断罪イベント? よろしい、受けて立ちましょう!

寿司

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エンディング後

悪役令嬢、噛み締める

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 さて、王妃になった私が普段何をしているのかと気になる人もいるだろう。ただゴロゴログータラしているだけではないのだ。

 簡単に言うと、客人をもてなすのが私の仕事。しかし上手くいってるのかどうか、私は自信が持てない。

 そして今日は医学が発展しているメディナという国の姫様をもてなす日だった。

「イリア様、ご機嫌麗しゅう」

「ど、どうも。こんにちは」

 ……正直これで合ってるのか私には分からない。だって社交術なんて教わってないのだから!

 おまけにゲームでもこんなところまで細かく描写されてなかったし。

 しかしロキだって初心者なのに王様をがんばっているんだ。私ばかり弱音を吐いていられない。

「イリア様といえばあのプロポーズ、凄かったですわね」

 幸か不幸か、どの国の人たちも私たちのあの逆断罪イベントに興味を持ってくれていて、会話のとっかかりを作るには最適であった。

 後はあのときのことをただつらつらと語るだけで大体の人の心は掴める。
 それだけ皆、修羅場というものに興味を惹かれるのだろう。

◇◇◇

「あ~~~~~疲れた」

「お疲れ様です。イリア様。でもはしたないですよ、王妃として自覚をお持ちくださいませ」

「すいません……」

 メイドのラビネが私の着替えをてきぱきと用意してくれる。
 ああ、言い忘れていたのだけれどお城にはお屋敷暮らしの時にお世話になっていたメイドは一人も連れてきていない。
 ロキは彼らのことをあまり良く思ってなさそうだったし、私としても良い思い出はない。

 そこで新しく雇ったラビネという女性に身の回りのお世話を頼んでいた。

 ラビネはショートカットがよく似合うクールな美人で、どんな仕事もてきぱきとこなす出来る女だった。

「ありがとう、ラビネ……」

 重たいドレスを脱ぎ捨てて、動きやすいワンピースに着替える。

 それにしても今日のお姫様はお喋りで大変だった……。そもそも他国の言葉を習いたての私にはあまりリスニング能力もない。相槌を打つのに精一杯だった。

「ですがメディナ語もだいぶ慣れましたね。流石です」

「まだ聞き取るのも苦戦してるけどね」

 ラビネはふっと少しだけ笑みを浮かべると、では食事の準備をして参ります。とそそくさと部屋を後にした。

 彼女のこの近ず離れずな絶妙な距離感が心地よい。
 それにしてもメイドさんか~。クリミアの屋敷に置いてきたメイドは一体どうしているのだろう?

 まるで嵐のような勢いでこっちに来てしまったからお父様たちがどうしているのかまったく知らない。ろくに挨拶もせずに嫁入りしてしまったものだから仕方ないと言えば仕方がない。

 別に会いたいわけではないけれど、どうしているのか気にならないと言えば嘘になる。

 私はゴロンとベッドに横になると、目をつぶった。

 お城での生活は大変だけど幸せだ。城の人たちは皆優しいし、王妃としての職務は私には荷が重いけれどロキと一緒にいれるとは嬉しい。

「これがハッピーエンドってやつか……」

 まさか悪役令嬢である私がハッピーエンドを迎えることが出来るなんて夢にも思わなかった。
 私を主人公にして乙女ゲームが1本作れるんじゃないだろうか?

 ……何てね、それは調子に乗りすぎかな。

 すると、慌ただしい足音ともにラビネが部屋に飛び込んできた。
 珍しく額に汗をかいており、ぜーぜーと肩で息をしている。

「イリア様! 大変です! 見知らぬ男性がエントランスで暴れているのですが」

「見知らぬ男性……? 」

「イリア様を呼べと言って聞かないのです……追い出してもよろしいですか? 」

 ちょっと誰なのか思い付かない。

「一体、誰かしら」

「分かりません……。しかしそこそこお年は召しているようです」

「分かった。取り敢えず行ってみるわ。ラビネ、案内して」

「平常心を失っているようですのでお気をつけて! 」

 ラビネに着いていくようにして、私はその男性のもとへ向かったのだった。
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