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幼馴染たちとパーティーを組んだものの…
第2話 たまには良いこともある?
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「あ、おはよう。ノア」
僕の次に起きるのはいつも決まってユキナだった。垂れ目がちで可愛らしい少女。
白い法衣を纏った彼女はサラサラの長い髪を下ろしていて地元でも評判の美人だった。
おまけに性格も女神のように良くて、彼女だけは、アスベルと違って変わらず僕にいつも優しかった。
「わー、美味しそうなスープ! ノアはほんと家事だけは上手ね」
……家事だけは? うん、何だか言葉に棘を感じるが気にしないことにしよう。
「最近大丈夫? アスベルたちのいじわるがエスカレートしてるような気がするんだけど」
「大丈夫大丈夫、ちょっとふざけて肩とか叩かれるだけだから。ただのじゃれ合いだよ」
「それなら良いけど……あの新しく入った魔法使いの女の子、えっと」
「マリンさん? あの子がどうかしたの? 」
「あの子、ノアに対して酷すぎない? 魔物退治のときもいっつも旅芸人なんて外して戦士を入れましょうよー、とか宿代の無駄ですよーとか言ってるのよ。流石に目に余るわ」
確かに良くは思われてないのは分かっていたけれど、ここまでボロクソに言われていたとは気が付かなかった……。
地味にショックを受ける僕に気が付いてか、ユキナが慌ててフォローする。
「あ、ごめんね。違うのよ。多分あの子も初めての環境だから誰かに八つ当たりしてしまうみたいなの。だから気にしないでね」
「ははは、良いよ。僕が役に立っていないのは確かだし」
「そんなこと言わないで! 」
やや芝居がかった口調で大きな瞳に涙を浮かべるユキナはそっと僕の手を取ると、豊満な胸に押し付ける。
「ノアは役立たずなんかじゃないわ、誰より優しくて、陰で皆を支えてくれてて……」
潤んだ瞳に僕の胸は高鳴りを抑えきれない。ドクドクと心臓の音がうるさいくらい響いた。
「ユキナ……」
「私、ノアがいないと駄目みたい。小さい頃言ってくれたよね、僕はユキナを守る勇者になるって」
「言ったかも、でも今の僕はただの旅芸人だし」
「職業なんて関係ないわ。ね、もう一回言って欲しいな」
「いやいやいや、あれは小さい頃の軽口みたいなものだし恥ずかしいよ」
ただの旅芸人である僕が高名な僧侶である彼女にそんなこと口が裂けても言えるはずない。
「お願い、今は誰もいないよ? 」
赤く上気した頬にトロンとした瞳。
--小さい頃から思いを寄せていた女性の願いを退ける術を僕は持っていなかった。
「……ユキナを守る勇者になるよ」
「ふふふ、もうちょっと大きな声で言ってみてよ」
「ユキナを守る勇者になるよ! いつか必ず」
ユキナがぴったりと僕に寄り添ってきた。ふわりと花のような良い香りが鼻孔をくすぐった。
「ありがと……ノア大好き」
お菓子みたいに甘ったるい声は僕には刺激的すぎる。
あぁ神様、こんな良いことが合っていいのでしょうか? 大好きだった女性から大好きと言われ、もう僕は今死んでもよいぐらいの気持ちだった。
剣も魔法も顔も、なに一つアスベルには勝てなかったけれど、ほんの少しだけ、アスベルに勝てたような誇らしい気持ちでいっぱいだった。
僕の次に起きるのはいつも決まってユキナだった。垂れ目がちで可愛らしい少女。
白い法衣を纏った彼女はサラサラの長い髪を下ろしていて地元でも評判の美人だった。
おまけに性格も女神のように良くて、彼女だけは、アスベルと違って変わらず僕にいつも優しかった。
「わー、美味しそうなスープ! ノアはほんと家事だけは上手ね」
……家事だけは? うん、何だか言葉に棘を感じるが気にしないことにしよう。
「最近大丈夫? アスベルたちのいじわるがエスカレートしてるような気がするんだけど」
「大丈夫大丈夫、ちょっとふざけて肩とか叩かれるだけだから。ただのじゃれ合いだよ」
「それなら良いけど……あの新しく入った魔法使いの女の子、えっと」
「マリンさん? あの子がどうかしたの? 」
「あの子、ノアに対して酷すぎない? 魔物退治のときもいっつも旅芸人なんて外して戦士を入れましょうよー、とか宿代の無駄ですよーとか言ってるのよ。流石に目に余るわ」
確かに良くは思われてないのは分かっていたけれど、ここまでボロクソに言われていたとは気が付かなかった……。
地味にショックを受ける僕に気が付いてか、ユキナが慌ててフォローする。
「あ、ごめんね。違うのよ。多分あの子も初めての環境だから誰かに八つ当たりしてしまうみたいなの。だから気にしないでね」
「ははは、良いよ。僕が役に立っていないのは確かだし」
「そんなこと言わないで! 」
やや芝居がかった口調で大きな瞳に涙を浮かべるユキナはそっと僕の手を取ると、豊満な胸に押し付ける。
「ノアは役立たずなんかじゃないわ、誰より優しくて、陰で皆を支えてくれてて……」
潤んだ瞳に僕の胸は高鳴りを抑えきれない。ドクドクと心臓の音がうるさいくらい響いた。
「ユキナ……」
「私、ノアがいないと駄目みたい。小さい頃言ってくれたよね、僕はユキナを守る勇者になるって」
「言ったかも、でも今の僕はただの旅芸人だし」
「職業なんて関係ないわ。ね、もう一回言って欲しいな」
「いやいやいや、あれは小さい頃の軽口みたいなものだし恥ずかしいよ」
ただの旅芸人である僕が高名な僧侶である彼女にそんなこと口が裂けても言えるはずない。
「お願い、今は誰もいないよ? 」
赤く上気した頬にトロンとした瞳。
--小さい頃から思いを寄せていた女性の願いを退ける術を僕は持っていなかった。
「……ユキナを守る勇者になるよ」
「ふふふ、もうちょっと大きな声で言ってみてよ」
「ユキナを守る勇者になるよ! いつか必ず」
ユキナがぴったりと僕に寄り添ってきた。ふわりと花のような良い香りが鼻孔をくすぐった。
「ありがと……ノア大好き」
お菓子みたいに甘ったるい声は僕には刺激的すぎる。
あぁ神様、こんな良いことが合っていいのでしょうか? 大好きだった女性から大好きと言われ、もう僕は今死んでもよいぐらいの気持ちだった。
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