外れ職業の旅芸人(LV.15)だったけれど、呪いの装備を使いこなせるチートに目覚めました

寿司

文字の大きさ
49 / 50
幽霊屋敷の女主人

第49話 誰がお母さん?

しおりを挟む

 面倒なことになる前にサーカス団を離れた僕たちは、一先ず人気がなさそうな森の中で休息を取ることにした。
 薪をくべて火をつけて暖を取る。僕が発生させた雨のせいで体が濡れてしまったので順々に乾かすことになった。

「はー、もう僕足疲れた」

 一度死んだとは思えないほど元気な声をあげるコア。

「寒かったね……」

 そしてそんな兄を嬉しそうに見るテスカ。
 新たな仲間も加わって更にこの旅は賑やかなことになりそうだ。

 しかしそんな喜びもつかの間、僕らはとある悩みを抱えていた。

「お金がない……」

 自分のカバンを漁って改めて確認する僕だったが、やはりない。
 パーティーも5人まで増えて賑やかになったのは良いことなのだが、仕事がない以上お金を稼ぐことが難しかった。

「安心してノア、僕ちょこっとだけ稼ぎ持ってきたから。ただでお世話になる気はさらさらないよ」

 さらっととんでもないことを言うコア。そう言うやいなや、懐から取り出した両手いっぱいの金を僕に手渡す。

「お、お兄ちゃん良くないよ……」

「今まではあの女が独り占めして僕らにお金くれなかったんだ。これは正当な稼ぎだろ」

「それはそうかもだけど……」

「もっと持って来ても良かったかな……」

 ぽつりと呟くコアは少し悪い顔をしていた。

 確かにこのお金があれば数日間は何とかなりそうだ。
 だが、子どもからお金を受け取るなんて良いのだろうか……。

「いや、受け取れないよコア。そのお金はいつか二人で遊びに行くときに使いな」

「ええ~~?? でも……」

 食い下がるコアを何とかなだめてそのお金を彼の懐に戻す。

「良いの? お金がないのに格好つけちゃって」

 一部始終を見ていたソフィアが呆れた様にため息をつく。

「良いよ。一応僕らが保護者なんだからしっかりしなきゃ」

「僕らって……あたしも? 」

 当たり前じゃないか、と僕は頷く。

「僕ら二人で彼らの親代わりをしなきゃ」

「そ、そうね」

 ん? 何だかソフィアの顔が赤い気がする。

「どうしたソフィア? 熱でもあるのか? 」

「そういう訳じゃないけど……いや、その……なんか、お母さんとお父さんみたいだなーって」

「? 良く分からないけどそういうことになるかもな」

 リオンもテスカもコアもまだまだ子どもだし、年齢的にも間違っていないはず。

「えええええ??? 」

 更に真っ赤になるソフィア。僕そんなに変なこと言っただろうか? 
 そしてその様子を見て珍しくテスカが口を挟んだ。

「……私だってお母さんになれます。ソフィアさんじゃなくたって大丈夫です」

「え、でもテスカはまだ子どもだし」

「あら、お子様は無理しなくて良いのよ」

 負けじと反論するソフィア。
 あれ? もしかしてこの二人仲が悪いのだろうか?

「年齢は関係ありませんよ、それにノアさんは結婚するなら年下が良いですよね? 」

「え、結婚!? 待ってテスカ何の話? 」

「あら、年上の包容力舐めるんじゃないわよ」

 ソフィアもテスカも目がまじである。

「リオン、どうしよう。この二人仲が悪いんじゃ……」

 ふと隣に張り付いているリオンに耳打ちする。

「え? そうかな? 」

 しかし当の彼女はキョトンとした顔でパンをかじっていた。

「女の戦いは怖いんだよ、ノア」

 にやにやと笑みを浮かべるコアは心底面白そうであった。
 しばらくキョロキョロと皆の様子を見ていたリオンだったが、考え込むように顎に手を当てる。

「でも……」

「でも? 」

「胸は私が一番大きいね」

 リオンから突如投下された爆弾発言によって事態は一応静まったのである。
 
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...