27 / 56
1/1
悪役令嬢、トドメをさす
しおりを挟む
「えーっと、お取り込み中に申し訳ないんだけど……ちょっと良いですか? 」
まだギャーギャー言い争ってる二人の会話に割り込む私。
ギョロリとした瞳で私を睨むバカップルたち。おー怖い怖い。
「最後にこちらをお聞きくださいませ」
そして流れてきたのはあの音声。
『イリアを消すしかない』
『でもどうやって? 』
『イリアから僕との婚約破棄を言うはずはない。それならば可哀想だが彼女には罪を被って貰おう』
『つまり私へのいじめを仕立てあげ、1/1の王位継承パーティで婚約破棄を言い渡すという訳ですね』
『そうだ。婚約破棄を言い渡され、妹にその座を奪われ、プライドをズタズタにされるなんて目も当てられない。神の元へ還った方が彼女も幸せだろう』
『そうですね……。私でしたら死んでしまいたいと思います』
『ああ、罪を犯す私たちをお救いください』
『二人で地獄に落ちよう、エミリア』
もう二人は何も言わなかった。エドワードは真っ白な顔をして、もう終わりだ……と呟いた。
その様子は、この音声が彼らのものであることを証明してくれたようだ。
周りの貴族たちがざわざわとし始め、口々にエドワードたちに非難を浴びせた。
ーー無実の人間を処刑しようとするなんて恐ろしい人間だ!
ーー神の裁きを!!
私はうなだれている二人に近付き、その目の前で腕を組む。
「地獄に落ちるのはあなたたちの方だったみたいね」
あ、そうそうと付け加える。
「婚約破棄? 当たり前よ。貴方との結婚なんてこっちから願い下げだわ!! 」
「くっ……」
エドワードはただ悔しそうに唇を噛むだけで何も言わない。しかしその噛み締めた唇からは血が滲んでいた。
続いて私はエミリアの方を睨み付けて言った。
「こんな男、言ってくれれば喜んでくれてやったのに。馬鹿な妹ね」
彼女はひっと上擦ったような悲鳴をあげただけで特に何も答えなかった。
異様な空気に飲まれてか王ですら言葉を発せない。ただミラン先生とレベッカの二人は心底楽しそうに笑っていた。
わなわなと震えるエドワードが、顔を青くしたり赤くしたりしながら絞り出すようにこう言った。
「……こんなもの、捏造だ」
「は? 」
「こんなの全部作り物だ!! 僕を嵌めようとイリアが……!!」
「作り物なんかじゃありません! まだ認めないのですか? 」
酷く混乱しているのだろう。駄々をこねる子どものようなエドワードにはもう王子様のような気品はなかった。
「この大嘘つきが!! 」
尚も往生際の悪いエドワードに押されそうになる私。しかし、それを制するように、凛とした声が会場に響き渡った。
「イリア様は嘘などついておられませんよ」
どこか懐かしく、ほっとする声だ。あれこの声……。
私を庇うように前に進み出てきたその人は、漆黒の髪を艶めかせて、まるで王子様のような服を纏っている。そして襟についた紋章はリセンティア王国のものだ……。
そして深い海の底を写し取ったような藍色の切れ長の瞳。整った顔立ち。こんな人、あいつしかいない。
まだギャーギャー言い争ってる二人の会話に割り込む私。
ギョロリとした瞳で私を睨むバカップルたち。おー怖い怖い。
「最後にこちらをお聞きくださいませ」
そして流れてきたのはあの音声。
『イリアを消すしかない』
『でもどうやって? 』
『イリアから僕との婚約破棄を言うはずはない。それならば可哀想だが彼女には罪を被って貰おう』
『つまり私へのいじめを仕立てあげ、1/1の王位継承パーティで婚約破棄を言い渡すという訳ですね』
『そうだ。婚約破棄を言い渡され、妹にその座を奪われ、プライドをズタズタにされるなんて目も当てられない。神の元へ還った方が彼女も幸せだろう』
『そうですね……。私でしたら死んでしまいたいと思います』
『ああ、罪を犯す私たちをお救いください』
『二人で地獄に落ちよう、エミリア』
もう二人は何も言わなかった。エドワードは真っ白な顔をして、もう終わりだ……と呟いた。
その様子は、この音声が彼らのものであることを証明してくれたようだ。
周りの貴族たちがざわざわとし始め、口々にエドワードたちに非難を浴びせた。
ーー無実の人間を処刑しようとするなんて恐ろしい人間だ!
ーー神の裁きを!!
私はうなだれている二人に近付き、その目の前で腕を組む。
「地獄に落ちるのはあなたたちの方だったみたいね」
あ、そうそうと付け加える。
「婚約破棄? 当たり前よ。貴方との結婚なんてこっちから願い下げだわ!! 」
「くっ……」
エドワードはただ悔しそうに唇を噛むだけで何も言わない。しかしその噛み締めた唇からは血が滲んでいた。
続いて私はエミリアの方を睨み付けて言った。
「こんな男、言ってくれれば喜んでくれてやったのに。馬鹿な妹ね」
彼女はひっと上擦ったような悲鳴をあげただけで特に何も答えなかった。
異様な空気に飲まれてか王ですら言葉を発せない。ただミラン先生とレベッカの二人は心底楽しそうに笑っていた。
わなわなと震えるエドワードが、顔を青くしたり赤くしたりしながら絞り出すようにこう言った。
「……こんなもの、捏造だ」
「は? 」
「こんなの全部作り物だ!! 僕を嵌めようとイリアが……!!」
「作り物なんかじゃありません! まだ認めないのですか? 」
酷く混乱しているのだろう。駄々をこねる子どものようなエドワードにはもう王子様のような気品はなかった。
「この大嘘つきが!! 」
尚も往生際の悪いエドワードに押されそうになる私。しかし、それを制するように、凛とした声が会場に響き渡った。
「イリア様は嘘などついておられませんよ」
どこか懐かしく、ほっとする声だ。あれこの声……。
私を庇うように前に進み出てきたその人は、漆黒の髪を艶めかせて、まるで王子様のような服を纏っている。そして襟についた紋章はリセンティア王国のものだ……。
そして深い海の底を写し取ったような藍色の切れ長の瞳。整った顔立ち。こんな人、あいつしかいない。
7
あなたにおすすめの小説
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる