外れ職業の旅芸人(LV.15)だったけれど、呪いの装備を使いこなせるチートに目覚めました

寿司

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ようこそアンフェルサーカス団へ

第48話 奇跡は降り注ぐ

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「……ん」

 小さくうめき声を上げるコア。
 
「お兄ちゃん!! 」

 テスカが歓声をあげて兄に抱きついた。

「テスカ……? 」

 何が起きたか分からない様子でコアは自分の妹を見つめる。

 ーー奇跡は本当に起きた。

 リオンの言った通り、強くコアの蘇生を願っただけで彼は息を吹き返した。

「何か良く分からないけど……良かった」

 そして僕の手の中にあった愛娘への伝言は色あせてまるで古本のような姿に変わってしまった。
 しかし、僕の考えをまるで見透かしていたかのようにリオンがこう言った。


「大丈夫、奇跡の力が消えただけ。増幅効果自体は消えていないよ」

 そう言って笑うリオンは嘘は言っていないようだ。

「そうか……」

 奇跡さえも起こす自分の力。
 このチート能力は一体何のために僕に宿ったのだろうか?

 そして記憶がないはずなのに何かを知っているリオンとの出会い。

 この出会いは必然だったのだろうか?

「ノアさん!! 」

 しかしそんな僕の思いを打ち消すようにテスカが声をあげた。

「本当にありがとうございます」

 泣き笑いにも似た表情を浮かべるテスカは紛れもなく普通の可愛い女の子だった。
 天才サーカス団員でも、虐待を受けていた可哀想な子どもでもない。

「気にしないで」

 そして周りを見ると無事鎮火しているようだ。
 他の団員たちもただ静かに降り注ぐ雨に打たれて休んでいた。

「皆も団長には酷いことをされてたの。だからノアは皆の恩人でもあるのね」

「恩人か……」

 何だか気恥ずかしい気がしてしまう。
 何の取り得もなかった僕が人を救うなんてな……。

「あんまりここに留まるのは危険だ。騒ぎを聞きつけて騎士やらギルドの連中が来るかも」

 ソフィアが僕の耳元でそう囁いた。
 頷く僕、そうだ。一応僕たちは追われている身。あまり目立つのは得策ではない。

「じゃあね。テスカ、コア。僕たちは早いところ、ここから離れなくては」

 くしゃくしゃと二人の髪を撫でる。
 二人とも猫のみたいに気持ち良さそうに目を細めた。

「うん、ノアさんたちもお元気で」

 テスカが小さく手を振る。そのときだった。

「待ってノア! 僕たちも一緒に行く! 」

 コアがそう叫んだ。

「ちょ、ちょっと! お兄ちゃん! 」

 テスカが驚いたように声を上げたがコアは構わず言葉を続ける。

「僕たちは大きな世界を見たい! それにその仮面に触れたときに何か感じたんだ。僕たちはノアと一緒にいなければいけないって」

「仮面……」

 そうだ、確かこの仮面に新たな能力が目覚めたとき、コアとテスカの二人の手が触れていた。
 もしかしたらヴァイスの記憶のこの双子、何か関係があるのかもしれない。

「駄目だよお兄ちゃん。私たちじゃノアさんたちの邪魔になるよ」

「じゃあテスカは行きたくないのか? ノアのこと好きなんだろ! 」

「え、え、え……」

 みるみる顔を真っ赤にするテスカ。

「僕たちは双子なんだから隠しごとなんて出来る訳ないさ」

 べーっと意地悪く舌を出してからかうコア。

「あ、その……」

「はっきりしろよ! 」

「行きたい! 私もノアさんたちと一緒に冒険がしたい」

 真っすぐ僕を見つめる双子の瞳。
 そこには一点の迷いもなさそうだった。

「どーすんの? 」

 ソフィアがちろりと僕の方を見つめる。
 旅の連れは多い方が楽しいだろう。

 僕の顔を見たソフィアははぁとため息を吐いた。

「もう決まってるみたいね」

 しかしそんなソフィアも少しだけ楽しそうな表情をしていた。

 僕は双子に目線を合わせるとこう言った。

「テスカ、コア。どんな旅になるかは僕にも分からないけど、よろしくね」

 そうして手を二人に向かって差し出すと、嬉しそうな顔をした二人が僕に飛びついてきたのだった。

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