落ちこぼれ神父、死神と契約して僻地に飛ばされたのでスローライフを送ります

寿司

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第4話 どうやって町を守る?

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「町おこしって何をすれば良いのかの」

 ちょこんと首をかしげるフレイア。
 彼女なりに色々考えているようだ。しかし……。

「ほら、フレイア手を動かせ、まずは俺たちの家を掃除することが先だ」

 今は絶賛荒れきった家の掃除中なのである。

「掃除なんて細々したことわしは嫌いじゃ」

 ぷいと手に持っていた雑巾を放り出すフレイア。見た目は妖艶な女性なのに中身はまるで子供だ。そのギャップが何だか面白い。

「大体フレイアは受肉して人間として生活したいんじゃなかったのか? 人間の文化に慣れなきゃダメだろ」

「それは……そうじゃけど」

 元々は死神なので実体を持っていなかった彼女の姿を俺以外の人は見ることが出来なかった。
 しかしその身に宿した膨大な魔力を使って肉体を作り上げ、人間として今は生活している。しかしそのときに元々の能力のほとんどを失ってしまったらしい。あまり自分のことを話したがらないので俺が分かっているのはここまでだ。

 ただ能力を失ったといっても元々がかなり高位の存在の為、人間離れしているのは確かだ。
 そしてそんな存在と契約してしまった俺も、人間をやめつつある実感はある。

「じゃあ、一階を掃除したらおやつにするか。それならやる気になるか? 」

「おやつ? ……うん! 」

 元気に飛び出していった彼女の後姿を見るに、おそらく誰かと過ごしたという経験がないのだろう。彼女なりに今の生活を楽しんでいるのは俺にも分かっていた。

「出来たぞ!! 」

 あっと言う間に戻ってきて得意げに胸を張るフレイア。

「早すぎないか!? 適当にやったんじゃ……」

……そしてそこには彼女の魔法でピカピカに磨かれた部屋。
 力を失ったといっても、やはりフレイアは神の端くれなのであった。

◇◇◇

 フレイアが本気を出してからはあっと言う間であった。あんなに埃だらけだった家の中はまるで新築のように綺麗だ。ひとまず住処の掃除を終えた俺たちは少し休憩を取ることにした。

 王国から来るときにおやつになればと買ったクッキーをつまむことにする。

「ふむ、中々な味じゃな。バターの風味が良い」

 ひょいひょいと口にクッキーを運ぶフレイア。
 さくさくと小気味良い音をたてながら、次々にクッキーを飲み込んでいく。

「俺の分まで食うなよ」

 さて、と俺は顎に手をのせて、これからどうするか考え始める。

 町長さん曰く、魔物から村を守る用心棒になってくれとのことだったが、流石に一日中魔物を待って張っている訳にもいかない。では他の町は普通どうしてるの? というと、正式な神父であれな魔物の侵入を防ぐバリアのようなものを張ることが出来るのだが、俺には無理である。更に普通は騎士という戦いのプロフェッショナルが数人いて、交代交代で町に異常がないか目を光らせているのだった。

 ただこの小さな町に騎士はいない。

「俺にバリアが張れればな良かったんだけどな……」

「バリア? 」
 
 フレイアが最後の一枚であるクッキーを手に取りながらそう言った。
 こいつ……どさくさに紛れて俺の分も食べやがったな……。

「そうだよ、魔物が来ても町をぐるっとバリアで囲ってたら俺が一日中構えている必要はないだろう? 」

「なるほど……それならわしの神体を切り離して霧状にしてこの町を覆うってのはどうじゃ? 」

 人差し指を立てて得意げなフレイア。

「??? どういうことだ? 」

 フレイアの神体を霧にして町を覆う? 
 分かるような分からないような……。確かにそんなことが出来るのならこの問題は解決できそうな気はするが……。

「わしに直接触れたものは魂が抜けてしまうじゃろ? それを利用するってわけじゃ。それに、その霧のはわしの一部であるのだから何かが町に接近したことが分かるセンサにもなる」

「なるほど……しかし、それだと町に来た観光客も魂を抜いちゃうんじゃ」

「そうなったらそうなったじゃ! すぐに駆けつけて魂を戻してやれば良い。それに今のままでは観光客など来るはずない」

 さらっとそう言うフレイアだが、確かに一理あるなと俺は思った。
 町の護衛をフレイアに任せてしまえば、俺は別のことを手伝うことが出来る。

「じゃあ、お願いしようかな。でも出来るのかそんなことが? 」

「任せろ、わしを誰だと思っている」

 するとフレイアの影がどんどん広がっていったかと思うと、勢いよく窓から飛び出していった。
 窓から様子を覗くと、確かに黒い霧のようなものが散らばっていったのが分かった。

「死神の霧か……」

 やはりフレイアは神様なんだなとこういうとき実感する。

「後で町長とやらには言っといた方が良かろう。間違って触れると危ないからの」

「お、少しは気にしてるのか」

 くしゃっとフレイアの頭を撫でると、彼女は顔を赤くした。

「別に! わしだって無関係な人の魂はもう抜きたくないだけじゃ! 気分が良いものではないからの! 」

 この通り、悪いやつではないのだ。

「なんじゃその目は! 」

 照れ隠しで八重歯をちらつかせるフレイアを見て、俺は何だか面白くなってしばらくクスクスと笑っていた。

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