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夏
第21話 フレイアの隠し事
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町長になってはみたものの、特に何かが変わった訳ではない。
相変わらず教会には誰も来ないし、解呪は上手くいかないし、セシリ―からは返事が来ない。
窓の外を見るともう梅雨に入ったのだろう、しとしとと雨が降り続いている。
じっとりとした暑さも感じるのでそろそろ半袖にしても良いかもしれない。
「フレイアー、……いないのか」
珍しくフレイアも出かけていて久しぶりの一人だ。
町長といっても俺はまず何をするべきなのだろうか?
お金や人手には限りがある。
どう使うのが最善なのか俺はしっかり考えなければいけない。
「はー、責任重大だ……」
俺の選択一つでこの町は変わってしまう。……良くも悪くも。
そんなことに思いを巡らせていると、コツコツとドアをノックする音がした。
「はーい、誰ですか? 」
誰だろう? と思い出ると、そこにいたのはフレイア。
「ただいまじゃ」
「おかえり」
何だかフレイアがいつもより楽しそうだ。
「わしがいなくて寂しかった? 」
「別に……ん? 何だか楽しそうだな」
そわそわしているけど何か隠し事でもしているのだろうか?
「そ、そ、そ、そ、そんなことはないぞ! 気のせいじゃ! 」
「ふーん、そうか」
「いや~、今日もつまらない日だ、だったな。また城下町にお買い物に行きたいのう!! 」
「え~、まだまだ種も残ってるし必要なものもないな。それにフレイア行くのめんどくさがっていたじゃないか」
「そ、そ、そういえばそうじゃったな!! 」
会話がぎこちない。……怪しさ満点だ。
「何か隠してるだろう? 家具でも壊したか? 」
「そんなことはしとらん!! あんまりわしを馬鹿にするな」
「じゃあ備蓄している食べ物全部食べたか? 」
わしを何じゃと思ってるんだ! と口を尖がらせるフレイア。
そして俺に聞こえないと思っているんだろうか、こう呟く。
「……そろそろ良いかのう」
そろそろ良い?
一体どういうことだろうか?
すると不意にフレイアが俺の手を取った。
「行くぞ!! アレス!! 」
「は!? どこに!? 」
良いから!! とフレイアは俺の手を取って走り出した。
外は雨だし、せめて傘ぐらいは持たせてくれ!
「良いから! そんなこと気にするんじゃない! 」
雨の中、フレイアに引っ張られるまま走り出す俺たち。
どうやら方向的にはキクリの経営する温泉があるはず。
しかし温泉自体はもう枯れていているはずだが?
「おい、フレイア!! どこ行くんだよ」
「どこへでもじゃ!! 」
そう言って笑うフレイア。
「はあ? 」
「わしら二人ならどこへでも行けそうじゃろ? 」
なんだよそれ、と思わずクスッと笑う。
彼女なりの激励の言葉のつもりなのだろう。
「おーい! フレイアちゃんこっちだ! 」
うん? リュカの声だ。
「うむ!! 」
フレイアが返事をする。すると同時に目隠しをされた。
「な、なに!? 」
「ここからは内緒じゃ」
なんだなんだ!?!? まさか俺、フレイアに食べられるのだろうか?
視界が真っ暗というのは不安だが、依然として彼女の手のぬくもりを感じる。
しばらく手を引かれて歩いていると、割とすぐに視界が元に戻った。
「ふ~、着いた着いた! 」
「おいフレイア、どういう、つも……」
フレイアに文句を言おうとしたのだが俺は思わず言葉に詰まる。
温泉に併設されていた小さな会館、俺はそこに連れてこられていた。
そしてそこには町中の人が集まっているのだ。
こんな天気の日に一体何をしているのだろう。俺は何も知らされていないのだが……。
そして皆手に持っていた何かを俺に向けた。
そのときパ――――ンとクラッカーが破裂する音がした。
「「アレス、町長就任おめでとう!!! 」」
たくさんの人の声が重なり、俺に降り注がれる。
「え? は? 」
何が起きたのか分からない俺はただ困惑する。
「ふっふーん! 大成功! 」
俺の横ではフレイアが無邪気にピースサインを俺に向ける。
「おいどういうことだよ! 」
その答えはカールがしてくれた。
「新町長就任のサプライズだよ。あいにく天気には恵まれなかったが、上手くいったようだね」
「フレイアさんの演技が心配でしたけど……良かったです」
カールの隣ではシャロンがふふっと笑う。
「どういうことじゃ! わしの演技は大女優並みだったじゃろ? 」
「サプライズ……」
段々と分かってきた。
「そうですわ。皆で協力してアレスさんを驚かせようとしましたの~。お料理もたくさん用意しましたのよ! 」
皆は俺のためにお祝いの会を開いてくれた……?
「皆にアレスが次の町長になることを言ったら満場一致で賛成だったよ。君がこの町に来て日が浅いとかそんなことを言う人間は誰もいなかった」
「カールさん……」
「さぁ今日は食べて飲んで笑おうじゃないか! 」
無理やりグラスを持たされ、飲み物を注がれる。
「おいおい、主役がそんな辛気臭い面で良いのかよ~」
「パパは黙って! 」
リュカから野次が飛び、それをマルタが諫める。
俺はぎゅっと唇を強く噛むと、グラスを高く掲げた。
「皆、ありがとう……!! 俺、たくさん迷惑かけるかもしれないけど、頑張ります!! 乾杯! 」
かんぱーい!! と皆の声が重なったのだった。
相変わらず教会には誰も来ないし、解呪は上手くいかないし、セシリ―からは返事が来ない。
窓の外を見るともう梅雨に入ったのだろう、しとしとと雨が降り続いている。
じっとりとした暑さも感じるのでそろそろ半袖にしても良いかもしれない。
「フレイアー、……いないのか」
珍しくフレイアも出かけていて久しぶりの一人だ。
町長といっても俺はまず何をするべきなのだろうか?
お金や人手には限りがある。
どう使うのが最善なのか俺はしっかり考えなければいけない。
「はー、責任重大だ……」
俺の選択一つでこの町は変わってしまう。……良くも悪くも。
そんなことに思いを巡らせていると、コツコツとドアをノックする音がした。
「はーい、誰ですか? 」
誰だろう? と思い出ると、そこにいたのはフレイア。
「ただいまじゃ」
「おかえり」
何だかフレイアがいつもより楽しそうだ。
「わしがいなくて寂しかった? 」
「別に……ん? 何だか楽しそうだな」
そわそわしているけど何か隠し事でもしているのだろうか?
「そ、そ、そ、そ、そんなことはないぞ! 気のせいじゃ! 」
「ふーん、そうか」
「いや~、今日もつまらない日だ、だったな。また城下町にお買い物に行きたいのう!! 」
「え~、まだまだ種も残ってるし必要なものもないな。それにフレイア行くのめんどくさがっていたじゃないか」
「そ、そ、そういえばそうじゃったな!! 」
会話がぎこちない。……怪しさ満点だ。
「何か隠してるだろう? 家具でも壊したか? 」
「そんなことはしとらん!! あんまりわしを馬鹿にするな」
「じゃあ備蓄している食べ物全部食べたか? 」
わしを何じゃと思ってるんだ! と口を尖がらせるフレイア。
そして俺に聞こえないと思っているんだろうか、こう呟く。
「……そろそろ良いかのう」
そろそろ良い?
一体どういうことだろうか?
すると不意にフレイアが俺の手を取った。
「行くぞ!! アレス!! 」
「は!? どこに!? 」
良いから!! とフレイアは俺の手を取って走り出した。
外は雨だし、せめて傘ぐらいは持たせてくれ!
「良いから! そんなこと気にするんじゃない! 」
雨の中、フレイアに引っ張られるまま走り出す俺たち。
どうやら方向的にはキクリの経営する温泉があるはず。
しかし温泉自体はもう枯れていているはずだが?
「おい、フレイア!! どこ行くんだよ」
「どこへでもじゃ!! 」
そう言って笑うフレイア。
「はあ? 」
「わしら二人ならどこへでも行けそうじゃろ? 」
なんだよそれ、と思わずクスッと笑う。
彼女なりの激励の言葉のつもりなのだろう。
「おーい! フレイアちゃんこっちだ! 」
うん? リュカの声だ。
「うむ!! 」
フレイアが返事をする。すると同時に目隠しをされた。
「な、なに!? 」
「ここからは内緒じゃ」
なんだなんだ!?!? まさか俺、フレイアに食べられるのだろうか?
視界が真っ暗というのは不安だが、依然として彼女の手のぬくもりを感じる。
しばらく手を引かれて歩いていると、割とすぐに視界が元に戻った。
「ふ~、着いた着いた! 」
「おいフレイア、どういう、つも……」
フレイアに文句を言おうとしたのだが俺は思わず言葉に詰まる。
温泉に併設されていた小さな会館、俺はそこに連れてこられていた。
そしてそこには町中の人が集まっているのだ。
こんな天気の日に一体何をしているのだろう。俺は何も知らされていないのだが……。
そして皆手に持っていた何かを俺に向けた。
そのときパ――――ンとクラッカーが破裂する音がした。
「「アレス、町長就任おめでとう!!! 」」
たくさんの人の声が重なり、俺に降り注がれる。
「え? は? 」
何が起きたのか分からない俺はただ困惑する。
「ふっふーん! 大成功! 」
俺の横ではフレイアが無邪気にピースサインを俺に向ける。
「おいどういうことだよ! 」
その答えはカールがしてくれた。
「新町長就任のサプライズだよ。あいにく天気には恵まれなかったが、上手くいったようだね」
「フレイアさんの演技が心配でしたけど……良かったです」
カールの隣ではシャロンがふふっと笑う。
「どういうことじゃ! わしの演技は大女優並みだったじゃろ? 」
「サプライズ……」
段々と分かってきた。
「そうですわ。皆で協力してアレスさんを驚かせようとしましたの~。お料理もたくさん用意しましたのよ! 」
皆は俺のためにお祝いの会を開いてくれた……?
「皆にアレスが次の町長になることを言ったら満場一致で賛成だったよ。君がこの町に来て日が浅いとかそんなことを言う人間は誰もいなかった」
「カールさん……」
「さぁ今日は食べて飲んで笑おうじゃないか! 」
無理やりグラスを持たされ、飲み物を注がれる。
「おいおい、主役がそんな辛気臭い面で良いのかよ~」
「パパは黙って! 」
リュカから野次が飛び、それをマルタが諫める。
俺はぎゅっと唇を強く噛むと、グラスを高く掲げた。
「皆、ありがとう……!! 俺、たくさん迷惑かけるかもしれないけど、頑張ります!! 乾杯! 」
かんぱーい!! と皆の声が重なったのだった。
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