85 / 138
第八十話 私を巡って争わないで!
しおりを挟む結界の中で激しく火花を散らし一進一退の戦いを繰り広げる両者をショウの身内達は各々応援していた
ルーメリアは「がんばれー」とこちらのやる気が削がれそうな程無気力脱力感的に声援を送り、フラミレッラは声は発していないがしっかりと目で追っていて、イレスティは祈るように手を組み一番前で見ており、レデリとルチルは女の子らしく黄色い声援を送り、ストリンデはシャドーボクシングをするように応援していた
そんな彼女達を視界の端に捕らえながら、俺は今吹き飛ばされている所だ
やっぱりまともに受けるとこちらが押し負けてしまう、力に極振りの脳筋タイプだからなこの人
「【ステップ】」
吹き飛ばされながら空中で体勢を整えた後空中に作った足場に着地して、相手の方へと勢いよく飛び出し高速の突きを放つがひらりと避けられ後ろを取られてしまうがこれはあえて作ったスキだ
「磁二刀嘯風弄月流【宵闇】」
ショウが背中に襲い掛かる大剣を受け流し急激に重くなった大剣のせいでよろけたカーティムを小太刀が狙うが、カーティムの大剣が地面へ激突した瞬間爆発が起こり、ショウの攻撃が届く事はなく爆風によって再度吹き飛ばされた
前回もあの大剣とぶつかった時爆発してたな、おそらく任意のタイミングで接触した時爆発させららるんだろう。 これからはまともに受けるのは危険
爆発によって起こった土煙の中、うっすらと見える影の方から声がした
「面妖な技」
「それはカーティムさんもじゃないですか」
「誠愉快。」
はぁ… なんだよその満面の笑みは… 完全にバトルジャンキーだよ…
そして再度お互いに向かい合う
カーティムさんは豪の剣。 纏っている【オーラ】や【闘気】は荒々しく、それらを武器に変え、威圧したり、怯ませたりして、次の手を読ませた上で力で押しつぶす剣だ
対して俺が纏っているのは凪の【オーラ】と【闘気】で、相手を威圧したり怯ませたりは出来ないが次の行動が読まれにくいと言う利点がある。
ショウは【マナ身体強化】をかけマナを練り合わせ蒼白い炎を刀に纏わせると向こうも見覚えのある構えをしていた。
地下闘技場で見たあの技か… この前は晶刀が砕かれたけど今回は…
「爆炎豪火一刀流…」
「蒼炎二刀嘯風弄月流…」
「「【紅蓮】【月夜見】」」
前回と同じ様に二人がぶつかると大剣からは辺りの物を吹き飛ばしてしまう程の爆発が巻き起こり、ショウの刀からは蒼白い炎が天高く火柱を上げ力と力がぶつかったが今回は壊れずに済んだが、何度も爆発と火柱が上がる攻防の中でやはり徐々に押し負けて来た
クソ、やっぱり直接打ち合うには剣技の性質的に俺が何段か上でないと押し負ける
戦い方は真逆で相性は可もなく不可もなくと言った感じだろうが、そもそも剣の技術が圧倒的に俺の方が下なので剣だけで勝つのはまぁ無理だろう…となると…
ショウは相手の爆発の勢いに乗りあえて距離をとり魔法を唱える
「土魔法【アースロック】」
カーティムの足元の土が盛り上がり彼の足を掴もうとするが…
そんな単純な手に引っかかる訳もなく地面を強く蹴り、空へと上がり魔法を避けた
「 まぁそうですよね、風二刀嘯風弄月流【梅風】、晶二刀嘯風弄月流【篠突雨】」
鋭い風の刃と斬撃の組み合わせった二つの大きな斬撃と、横殴りの大粒の雨の様な無数の斬撃が空中にいるカーティム目掛けて飛んでいく
俺の狙いはカーティムさんを空中へと誘う事、意外と簡単に引っかかってくれたな、空中なら全ては避けきれないまい!
ショウの放った斬撃が後少しで当たるという所で、剣を空中で横に振り爆発を起こしその爆風で横へと避けた後再度爆発を起こしショウの元へと高速で突っ込んできた
爆発を使って高速移動も出来るのか! あの速度は避けきれない! それなら…
「【蒼炎連弾】」
蒼白い炎がガトリングの様に飛んで行き幾つかが切り伏せられ幾つかが着弾し、全身火傷を負いながらこちらに向かってくるカーティムの大剣がショウを捉えた!
「ぐっ!」
甲高い金属音がしたすぐ後に爆音が轟く、二刀で受けるが爆発も加わった事で威力が更に上がった事によりやはり受けきれず刀が弾かれ、左肩に大剣が直撃!
肩から先が木っ端微塵に吹き飛び肉の断片が辺りに飛び散るがただではやられるショウではない
「時計仕掛けの魔法水魔法【水蛇】」
水で出来た大蛇が勢いよく飛び出しカーティムの腹を食い破り風穴を開ける事に成功したが、まだまだ倒れる気配はない
「…我負けない…」
腹に風穴が空き吐血しているが、カーティムの勢いは留まる事なく肩から先がなく立っているのもやっとな状態のショウを容赦なく追撃する
「爆炎豪火一刀流【烈火】」
「 時計仕掛けの魔法 【宝龍】」
輝く鱗の龍が俺を蜷局を巻くように守るが、鋭い突きを放つ度に爆発するカーティムの剣技に 【宝龍】が徐々に砕かれそして…
「ぐわぁあああ!」
ついに貫通して太ももに刺さった大剣が爆発を起こし足が吹き飛んだ痛みに耐えかね思わず声を上げる
骨は剥き出しだし激痛に苛まれ意識を飛ばしてしまいそうだが回復なんてしてる暇はない、次の手に移らないと確実に次の一撃でやられる!
目を覆ったルチルの姿を視界の端で捕らえ苦笑いしてしまう。
そんな心配すんなよ、今いい作戦思いついたから!
「【重力反転】」
激しい攻撃をしていたカーティムも急に浮かび上がった事で攻撃がキャンセルされ、二人の体が宙へと浮き上がりどちらもバランスを崩していたがそんな中でもショウは魔法を発動してた
「土魔法【サブサイデンス】重力魔法【超重力】」
宙に浮きながらカーティムの真下にある地面を陥没させると同時に場の重力が何倍にもなり二人共地に落ちるがカーティムは陥没した穴の中だ
「土魔法【砂鯨】」
砂で出来た鯨が大きく陥没した穴へと大きな口を開けながら飛び込み、カーティムを飲み込むと砂が一気に凝縮して圧殺させた
「はぁ…はぁ…勝った…【リカバリー】」
俺は欠損した左肩から先と脚を元に戻し後ろに倒れ込だ
後一撃食らってたら負けてたな… 俺は圧倒的に戦闘経験が足りない。
でも何とかやってけてるのは魔法のおかげだ… 親には感謝だなほんと…
「今回も我、負け」
カーティムの死によって結界は解かれており、砂に圧殺された彼はすっかり元通りとなってすっと手を差し出してくれていた
結界マジ半端ねぇ… こういう事は魔法じゃ再現できないな
俺は手を取り起き上がらせてもらう
「今回も剣では負けてましたよ」
「それでもそなたの勝ち。 恥じることはない。」
「前もそう言われましたね」
そう言ってお互いに笑い合うとイレスティが飛びついて来た
「イテテテ、折角起き上がれたのに」
俺は思わず苦笑いしてしまう
「心配しておりました…」
イレスティは泣きそうな顔で俺の胸に顔を埋めた
「大げさだな… 死んでも復活するんだから」
俺は少し照れて頬を掻きながら頭を撫でた
「それでも…ご主人様が傷つく姿を見て心配せずにはいられません」
ギュッと俺のボロボロになったローブにしがみつく彼女が愛おしい
「…イレスティ、ずるい。」
ルーがややむくれながらやって来た
「あなた変わったわね、昔はこんな事するような子じゃなかったのに」
フララは日傘を回しながら優しくイレスティに微笑んだ
「まぁ良くも悪くも兄さんが変えたんじゃない?」
しゃがみ込んで倒れてる俺の頬をからかう様に突いた
「あーあー、相変わらずのハーレムやろうねあんた」
腰に手を当てジト目で見てくる彼女の視線が痛い。 やっぱり聖女だしこういうの印象悪いだろうな
そしてリンデの後ろにはルチルが気まずそうにモジモジしており、その姿がとても可愛くて頬を緩ませ未だ抱き着いて離れないイレスティに苦笑いしながら起き上がった
「ルチル、おいで」
リンデの後ろに隠れてるルチルの垂れ下がった耳がピンと立ち上がり、Tシャツの裾を下に引っ張りながらモジモジこちらへやって来た
「ぬ、主様…信じておったのじゃが… その… 大変な思いをさせてすまんのじゃ!」
手も耳も尻尾もピコピコ動かしながら申し訳なさそうにする彼女を手繰り寄せる
「今後ともよろしく、抱き枕さん」
「はいなのじゃ!」
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる