13 / 56
12/27
悪役令嬢、警戒される
しおりを挟むミラン先生を仲間に引き込むとに成功した私は、先生からの証言をゲットした!
先生と浮気していたなんてバレたらそれなりのダメージにはなるだろう。
「でもこれだけじゃ弱いかしらね……」
ミラン先生は当日も応援に来てくれるつもりらしい。
何とかして潜り込んでみますね、と言ってくれたので大変心強い。
彼女も良いとこのお嬢さんらしく、パーティに声がかかってもおかしくはないようだ。
「後は……レベッカだけど」
レベッカ=タリスマン。もう一人の悪役。しかし彼女とはクラスが違うらしく、中々会うことは出来なかった。
休み時間の間を縫っては探してみたのだけれど、学園内は中等部、高等部とたくさんの学年に分かれていて中々骨が折れた。
「うふふ、イリアさん~。今は授業中ですよー」
私ははっと顔をあげる。
ミラン先生がにっこりとこちらを見ていて、私は苦笑いを浮かべる。
「考え事も楽しいですけど、今はこっちに集中してくださいね」
ミラン先生は全てを見透かしているようだ。
はーい、と私は答える。
彼女もそれ以上は注意はしてこなかった。
後2日で、レベッカ=タリスマンを見つけなければ。
そんな野望をメラメラと内に秘めて、私は音楽の授業に集中し始めた。
◇◇◇
で、チャイムがなった途端に教室を飛び出そうと思った私だったが……。
「……ちょっと良いか? 」
なぜかルドガーに捕まってしまった。
何とかして断ろうと思ったのだが悲しいかな、男慣れしていない私はビクついてしまい勢いにまかせて了承してしまったのである。
体育館の裏に連れて来られ、ビクビクしながら私は彼の言葉を待った。
「……え」
「え? 何ですか? 」
ルドガーは言葉を絞り出すのに精一杯のようで、私はただひたすらに彼の次の言葉を待ち構える。
「……エミリアはエドが好きなのか? 」
思わず脱力感に襲われた。
知らんがなそんなこと!!エミリア本人に聞いてくれ!!
私はついそう言いそうになる。
こんなことで私はレベッカを探す貴重な時間を無駄にしてしまったのかと溜め息すら漏れた。
「さ、さぁ……。私には何とも」
しかしそんな私の返答は聞いていないのか、彼はドンドン喋りだす。
「俺との手紙は……嘘だったのか……」
「手紙? 」
するとルドガーは私に何通もの手紙を差し出した。
「読んでも良いのかしら?」
ルドガーはこくりと頷く。そしてお言葉に甘えて一番上の手紙に目を通した。
可愛いらしいピンク色の便箋で、何やらファンシーなキャラクターが描かれている 。
"ルドガーへ"
女の子っぽい丸文字だ。
"ルドガーはお話するのがちょこっと苦手みたいだから手紙にしてみました"
"初めて会ったときからあなたが気になっていて、もっと仲良くなりたいなって思ってます"
"本当は優しいこと、私だけが知ってるよ"
"エミリアより"
"10/11"
文章中には時々ハートマークが描かれ、確かに恋人同士にも見えなくはない。
他の手紙もこんな感じの文章で、エミリアがルドガーに猛アタックしているような内容だった。
「……俺はどうすれば」
「えっと……」
何と返したら彼が納得するのかさっぱり分からない私はただ苦笑いを浮かべる浮かべる。
そのとき私の脳裏に、この手紙、証拠として使えるんじゃないか? という考えが浮かんだ。
運よくエミリアと名乗ってくれているので彼女のもので間違いないだろうし、ご丁寧に日付まで書いてある。
「ルドガー、この手紙預からせてくれないかしら? 」
「……は? 」
そりゃそうなるよな。
大好きな人からの手紙、そうそう他人に預ける気にはならないだろう。
「え、えっとね。帰ったら手紙のことをエミリアに聞いてみようと思うの。そのとき実物があった方が彼女の真意が聞けるんじゃないかと」
我ながら苦しい言い訳だ。
ルドガーはしばらく怪訝そうな顔をして私を見ていたが分かった、と返事をした。
「エミリアの真意が分かったら手紙をくれ、この学園宛にくれれば良い」
やった! ラブラブレターゲット!
私はうっかりにやにやが表情に出ないように手紙を受け取った。
「……じゃあな」
「あーー!!! ルドガーここにいた! 」
ルドガーが踵を反そうとしたとき、一人の女の子の声が響き渡った。
金髪ツインテール、可愛いけど気の強そうな顔立ち。
「レベッカ!! 」
しまった、うっかり名前を呼んでしまった。まだ面識がないはずなのに。
「はぁ? 誰よあんた? 」
ジトッと睨み付けるレベッカの顔は思わず後退りほど怖い。
「え、えっと。誰かが噂してるのを聞いて……」
「噂? ふーん、どうだって良いわ。で、ルドガー、この女誰なの? 」
「……イリアだ」
誰? とレベッカが不機嫌そうに聞いた。まずいこれは敵認定されてしまうかもしれない。
ちょっとルドガーも誤解を生まないようにエミリアの姉って付け加えてよ! と内心で毒づく。
まぁ口下手な彼には中々難しいことか。
それに体育館裏で2人きりでいたとなれば誤解を受けるのも仕方ないかもしれない。
「ま、何でも良いわ。行こうルドガー」
そしてくるりと振り向いて私にこう言い放つ。
「ご機嫌よう、泥棒猫さん」
泥棒猫!?
生まれて初めてそんな台詞を言われた。
それにその台詞が一番似合うのは私だと思うのだが……。
何とか弁解しようとしたのだが、ルドガーがいる手前、迂闊に変なことは口に出せない。
私はただパクパクと口を動かすばかりで何も言えなくなった。
そして小さくなっていく二人の背中を眺めることしか出来なかった。
私がここにいられるのは後1日、この限られた時間でレベッカの誤解を解かなければ!
ーーしかし3日というのは短いもので、あっという間に過ぎるものなのだ。
1
あなたにおすすめの小説
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる