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寿司

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悪役令嬢、トドメをさす

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「えーっと、お取り込み中に申し訳ないんだけど……ちょっと良いですか? 」

 まだギャーギャー言い争ってる二人の会話に割り込む私。 
 ギョロリとした瞳で私を睨むバカップルたち。おー怖い怖い。

「最後にこちらをお聞きくださいませ」

 そして流れてきたのはあの音声。

『イリアを消すしかない』

『でもどうやって? 』

『イリアから僕との婚約破棄を言うはずはない。それならば可哀想だが彼女には罪を被って貰おう』

『つまり私へのいじめを仕立てあげ、1/1の王位継承パーティで婚約破棄を言い渡すという訳ですね』 

『そうだ。婚約破棄を言い渡され、妹にその座を奪われ、プライドをズタズタにされるなんて目も当てられない。神の元へ還った方が彼女も幸せだろう』

『そうですね……。私でしたら死んでしまいたいと思います』

『ああ、罪を犯す私たちをお救いください』

『二人で地獄に落ちよう、エミリア』

 もう二人は何も言わなかった。エドワードは真っ白な顔をして、もう終わりだ……と呟いた。
 
 その様子は、この音声が彼らのものであることを証明してくれたようだ。

 周りの貴族たちがざわざわとし始め、口々にエドワードたちに非難を浴びせた。

 ーー無実の人間を処刑しようとするなんて恐ろしい人間だ!

 ーー神の裁きを!!

 私はうなだれている二人に近付き、その目の前で腕を組む。

「地獄に落ちるのはあなたたちの方だったみたいね」

 あ、そうそうと付け加える。

「婚約破棄? 当たり前よ。貴方との結婚なんてこっちから願い下げだわ!! 」

「くっ……」

 エドワードはただ悔しそうに唇を噛むだけで何も言わない。しかしその噛み締めた唇からは血が滲んでいた。

 続いて私はエミリアの方を睨み付けて言った。

「こんな男、言ってくれれば喜んでくれてやったのに。馬鹿な妹ね」

 彼女はひっと上擦ったような悲鳴をあげただけで特に何も答えなかった。

 異様な空気に飲まれてか王ですら言葉を発せない。ただミラン先生とレベッカの二人は心底楽しそうに笑っていた。

 わなわなと震えるエドワードが、顔を青くしたり赤くしたりしながら絞り出すようにこう言った。

「……こんなもの、捏造だ」

「は? 」

「こんなの全部作り物だ!! 僕を嵌めようとイリアが……!!」

「作り物なんかじゃありません! まだ認めないのですか? 」

 酷く混乱しているのだろう。駄々をこねる子どものようなエドワードにはもう王子様のような気品はなかった。

「この大嘘つきが!! 」

  尚も往生際の悪いエドワードに押されそうになる私。しかし、それを制するように、凛とした声が会場に響き渡った。

「イリア様は嘘などついておられませんよ」

 どこか懐かしく、ほっとする声だ。あれこの声……。

 私を庇うように前に進み出てきたその人は、漆黒の髪を艶めかせて、まるで王子様のような服を纏っている。そして襟についた紋章はリセンティア王国のものだ……。

 そして深い海の底を写し取ったような藍色の切れ長の瞳。整った顔立ち。こんな人、あいつしかいない。
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