悲劇の清純ヒロインやめて神様のしもべになりました。

寿司

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第11話 偽物

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「ですからあたしが聖女ルーナでして……」

「嘘をつくな。そんな売春婦のような格好をした女が聖女様な訳あるか……!! 」

 城の門番と押し問答なう……。
 もうかれこれ一時間はやってると思う。

 あたしが聖女だって言ってるのに門番はまったく信じてくれないのだ。それどころか服装に露出が多すぎるだの、髪の毛が短すぎるだのいらない指摘までしてくる始末。

「聖女様というのは神聖で汚れを知らない美しき存在。お前のような女とは違う」

「何それ、きっもち悪い幻想! あんたモテないでしょ! 」

 なにぃ?! と顔を真っ赤にする門番。すると遠巻きに見ていたルティが小さく何かを呟いた。

 その途端、門番の瞼がとろとろと重くなったかと思うと、ばたりとまるで吸い込まれるように倒れた。

「え?! だ、大丈夫? 」

 慌てて駆け寄ったが、すうすうと寝息をたてているのが聞こえた。どうやら眠っているようだ。

「少し眠らせただけだ。こんな下らぬ言い争いに付き合ってる暇はないのでな」

「じゃあ初めからそうしなさいよ! 」

 あたしの抗議にもルティはどこ吹く風。さっさと行くぞ、とつめたーくあしらわれただけだった。

「待ってよ!! というか勝手に侵入して良いの?! 」

 ……聞いちゃいない。
 すたすたと奥へ進んでいく彼をあたしはひたすらに追った。

◇◇◇

「ふむ、ここが王様とやらがいるところか」

「意外と近かったわね」

 あたしたちは大きくて豪華な門の前に立っていた。明らかに王様がいそうな場所だ。

 ここに来るまで何人の追っ手を眠らせたことか……。しかしルティは一ミリも気にするそぶりもない。

「じゃあ入るぞ」

 ルティが指を鳴らすと、まるで自動ドアのように扉が開いた。これが魔法……? しかし規格外だな。

 そして扉の先にいたのは……。

「観念しろ!! 侵入者が!! 」

「うぇ?! 」

 そこにいたのは槍を構えてずらりと並ぶ兵士たち。その奥では玉座に座る王がふてぶてしい態度でこちらを見ていた。

「このアレイス城に侵入するとは、身の程知らずだな」

「いやいやいや、違うんです。あたしたちはただ話を聞きに来ただけで!!! 」

「面倒だな……全員殺すか? 」

 ルティがめんどくさそうに呟く。

「物騒なこと言わないで!!! 」

「話……? ああ貴様が聖女を騙る悪人か。よりによってこのアレイス王の前で聖女を汚すとは、万死に値する」

 ピンとはった白い髭を撫でてアレイス王は冷たい瞳でこちらを見る。これ完全に信じてない……。
 
「嘘じゃないですって、本当にあたし聖女ですよ! 」

「ほほう? それならアレイス様からのシルシがあったということじゃな? 」

「シルシ……? 」

 何だそれ、初耳だ。
 王はあたしのそんな様子を見て嘘だと確信したのだろう、はぁと深い溜め息を吐く。

「聖女は皆アレイス様からシルシを頂く。それは体のどこかに現れるのだ」

「えー、えっとありますよ、シルシ……」

 初耳のことばかりであたしは思わずあわてふためく。
 そして太ももの辺りにアザがあるのを見つけた。普通のアザのようにも見えるが、良く見ると何かの模様に見える。おそらくこれがシルシだ。

「ほ、ほら! これ! シルシですって! 」

 太ももを見せつけるあたしだがこれ、良く考えたら痴女にしか見えないな……。だがあるもんはあるのだ仕方ない。これで信じて貰えるだろうと思ったそのとき……。

 そのシルシがボロリと崩れ、灰のように散ってしまった。

「あれ? 」

 いやーな汗が背筋を伝う。
これ、もしかして詰んだんじゃない?

 「いやー、これは何かの間違いで……」

「偽物の聖女を捕らえよ! 」

 ですよねー、あたしたちはあっという間に捕まってしまった。意外にもその間、ルティはおとなしくしているのだった。
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