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寿司

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悪役令嬢、警戒される

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 ミラン先生を仲間に引き込むとに成功した私は、先生からの証言をゲットした!

 先生と浮気していたなんてバレたらそれなりのダメージにはなるだろう。

「でもこれだけじゃ弱いかしらね……」

 ミラン先生は当日も応援に来てくれるつもりらしい。

 何とかして潜り込んでみますね、と言ってくれたので大変心強い。

 彼女も良いとこのお嬢さんらしく、パーティに声がかかってもおかしくはないようだ。

「後は……レベッカだけど」

 レベッカ=タリスマン。もう一人の悪役。しかし彼女とはクラスが違うらしく、中々会うことは出来なかった。
 休み時間の間を縫っては探してみたのだけれど、学園内は中等部、高等部とたくさんの学年に分かれていて中々骨が折れた。

「うふふ、イリアさん~。今は授業中ですよー」

 私ははっと顔をあげる。
 ミラン先生がにっこりとこちらを見ていて、私は苦笑いを浮かべる。

「考え事も楽しいですけど、今はこっちに集中してくださいね」

 ミラン先生は全てを見透かしているようだ。

 はーい、と私は答える。
 彼女もそれ以上は注意はしてこなかった。

 後2日で、レベッカ=タリスマンを見つけなければ。

 そんな野望をメラメラと内に秘めて、私は音楽の授業に集中し始めた。

◇◇◇

 で、チャイムがなった途端に教室を飛び出そうと思った私だったが……。

「……ちょっと良いか? 」

 なぜかルドガーに捕まってしまった。

 何とかして断ろうと思ったのだが悲しいかな、男慣れしていない私はビクついてしまい勢いにまかせて了承してしまったのである。

 体育館の裏に連れて来られ、ビクビクしながら私は彼の言葉を待った。

「……え」

「え? 何ですか? 」
 
 ルドガーは言葉を絞り出すのに精一杯のようで、私はただひたすらに彼の次の言葉を待ち構える。

「……エミリアはエドが好きなのか? 」
  
 思わず脱力感に襲われた。
 知らんがなそんなこと!!エミリア本人に聞いてくれ!!
 私はついそう言いそうになる。
 こんなことで私はレベッカを探す貴重な時間を無駄にしてしまったのかと溜め息すら漏れた。

「さ、さぁ……。私には何とも」

 しかしそんな私の返答は聞いていないのか、彼はドンドン喋りだす。

「俺との手紙は……嘘だったのか……」

「手紙? 」

 するとルドガーは私に何通もの手紙を差し出した。

「読んでも良いのかしら?」

 ルドガーはこくりと頷く。そしてお言葉に甘えて一番上の手紙に目を通した。
 可愛いらしいピンク色の便箋で、何やらファンシーなキャラクターが描かれている。

 "ルドガーへ"

 女の子っぽい丸文字だ。

"ルドガーはお話するのがちょこっと苦手みたいだから手紙にしてみました"

"初めて会ったときからあなたが気になっていて、もっと仲良くなりたいなって思ってます"

"本当は優しいこと、私だけが知ってるよ"

"エミリアより"

"10/11"

 文章中には時々ハートマークが描かれ、確かに恋人同士にも見えなくはない。

 他の手紙もこんな感じの文章で、エミリアがルドガーに猛アタックしているような内容だった。

「……俺はどうすれば」

「えっと……」

 何と返したら彼が納得するのかさっぱり分からない私はただ苦笑いを浮かべる浮かべる。

 そのとき私の脳裏に、この手紙、証拠として使えるんじゃないか? という考えが浮かんだ。

 運よくエミリアと名乗ってくれているので彼女のもので間違いないだろうし、ご丁寧に日付まで書いてある。

「ルドガー、この手紙預からせてくれないかしら? 」

「……は? 」

 そりゃそうなるよな。
 大好きな人からの手紙、そうそう他人に預ける気にはならないだろう。

「え、えっとね。帰ったら手紙のことをエミリアに聞いてみようと思うの。そのとき実物があった方が彼女の真意が聞けるんじゃないかと」

 我ながら苦しい言い訳だ。
 ルドガーはしばらく怪訝そうな顔をして私を見ていたが分かった、と返事をした。

「エミリアの真意が分かったら手紙をくれ、この学園宛にくれれば良い」

 やった! ラブラブレターゲット!

 私はうっかりにやにやが表情に出ないように手紙を受け取った。

「……じゃあな」

「あーー!!! ルドガーここにいた! 」

 ルドガーが踵を反そうとしたとき、一人の女の子の声が響き渡った。

 金髪ツインテール、可愛いけど気の強そうな顔立ち。

「レベッカ!! 」

 しまった、うっかり名前を呼んでしまった。まだ面識がないはずなのに。

「はぁ? 誰よあんた? 」

 ジトッと睨み付けるレベッカの顔は思わず後退りほど怖い。

「え、えっと。誰かが噂してるのを聞いて……」

「噂? ふーん、どうだって良いわ。で、ルドガー、この女誰なの? 」

「……イリアだ」

 誰? とレベッカが不機嫌そうに聞いた。まずいこれは敵認定されてしまうかもしれない。

 ちょっとルドガーも誤解を生まないようにエミリアの姉って付け加えてよ! と内心で毒づく。
 まぁ口下手な彼には中々難しいことか。

 それに体育館裏で2人きりでいたとなれば誤解を受けるのも仕方ないかもしれない。

「ま、何でも良いわ。行こうルドガー」

 そしてくるりと振り向いて私にこう言い放つ。

「ご機嫌よう、泥棒猫さん」

 泥棒猫!? 
 生まれて初めてそんな台詞を言われた。

 それにその台詞が一番似合うのは私だと思うのだが……。

 何とか弁解しようとしたのだが、ルドガーがいる手前、迂闊に変なことは口に出せない。

 私はただパクパクと口を動かすばかりで何も言えなくなった。
 そして小さくなっていく二人の背中を眺めることしか出来なかった。

 私がここにいられるのは後1日、この限られた時間でレベッカの誤解を解かなければ!

 ーーしかし3日というのは短いもので、あっという間に過ぎるものなのだ。
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