いまそこにある媚肉

島村春穂

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いびつなラヴ

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 たゆむほど大ぶりな乳房である。双つの乳頭をこすり合わせて遊ぶことさえできた。


「……もういいでしょ。気が済んだでしょ……ねえ」
 匠の愛撫が大人びてきたことに、貴子は身じろぎ、悶え、そして振るえていた。


 匠に、いままさに躰を征服されようとしている。ふてぶてしく尖った乳頭を、きつく握り潰される。にぎにぎ、と親指と人差し指でねじられながら、引っ張りあげられてだ。およそ、こんなの取れてもいいよな、と言わんばかりだ。


 熟れた乳房のさきが膨らみを増し、上向いて張ってきた。匠の愛撫にもいよいよ熱がこもってきた。ぐにゅり、ぐにゅり、と、しずくの丘が手の平のリズムに合わせ、あれこれ様々な形に変えられ、むぎゅう、と指が食い込むなり、新雪のように真っ白い柔肌は大胆に凹み、その指のすき間から肉片をはみ出させ、いいように捏ねくられていく。


「くぅ!……」
 貴子は、お腹からせりあがってきた泣き言をやっと耐えた。赤い口紅が、生々しく歪む。


 匠の手つきから、貴子に対する遠慮というものが、まるで感じられない。愛玩を玩ぶような愛撫である。五指で、たわわに実った双つの肉の嵩ばりを抓みあげ、持ちあげては、どすん、と落とし、毬玉でも弾ませるかのように、ブルンッ、ブルンッと揺らし尽くす。


 しだいに、貴子の可憐な唇が、はんびらいたままになってきていた。喉を小気味よく振るわせ、時折、お腹の底からうめくように濡れた媚声があがった。


「うぅ……もういいでしょ……満足したでしょ……」
 そう言いつつ、貴子は咳き込んだ。素足の指が丸まって、もがくように床を掻いている。


 匠はその様を探るように眺め、巻き髪のうしろから、ほくそ笑んでいた。感情が表立って分からないようなキツネ目をしているが、確かに口もとがいやらしくほころんだ。


 匠は知りつつあった。女の瀬戸際に追い詰められた貴子が咳き込むことをだ。それを窺わせるように、握り締めたしずくの肉房を、幾重にも揺らめいて見えてしまうほど、互い違いに荒々しく揉みしだきだした。


「ハウン!」
 もたれるように寄りかかる貴子の首筋が、青い静脈を浮きただせ、ピンと張り詰めていく。


 いまにも喘ぎそうになる口もとに、ほうれい線を深く刻みこみ、せめて、女の表情だけは見せまいと、潔癖なくらい匠から顔をそむけた。


 とそのとき、巻き髪に、そっと手櫛がはいってきて、その一瞬、貴子の躰が感電したかのようにビクビクっと弾んだ。そのまま、匠の熱視線に射抜かれた顔は、美眉を引き絞り、媚態に溢れた皺を目じりに寄せて、喉を小刻みに振るえさせた。


「ああ……だめよぉ……だめえ……」
 と、泣き言もおおくなってきた。


 うしろから抱いている貴子の背が、ドッと熱っぽくなってきた。生ぬるいフェロモンが、ムッとむせ返ってくる。


 悩ましい汗が、八の字に分かれたFカップを色めきただせる。高飛車な態度で、ツンと上向いたところが光沢を孕んでいた。


 そういえば、匠と初めて顔を会わせて間もなく、冗談交じりに、なにカップあるんですか、と尋ねられ、ンもう、なに聞いてるのー、と窘めつつ、せがまれて、Fカップよ、なんて笑って話した頃が懐かしい。いまや、そのFカップが、息子の慰みものとなっている。


「だめ……ううん……アン……だめよぉ、匠さん……アン、やっ、アア……ううぅ……アハン!」
 匠のアソコに、お尻を押し付けるようにして、豊腰が勝手に踊りだしてしまう。


 猫背ぎみに覆いかぶさる匠の股間が隆起していたのは言うまでもない。ふくらんだズボンは、ゆうにメロン大のおおきさほどはあった。


「うぅん……もう、やめ……よう……アン……ア……うぅ……やん……ほんとに……あぁ……」
 貴子は、地団駄を踏みながら、右に左にくねらされるお尻から、逞しい弾力を感じとっていた。


 すごいおおきい……。おおきすぎる……。もしこんな物で貫かれでもしたら。女の性分を知っているだけに、戦慄せずにはいられなかった。躰中に鳥肌が立つ思いであった。


 巻き髪や、耳に吐きかかる息が芳香してきた。自らを鼓舞し、刺戟を求め、高まっていくかのように、匠のうめき声が荒っぽいものになっていく。


 天井に向いて隆起する股間に、豊満なお尻を押し付けられ、くねらされても、匠はしずくに垂れる肉房に執着した。女のシンボルに、まるで母性を求めるようなところがあった。と同時に、どこか憎しみも孕んでいた。胸を玩ばれながら、貴子はそれを敏感に感じとっていた。


……
 と、呟きながら、匠が頬と頬を寄せてきた。


 その熱視線に、毛穴まで覗き見られている気がした。羞ずかしい……と言いかけて、貴子はハッとした。羞ずかしい、というのはおかしい。怒らなければいけない状況なのだ。しかし、言葉がまるで出てこない。考えているうち、訳が分からなくなってきた。


「ううぅ……」
 お腹から絞り出されたのは、くぐもった低いうなり声であった。


 視界の遠くのほうで、肉房があつめられ、歪められ、揺すぶられているような、そんな浮遊感が漂いつつあった。前掛けエプロンの裾が、ひらひら揺らめく。ふくろはぎが光をあつめ、とても張り詰めている。


「おぉぉ……おぉぉ……」
 鎖骨に粒の汗をいくつもあつめて、汗ばんでいた。滑りのよくなった肌は、上質なトロ肉となって、前胸部のあたりを掴まれただけでも、ゆさゆさ踊り揺れる。貴子にとって、垂れだした豊乳を揺らされることは、極めて羞ずかしいことであった。


 ぎゅっと、瞼を閉じた。もうそこまで抑えきれない波がきてしまっている。


「ンぅああッ!」
 ついに、女がでた! 匠の腕のなかで、躰がびくびく振るえだした。


 魔の触手からやっと解放された肉房が、だるんッ、とたゆんだ。


「ああぁ……」
 と、流しに手を突いて、ひどく狼狽する貴子を尻目にし、匠の気配が静かに後じさった。


 貴子は、慌てて我に返り、ブラジャーも直さずノースリーブを整えた。そして、ぎゅっと握った手を胸の前に寄せた。ああぁ……と項垂れたまま、そのまましばらく動けなかった。


 あの人からの電話が鳴るまでは。



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