人だけではなく、身近な義経も同じことを言った。

「勘違いだと……思いたいけど……」
「アハハハハハハ……! 本当にこいつずっと笑ってんなぁ!」

 そんなことを思っていると遠くから声が聞こえた。 
 荼毘の声だ。
 その後に男の笑い声も聞こえる。
 追いついた。
 昔からこの街に住んでいたので、高校生の行動範囲や行動パターンは大体わかる。その高校生が昔馴染みなら尚更だ。
 僕等の街には大きな湖に面した公園があり、自然豊かで広い敷地のランニングコースのあるその公園は、散歩を日課にする高齢者や、金のない中高生の集まる場所として認識されている。
 ただの下校でもせっかくなら遊んで帰りたい。友達が一緒にいるのなら尚更。
 そういう感情を持った中高生は素直に帰らずに大抵この場所に一度寄る。
 声が聞こえた方へ僕は走る。
 ダンダンダンと朽ちた木の板でできた通路を踏み鳴らしていく。
 この公園には湖に訪れる野鳥を観察するための観察小屋がある。それはぬかるんだ沼地の上に作られ、人が沼に足をとられないように、その上に木組みの橋を作り、湖の上にはみ出した観察小屋まで続いていく。
 その観察小屋を使う野鳥の会の人は大抵朝、多くの人が起きる前に使っており、優雅になるとほぼ誰も来ない。
そうなると人目をはばかることをやたらとしたがる、荼毘たちのような連中のたまり場になる。

「ハハハッ! こんなことされても笑うなんて頭おかしいんじゃねぇのか⁉」

 やっぱり荼毘は小屋にいた。
 そこにニコニコと笑っている向日葵もいた。
 裸だった。
 その姿を見た瞬間に、僕はものすごい失望感に襲われた。

「えへ、えへ、えへへ……ッ!」

 四つん這いで、媚びを売るように向日葵は笑っていた。
 まるで犬が主人に下を出して餌を求めるかのように。
 流石に完全な裸ではなく白い下着を身に着けていたが、それ以外の服と呼べるものは身にまとっていない。
 服とは呼べない赤いリードのついた首輪なら、その首にハマっていたが。

「あ? なにこいつ?」

 リードの先を持っているのはボーズ頭の長身の男。

「荼毘の高校の制服きてっけど。友達? 一緒に犬の〝調教〟に参加すんの?」

 ギャハハハとそのボーズ頭は嗤う。

「……ッ⁉ 三蔵どうしてここに⁉」

 僕を見ると向日葵は顔を青くし、自らの身体を抱いた。

「お、何やってんの? 今更恥ずかしがってんじゃねぇよ」

 ボーズ頭が向日葵の手を掴んで、その体から手を引きはがす。

「犬なんだから、人様の前で恥ずかしがってんじゃねえよ。オラ!」

 そして乱暴に床に投げ飛ばすと、向日葵は尻を突き出した姿勢で倒れ、「ギャン」と鳴いた。更にボーズ頭はその尻を足蹴にし、

「お前は犬なんだから! キャンキャン鳴いてろよ!」
「…………ウゥ、キャ……きゃん」

 顔を真っ赤にして涙目になりながらも向日葵は鳴く。
 だが、ボーズ頭は満足せずにぐりぐりと彼女の尻を乱暴に踏みにじり、「声が小さい! もっとはっきりと大きな声で返事をするようにって先生から習わなかったのか⁉」と怒鳴りつける。

「キャン! キャン……‼ キャン……‼」

 向日葵の赤く染まった頬には涙が伝っていた。
 申し訳ない気持ちになった。
 彼女はこの姿だけは僕には見られたくなかった牢に。

「……何をしているんだ?」
「何って、聞こえなかった? 調教だけど? 頭がクソ悪い犬に人間社会を教えてやってんの」
「人が人に〝調教〟なんてやっていいと思っているのか?」
「人が人にじゃねぇよ。人が犬に……だよ。こいつ頭悪すぎて学校の成績も下の方だし、話すことも一々ずれてるからさ。みんなから嫌われてんだよ。そのくせ体はいいから、犬としてなら人間社会で生きていけるだろ? だから、こうやって大人の世界で生きて行けるようにしてんの。俺らってやっさし~!」

 そして、ギャハハハと笑いが起きる。
 荼毘が笑う。 
 氷雨も、卑屈に口元を歪めていた。

「もういい、警察に通報します」

 僕が携帯を取り出すと、ボーズ頭の目がギラリと光り、向日葵が「やめっ」と声を漏らした。

「通報? やれるもんならやってみろ。全部話すぞ」
「……どういう意味ですか?」

 ボーズが下卑た笑いを浮かべ、向日葵の首ひもを引っ張った。

「こいつが主演している動画。いくつもネットにアップしてんだよ」

 また、ギャハハハと笑い声が起きた。
 僕は、頭が破裂しそうになった。
 〝主演している動画〟。今、裸で犬のように首輪をはめられている少女が〝主演している動画〟この状況でその意味が分からないわけがない。

「あ~あ~、言っちゃおうかなぁ……ネットで何十万も再生されてるあの調教動画。顔は隠しているけどこいつだって。ぜ~んぶ言いふらしちゃおっかなぁ? あの裸で走り回っているいじめの動画も。あ、いじめって言っちゃった! ギャハハハッ!」
「…………もういい!」

 これ以上は聞くに堪えられないと思い、スマホの画面をタップし始める。

「警察に言ってみろ! ちゃんとこっちにはこんな動画も録ってるんだ!」

 ボーズ頭が自分のスマホの画面を僕に見せつけてきた。
 夜の街の動画。
 ピンク色の照明に彩られた怪しいラブホテル街の風景。

『ど、どうも……こんにちは……デス。私の名前は縁尾向日葵と言いますデス……!』

 登場人物は、たった一人———全裸の向日葵だけだ。
 動画に写っている彼女は、完全な生まれたままの姿だった。両腕を上げさせられ、頭の後ろで組み、下品に股を広げさせられている。
 完全にさせられていた。
 映っているのは向日葵一人だけだが、カメラの後ろで『ハハハハ、〝ますデス〟ってなんだよ!』と言っているボーズ頭の声が収録されている。
『こ、これから向日葵は知らないおじさんに抱かれて、抱かれて……抱かれてきマ~ス♪ みんなも向日葵を街で見かけたら、遠慮なく抱いてくださいネ~♪』
 向日葵は笑顔だった。
 目に涙をためた笑顔をカメラに向けていた。

『向日葵は完全完璧ビッチでエッチな女の子なんデス……~♪ 私とヤッても全部合意だから気にしないで下サ~イ……♪ く~だ……サ~イ……』
『おい、セリフが違うだろ! 最後は歌って占めるってちゃんと言っただろ! 歌えよ!』
『…………でも』 
『歌え』
『……遠慮しないで、く~だサ~イ……♪ ズッコバッコズッコバッコし~ましょ♪ 遠慮はしないでズッコン、バッコ、』

 僕は奴のスマホに向かって飛びついた。
 そのあまりにもひどい歌と踊りの動画を、これ以上見るのは耐えられなくなった。

「おっと」

 彼のスマホを奪い取って、地面に叩きつけてやろうとしたが、憎々しくボーズ頭はひらりと身を躱す。
 ガツン……ッ!
 頭に衝撃を受けた。
 後頭部を殴られた。
 振り返ると下卑た笑いを浮かべたピアスをした男が肘で僕の頭を殴っていた。

「へへへ……おい、みんなけれ!」

 みんな、けれ……?
 今、気が付いた。
 この小屋にはたくさんの男がいた。
 ボーズ頭の他にも、制服を着崩した、髪を染めた男たちが何人も。そいつらが寄ってたかって向日葵を辱めていたのだ。

 ドカ、ドカ、ドカ……ッ!

 そんなことを考えながら、僕は蹴られる。踏みつけられる。
 ただの土くれのように。
 なにもできずにそんなに体格の良くない、細い男たちに踏みつけにされる。
 東京に行って、実は僕は体を鍛えていた。
 視界に入った人間だけは助けられるように。
 そして、実際何か起きたら例え相手が何人いようと勝てるように、ずっと体を鍛えていた。
 だけど、現実は違う。
 僕を足蹴にしている彼らは明らかに僕よりも貧相な体格をしていた。
 それでも、僕は動くことができない。
 四方八方から跳んでくる蹴りの衝撃に、痛みに耐えられず、この朽ちた木板の床を這いつくばっていくことしかできない。痛みを押さえて立ち上がろうとしても、それを遮るほどの強い衝撃がすぐに襲ってきて、そこに意識を向けるとまた全く違う方向から衝撃をもたらされる。
 一対多がこんなに絶望的なものだとは思わなかった。
 まったく対応できない。
 まるで三百六十度、全方位からの銃撃に晒されているような。そんな絶対的な差があった。
 戦いは本当に数だ。
 無双なんてできない。
 どんな雑魚でも集まって一つのことをすれば、どんな一人の強者にでも勝つことができるのだ。 
 どうしてその集団の力を、こんな穢れたことにしか使えないのか……。

「……やめ、ろ。これ以上……は……!」

 震える手をボーズ頭に伸ばした。

「……? おいやめろ。なんか言ってるぞそいつ」

 ボーズ頭が指示をすると、ピタリと他の奴らが蹴るのを辞めた。

「……め、ろ」

 口の中が切れて、頬が腫れ、上手く言葉が出ない。
 フガフガとした情けない言葉さえ漏れてしまう。
 それがおかしかったのか、プッとボーズ頭が噴き出す。
 そして、つられるように周りに奴らもギャハハハと笑いだす。

「こ、るぇ……いじょ、は……」
「ハハハハハ……! みんなちょっと待って⁉ コイツ何か言ってる! 静かにしようよみんな!」 

 ボーズ頭は心の底から楽しんでいるようで甲高い声でふざけたことをのたまう。
 その声を聴くだけで頭に血が上って、言おうとしたことを忘れそうになるが……これだけは伝えなくてはいけない。

「やめ……ろ、これ以上は……!」
「ああ、いいぜ。やめてやるよ。お前も俺達と同じになったらな」

 ボーズ頭は顎で震えている向日葵を指す。

「あいつをおかせ。その動画を撮ってやる。そしたらお前は逃がしてやるよ」
「————ッ!」

 向日葵が震える。
 本当にゲスな奴らだ。
 同罪にして口を塞ぐ。そんな条件飲めるわけはない。

「やめろ……これ以上……向日葵を苦しめるな……!」
「あ~、別に苦しめているつもりはねぇよ。あいつが好きで俺たちと一緒にいるんだ。なぁ、向日葵ちゃん!」

 呼びかけられて、向日葵はびくりと震えて耳を塞いだ。

「友達たくさん作るんだつって俺達に近づいて。ずっと友達になってくださいっていって言ってよォ。だから俺たちなりに〝遊んで〟やってんの! それでもどっかいかないのは向日葵ちゃんが俺達のことを好きだからなんだよなぁ! 向日葵ちゃん!」
「————ッ!」

 目と耳をギュッとつむり、向日葵は体を縮こまらせた。
 どうして、こうなったんだ……?
 氷雨を見る。 
 彼女は僕の目を避けるように地面を見つめていた。

 ———どうしてこうなったんだ。

 致命的な何かがあったわけじゃなかったんだろう。
 ただ、気が付かないうちにどんどん沼に足が沈んでいったんだろう。
 向日葵は、ただ僕たち幼馴染でずっと仲良くいたいだけだったんだ。
 そのために努力をしたんだ。
 その結果が———これなんだ。
 どうして……こうなってしまったんだ……。
 ただ単純に気が合って、仲が良い友達だったはずなのに……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...