悲劇の清純ヒロインやめて神様のしもべになりました。

寿司

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第20話 この感情はなに

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「ちょ、ちょっと……急にな、」

 ルティは答えない。ただあたしの唇を貪り続ける。これはもはや魔力供給ではなく、恋人同士の口づけだ。

「気に入らぬ……」

「何がよ」

「分からぬ。でも気に入らんな。貴様がキールとやらについて話すときの顔も、声も」

 何それめっちゃ理不尽……。

「なーにそれ。どういうことよ」

「我と話すときとは違う。なぜあの男にだけそんな顔をする? 我とあの男は何が違うのだ? 」

 本気で分からないとでも言いたげな顔で話すルティ。
 というか結構目敏いんだな……。あたしがキールに仄かな恋心を抱いていることをこうも見抜くとは。

「さ、さぁ? こんなもんじゃない? だってルティは神様でキールはエルフ。全然違うもの」

 そうか、とルティは納得したようなしてないような微妙な顔をすると、あたしから離れる。

「……よく分からん。もう寝る」

 そう言い残したルティは言葉通りベッドに潜り込むと、ぴくりとも動かなくなった。

 まるで嵐の後のような疲労に襲われたあたしは思わずその場に座り込む。いや腰が抜けてしまったといった方が正しいか。

「……何なのよもう」

 心臓が破裂しそうな鼓動を抑えることは出来そうになかった。

◇◇◇

「おはようございますって……どうしたんですかその隈は」

「おはよー」

 夜が明けるまで眠れなかったあたしはきっとキールがビビるぐらい酷い顔をしていたのだろう。
 隣のルティは何事もなかったかのように平然としている。

「ルーナさん大丈夫ですか? すみません、たくさん魔法を使わせたから……」

「良いの良いの。気にしないで」

 原因は隣にいる男のせいだから!
 とは言えなかった。

 そしてキールはあたしの首筋にあるシルシを見ると、何かを勘違いしたかのように目を見開いた。

「……あ、すみません」

 気まずそうに目を伏せるキール。
 まずい!! これはあらぬ勘違いをされてそうな気がする。

「いやいやいや! これは違いますよ、ただの虫刺されで!」

「そうなんですね。この辺りは虫が多いですから……」

 むー……これ信じてくれてる?
 キールは何とも言えないような渋い顔している。
 しかしちらちらとあたしの首筋のシルシを見る辺り、気にしてはいるらしいが……。

 そして口を開いたのは意外な人物であった。

「これは失礼しました。ルーナがあまりにも求めてくるもので」

 はぁ!? というあたしの声が部屋中に響き渡る。
 それにその丁寧な口調は何?! さっきまでは我だの貴様だのいつものえらそーな口調だったのに!
 
「求めて……」

 キールが何かを察したような顔をすると、ぱっとあたしから視線を移した。

「違う!! 違いますよ!! 」

 必死に弁解するあたしだが、逆効果かもしれない。

「まあまあ、この話は置いておきましょうルーナ。ね? 」

「ね? じゃないわよ! 」

 あたしの声が響き渡ったのだった。
 
 



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