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第百三十一話 そして誰も居なくなるかもしれない
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木に吊るされた男女六人の死体を朝日が照らし出して一番最初に気が付くのは、全員四肢がないという事。
生徒の一人が見つけた時には、森の魔物が口元を血で汚してむしゃむしゃと彼らの肉を堪能している所で、腹が食い破られ中身が飛び出してたりして見た目にも良くない。
付け根から切られた四肢の断面は人為的に何度も前後した形跡があり、死んでから時間がそれなりに経過しているみたいで赤黒く固まっていた。
赤黒い切断された肉の真ん中に飛び出している骨の周りに切りカスが溜まってる所をみると、ノコギリの様な物で切られたのだという事が予想できる。
裸に引ん剝かれ、体の重さで伸びた首は縄が巻かれている所が紫に変色し、舌が自然と出ていて涎の跡も凄くて、穴という穴から体液が噴出、汚物も垂れ流しだしかなり匂いもきつい。
あの黒ずくめの奴らこんな事までするのか? 何か情報を引き出すための拷問か何かなのかな? それとも見せしめ?
魔物死体は見慣れている学生だけど、所詮は温室育ち、人の死体、それも昨日まで話していた身内の死は受け入れがたい様子で、俺同様吐き気を堪える者や、我慢出来ずぶちまけている者もいる。
ウルを見てみると、他の者の様に吐き気に襲われたりはしていないようだが、下を向いて歯をガチガチ鳴らして両肩を抱えながらブルブルと震えていて、この場の反応としては少しおかしく感じた。
ベンノに至っては恍惚とした表情で股間を膨らませている。こいつも反応が少しおかしい。
遺体を持って動き回るわけには行かないので、遺族には申し訳ないがその場で弔い、アンデッドにならないように焼き払う。全員が胸に何かしらの引っ掛かりを覚えながらも、次の村へと向かった。
次の村は最初の村とは違い、村の半分が大破してる状態で被害は甚大だ。
スライム達が住み着いたとされる洞窟へと急ぎ、対処へ当たる。
被害状況から見て、最早学生の手に余る案件だと思うが、引率教員は止める気がはない。
一体何を考えているのかさっぱりわからない。こいつもやっぱりあの黒い奴らの仲間なのかな?
まだ朝の悲惨の光景を引き摺っている学生たちを無理やり洞窟へと連れて行くと、小さい洞窟らしく、分裂して増えたスライムが洞窟から溢れ返っていた。
パリピが好みそうな密度だ。何故パリピはああも人口密度が高い所に集まるのか。イベントの匂いを嗅ぎつけ何処からともなく集まってくるあの人種は一人いたら五人はいるからな。
よくよく見ると昨日のスライムと少し違う。
というか異常繁殖しすぎじゃないか?
「ショウ様、あれは昨日のよりも上位種。スタービングスライムでございます。普通のスライムと違って、放出される溶解液は強力で、斬撃や打撃といった武器を使用した攻撃は核以外には無効。有機物無機物関係なく襲う危険な魔物でございます」
村の家々が大破していたのはスライム達が家ごと食べててしまったからなんだろうな。
直接の物理攻撃は核に届く前に武器が溶かされるから効かないって事だろうけど、それってかなりやりずらし、冒険者でもBランク以上、いやこの数ならAランク以上の依頼だっておかしくない。
どう見ても自分達の手に余る強力な敵が洞窟一杯に溢れていて、かなり離れた場所だというのに学生たちは完全に怯んでしまい、ブルってこれ以上誰も前に出れない状況だった。
引率教員はニヤリと気味の悪い笑みを浮かべるだけで何かをしてくれそうな気配はない。
そんな状況の中、ジルと一緒に乗った馬から降りてゆっくりと皆の前に出る。
「ちょ、ちょっと留学生流石にあれはやばいってのー、さがりなよー!」
「そうだ、あれは俺達の手に余る、先生に全てを任せるべきだ」
フォーセルとイクセが心配そうな声を発しながら前に出る俺を咎めて来た。
意外とこいつら根は悪い奴じゃないのかもしれないな、だからと言ってウルにやった事を許す訳じゃないが。
にしてもこつらわかってない、あの教師は多分助けてなんてくれない。本当に助ける気なら既に引き返しているはずなのだ。
俺は二人の声を無視して魔力を練り始め、そこそこの時間をかけて使ってみたかった魔法を発動する。
「蒼炎魔法【炎虎】」
3メートル程ある蒼い炎の虎が勇ましい咆哮と共に生まれた。モデルはフララのタクシー愛虎ニコレーナだ。
生徒一同、魔法なんて物は見た事があるはずもなく、余りに立派な蒼い炎の虎に感嘆の声が漏れ、咆哮に驚いた馬が暴れて振り落とされる者もいた。
そんな生徒を背に、炎の虎が土を蹴り上げドシドシとスライム犇めく洞窟へと駆けて行く。
炎の牙、炎の爪で易々と上位のスライム達をなぎ倒していくのが一同信じられないようで、ざわつきが大きくなっていくのを背中で感じるけど、この魔法の神髄はこれからだ。
炎の虎が洞窟の中心部へと到達した所で、俺はパンと強く手を叩く。
すると洞窟の中心部で、大地が脈打つ激しい爆発が起こった。衝撃波で辺りの樹々がしなり、軽い物は吹き飛ばされる。
揺れる大地、激しい爆風と爆音に生徒一同は悲鳴を上げ、ほんの少しして洞窟一杯に密集していたスライム達のドロリとした体液や体内に囚われていた者達の肉片が雨になって降り注いだ。
中に居たスライム達は爆発の衝撃によって核が全て破壊されて木っ端みじんとなり、激しい爆発で洞窟が消滅、キノコ雲が上がっている場所は大きくへこみ、元の地形と大きく変わっていた。
先程ざわついていたのが嘘みたいに静かになっているが、飛び出そうな位目を引ん剝いて、あんぐり口を開けながら驚いているのが分かる。
だって俺も同じ顔してるから!
「留学生!! 今のは一体なんなんだ!! 何でお前あんな事やっておいて平然としてるんだよ!」
生徒の一人が俺に向かって攻めた様な口調で問いかけて来た。
「慣れてるから」
背中で語ってみるが嘘だ! 本当は自分でも驚きの余り腰を抜かしそうで、足は相当震えているし、鼻水まで出てるんだけど?!
俺が引き起こしたのは所謂水素爆発ってやつだ、実際目にした事はなかったけどここまでとは……
使ってみて思ったけど、威力が高すぎて自分も巻き込みかねないこの魔法を実践で使うのは難しい。改良が必要だな……
そぉ~っと鼻水を拭って振り返ってみると全員がポカーンとした顔でもくもく上がるキノコ雲を見ていた。余りの事に意識がどこかへ飛んでしまっているみたいだ。
アンジェはいつも通り無反応、耳の良いジルは大きすぎる爆音でめまいを起こしてしまった様で、俺にしなだれかかって来たのを受け止めてやると、調子に乗って首腕を回してキスしようとして来た所を手でグワっと顔を掴んで押し返す。
「大丈夫大丈夫! 舌先で歯の本数数えてる内の終わるから!」
両手が宙を泳ぐのがちょっと可愛い。
「ルーみたいに言ってもさせねぇよ?! しょっぱなからディープなやつをご所望とか欲深い!」
「 良いから良いから! 一回したら後はなし崩しに何回も出来ちゃうから! 」
「それはお前の願望だろうが!」
嫌がらせの様に手の平をレロレロと舐めて来るので手に思いっきり力を入れてアイアンクローで膝をつかせてやる。
そんなバカで日常的なやり取りを、ウルは羨ましそうに見つめて笑い、俺と目が合うと慌てて目を逸らす。
本来ならここにウルもいて一緒に笑って欲しいんだけどなぁ……
彼女は理由はわからないけど自らイジメられるのを望んでいる節があって、必要以上に優しくされたりすることに抵抗あがあるらしい。
一瞬で終わったスライム退治は、飛び散った核を生徒全員で集める方が時間を要し、やっと終わった頃にはすっかり日が落ちて近くの平原で野営する事となった。
先程俺が見せた力に、どうにか繋がりを持っておこうとフォーセル、イクセを中心に今までハブにしていた事なんてなかったかの如く、どいつもこいつも愛想よく友達面をしてくるのがウザイ。
べ、別に友達が沢山出来た気になって嬉しいわけじゃないからね?!
「お前ら飯どうすんの? あれだったら一緒に狩りに行こうぜ」
イクセが白い歯を剥き出しにして爽やかな笑顔を向けて来るが、ちょっと暑苦しくて苦手だ。
昨日の襲撃で一日分の栄養が賄えるゼリーが全て燃え、村から何か分けて貰おうにも村も苦しい状態だったので、これからの校外授業の食事は各自で調達しないといけない。
「自分達で準備するから遠慮しとく。じゃあ行くわ」
俺がそう言って背を向けると後ろから、何だよあいつとか、ちょっと魔術が出来るからって調子乗りやがってなんていう声がグサリと刺さるが無視だ。あんなクソの役にも立たない友達もどきは必要ない。
どうせみんな俺が毎日朝と夜にポエム送ったらブロックするんでしょ?!
一人隅に座るウルをこっそり連れ出して、四人で【転移】を使いエクランの城の南門へと飛ぶ。
「……綺麗」
ウルは真っ暗な平原から突然街中に変わった事に大層驚き、何とか絞り出した言葉がこれだった。少しだけ見える街並みに感動してくれた様だ。
「でしょ? 一応俺が納める街だよ」
夜のエクランは非常に綺麗だ。エメの力で春の間中ずっと満開になる品種改良された桜でドレスアップした街には風情があり、街灯が照らす光に街中の宝石が反射し昼間とは違う煌びやかさで彩られた街の景観は見応え十分である。
そんなウルが城の城門を潜る際にビクンと硬直した。無理もない、門番は漆黒の大剣を携えたSランクの魔物デュラハン二体なのだから。
門を潜り城の両扉の前に立つと扉が勝手に開き、赤い絨毯が敷かれた通り道の両脇にずらりと並んだ美女メイド達と灰色の翼を持った美男美女執事達が俺達に頭を下げて一斉に声を発する。
「「「「「「「お帰りなさいませご主人様」」」」」」」
やっぱこれだよなぁ……こんな風に出迎える文化はこの世界になかったのだが、職業体験でメイド喫茶を希望する程、メイド喫茶が好きなメイド喫茶童貞の俺が、この言葉を言わせないはずがない、この言葉の為に俺は帰って来るのだ!
両脇の威圧感が半端ないけど、気にせず進むとその先にイレスティと執事服を着込んだオニキスが頭を下げ出迎えてくれた。
「お帰りなさいませご主人様、お食事の準備は出来ております。皆さまご一緒するよりも、ご主人様達だけで召し上がる方がよろしいでしょうか?」
「うん、頼むよ。四人で食べれるように準備しといて」
ウル見て気を使ってくれた様だ。まぁいきなりあの二人の前にこんな可愛い子出したらまたグサリといかれるからな……
それにウルもルーやフララや他の面々と一緒にだと落ち着かないだろうし。
「では私目がご案内いたします。どうぞこちらへ我が君」
ビシっと執事服を着こなしたオニキスはマジでカッコいい。というか俺と並ぶことでよりイケメンとちょいブスのコントラストが強くなるのでやめて欲しい……
案内された場所は、趣味で作ったコタツの置かれた部屋だ。春といっても夜はかなり冷えるのでまだまだ手放せない。
適度な温もりが気持ちよく、アンジェ以外の三人がコタツの心地よさに思わず上半身の力が抜け、突っ伏しながら大きな息を吐き出す。
「ねぇ先輩」
どうやら以前提案した先輩で呼び方は決定したらしい。反対側を向いて突っ伏した顔をこちらに向けた際にお互いの顔が思ったよりも近くて、一日お風呂に入ってないはずなのに、女の子の匂いがして思わずドキっとさせられ返事を忘れた。
「ねぇ先輩ってばぁ。何なのこのテーブル……この中には魔物が住み着いてるよ……がっちり足を掴んで離さないんだもん。なんて魔物なの?」
最近ウルのテンションが高い時が多々ある、俺達と居て明るくなってきた証拠だろうか?
「コタツっていう日本文化が生み出した魔物だよ。それに一度入ったら出られなくなる呪術も掛かってるんだよこのテーブル……」
「何それ嘘ばっかり」
弾んだ声でそう言ってクスクス笑うウルはとても魅力的だ。
「みんな必死に狩りして今夜の食事のありつこうとしてるのに、こんな事してていいのかな?」
「いいんだよ。ウルって誰かより楽したり幸せになったりする事になんか負い目でもあるの?」
俺の問いかけに彼女は何も言わず、黙りこくった。間違いなく何かの地雷だ。これ以上踏み込んで来るなという無言の拒絶。
気まずくなりそうだった雰囲気を敏感に悟ったのか、おもむろに立ち上がり、歌いまーす!と酔っぱらいの様なテンションで右手を上げて歌い始め、その心洗われる声に救われた。
その後はジルのお陰で和んだ雰囲気の中での食事を終えお風呂にさっと入り、野営地に戻ろうとした時、たまたま通りかかった呪術師ミントは俺達を見て顔をしかめ、俺に小さく手招きして呼び寄せる。
「どうかしたの?」
10徹でもしてるんじゃないかと思う程深いクマに、血ではなくケチャップが滲んだ包帯で体を巻いた奇抜な姿は未だになれない。
「雇い主よ、気付いておるのか?」
神妙な面持ちで俺に問うた彼女を見ると、余りいい話ではないようだ。
「あのマーメイドの女子程ではないが、今日連れて来た女子も深刻な呪術にかけられておるぞ」
「え? ジルとウルが?」
俺は驚きの余り硬直してしまう。ウルの呪いも驚きだが、ジルも呪いにかけられているなんて今の今まで全く知らなかった。
「その様子だと何も知らなんだな。雇い主の知り合いなら解呪してやりたいが無理だろうて。呪いは掛けるよりも解呪する方が圧倒的に難しいのでな。ウルと言ったか、あれは契約魔術の類と見える、何かをすれば死ぬ、何かをしなければ死ぬ、そう言った類のな。強力で一方的な契約だ、代償に人の命がいくつも使われているだろう」
そこまでしてウルに掛ける呪いって何だ?
「マーメイドの女子の方の呪いは余ですら掛ける事が不可能な程強大で人知を超えた物である故、解呪しようとしたら何が起こるか想像もしたくない。それも二つだ。こっちは発動するタイミングが決まっているタイプの様だな、いつかはわからなんだが」
ジル……一体どんな呪いを掛けられてるんだ? 聞いたら答えてくれるんだろうか?
「二人共呪われてるなんて……どうにかなりませんか?」
「マーメイドの女子の方は諦めるしかない。だが、ウルとやらの呪いならなんとかなるやもしれん。契約魔術は相手と契約を交わす事で成立するのは雇い主も知っておろう? つまり契約相手と本人の両者が破棄する事に合意するか、どちらかが死ねば契約は自動的に破棄される」
「じゃあ、ウルに契約相手を聞き出せば……」
ミントは首をゆっくりと振って俺の言葉を遮って続ける
「やめておくがよい、契約相手に不利益な事を言うとウルとやらに何が起こるかわからんし、何も答えないだろう。質問して無言を貫いたとしても、ウルとやらの挙動が意図せず何かを伝えてしまい、契約者に不利益と呪いに判断されても発動しかねんから本人に直接問うのは止めておくといい」
思ったよりも複雑な状況下にいるんだな……
「わかったありがとうミント、助かったよ」
「そうか、ちなみに紅い瞳と蒼い瞳の両人から雇い主を呪うよう仰せつかっておる、近々誠意を込めて謝罪の意を示さねばどうなるか……」
天秤を揺らして不気味に笑うミントにゴクリと喉を鳴らす。
ちゃんとウルの事説明しないと呪い殺されるパティーンかこれ……
野営地に戻るとまだ狩りから戻って来てない者もいて、結局待っていても戻らずそのまま朝を迎える。
そしてまた……昨日戻らなかった生徒の死体が見つかったのだった……
生徒の一人が見つけた時には、森の魔物が口元を血で汚してむしゃむしゃと彼らの肉を堪能している所で、腹が食い破られ中身が飛び出してたりして見た目にも良くない。
付け根から切られた四肢の断面は人為的に何度も前後した形跡があり、死んでから時間がそれなりに経過しているみたいで赤黒く固まっていた。
赤黒い切断された肉の真ん中に飛び出している骨の周りに切りカスが溜まってる所をみると、ノコギリの様な物で切られたのだという事が予想できる。
裸に引ん剝かれ、体の重さで伸びた首は縄が巻かれている所が紫に変色し、舌が自然と出ていて涎の跡も凄くて、穴という穴から体液が噴出、汚物も垂れ流しだしかなり匂いもきつい。
あの黒ずくめの奴らこんな事までするのか? 何か情報を引き出すための拷問か何かなのかな? それとも見せしめ?
魔物死体は見慣れている学生だけど、所詮は温室育ち、人の死体、それも昨日まで話していた身内の死は受け入れがたい様子で、俺同様吐き気を堪える者や、我慢出来ずぶちまけている者もいる。
ウルを見てみると、他の者の様に吐き気に襲われたりはしていないようだが、下を向いて歯をガチガチ鳴らして両肩を抱えながらブルブルと震えていて、この場の反応としては少しおかしく感じた。
ベンノに至っては恍惚とした表情で股間を膨らませている。こいつも反応が少しおかしい。
遺体を持って動き回るわけには行かないので、遺族には申し訳ないがその場で弔い、アンデッドにならないように焼き払う。全員が胸に何かしらの引っ掛かりを覚えながらも、次の村へと向かった。
次の村は最初の村とは違い、村の半分が大破してる状態で被害は甚大だ。
スライム達が住み着いたとされる洞窟へと急ぎ、対処へ当たる。
被害状況から見て、最早学生の手に余る案件だと思うが、引率教員は止める気がはない。
一体何を考えているのかさっぱりわからない。こいつもやっぱりあの黒い奴らの仲間なのかな?
まだ朝の悲惨の光景を引き摺っている学生たちを無理やり洞窟へと連れて行くと、小さい洞窟らしく、分裂して増えたスライムが洞窟から溢れ返っていた。
パリピが好みそうな密度だ。何故パリピはああも人口密度が高い所に集まるのか。イベントの匂いを嗅ぎつけ何処からともなく集まってくるあの人種は一人いたら五人はいるからな。
よくよく見ると昨日のスライムと少し違う。
というか異常繁殖しすぎじゃないか?
「ショウ様、あれは昨日のよりも上位種。スタービングスライムでございます。普通のスライムと違って、放出される溶解液は強力で、斬撃や打撃といった武器を使用した攻撃は核以外には無効。有機物無機物関係なく襲う危険な魔物でございます」
村の家々が大破していたのはスライム達が家ごと食べててしまったからなんだろうな。
直接の物理攻撃は核に届く前に武器が溶かされるから効かないって事だろうけど、それってかなりやりずらし、冒険者でもBランク以上、いやこの数ならAランク以上の依頼だっておかしくない。
どう見ても自分達の手に余る強力な敵が洞窟一杯に溢れていて、かなり離れた場所だというのに学生たちは完全に怯んでしまい、ブルってこれ以上誰も前に出れない状況だった。
引率教員はニヤリと気味の悪い笑みを浮かべるだけで何かをしてくれそうな気配はない。
そんな状況の中、ジルと一緒に乗った馬から降りてゆっくりと皆の前に出る。
「ちょ、ちょっと留学生流石にあれはやばいってのー、さがりなよー!」
「そうだ、あれは俺達の手に余る、先生に全てを任せるべきだ」
フォーセルとイクセが心配そうな声を発しながら前に出る俺を咎めて来た。
意外とこいつら根は悪い奴じゃないのかもしれないな、だからと言ってウルにやった事を許す訳じゃないが。
にしてもこつらわかってない、あの教師は多分助けてなんてくれない。本当に助ける気なら既に引き返しているはずなのだ。
俺は二人の声を無視して魔力を練り始め、そこそこの時間をかけて使ってみたかった魔法を発動する。
「蒼炎魔法【炎虎】」
3メートル程ある蒼い炎の虎が勇ましい咆哮と共に生まれた。モデルはフララのタクシー愛虎ニコレーナだ。
生徒一同、魔法なんて物は見た事があるはずもなく、余りに立派な蒼い炎の虎に感嘆の声が漏れ、咆哮に驚いた馬が暴れて振り落とされる者もいた。
そんな生徒を背に、炎の虎が土を蹴り上げドシドシとスライム犇めく洞窟へと駆けて行く。
炎の牙、炎の爪で易々と上位のスライム達をなぎ倒していくのが一同信じられないようで、ざわつきが大きくなっていくのを背中で感じるけど、この魔法の神髄はこれからだ。
炎の虎が洞窟の中心部へと到達した所で、俺はパンと強く手を叩く。
すると洞窟の中心部で、大地が脈打つ激しい爆発が起こった。衝撃波で辺りの樹々がしなり、軽い物は吹き飛ばされる。
揺れる大地、激しい爆風と爆音に生徒一同は悲鳴を上げ、ほんの少しして洞窟一杯に密集していたスライム達のドロリとした体液や体内に囚われていた者達の肉片が雨になって降り注いだ。
中に居たスライム達は爆発の衝撃によって核が全て破壊されて木っ端みじんとなり、激しい爆発で洞窟が消滅、キノコ雲が上がっている場所は大きくへこみ、元の地形と大きく変わっていた。
先程ざわついていたのが嘘みたいに静かになっているが、飛び出そうな位目を引ん剝いて、あんぐり口を開けながら驚いているのが分かる。
だって俺も同じ顔してるから!
「留学生!! 今のは一体なんなんだ!! 何でお前あんな事やっておいて平然としてるんだよ!」
生徒の一人が俺に向かって攻めた様な口調で問いかけて来た。
「慣れてるから」
背中で語ってみるが嘘だ! 本当は自分でも驚きの余り腰を抜かしそうで、足は相当震えているし、鼻水まで出てるんだけど?!
俺が引き起こしたのは所謂水素爆発ってやつだ、実際目にした事はなかったけどここまでとは……
使ってみて思ったけど、威力が高すぎて自分も巻き込みかねないこの魔法を実践で使うのは難しい。改良が必要だな……
そぉ~っと鼻水を拭って振り返ってみると全員がポカーンとした顔でもくもく上がるキノコ雲を見ていた。余りの事に意識がどこかへ飛んでしまっているみたいだ。
アンジェはいつも通り無反応、耳の良いジルは大きすぎる爆音でめまいを起こしてしまった様で、俺にしなだれかかって来たのを受け止めてやると、調子に乗って首腕を回してキスしようとして来た所を手でグワっと顔を掴んで押し返す。
「大丈夫大丈夫! 舌先で歯の本数数えてる内の終わるから!」
両手が宙を泳ぐのがちょっと可愛い。
「ルーみたいに言ってもさせねぇよ?! しょっぱなからディープなやつをご所望とか欲深い!」
「 良いから良いから! 一回したら後はなし崩しに何回も出来ちゃうから! 」
「それはお前の願望だろうが!」
嫌がらせの様に手の平をレロレロと舐めて来るので手に思いっきり力を入れてアイアンクローで膝をつかせてやる。
そんなバカで日常的なやり取りを、ウルは羨ましそうに見つめて笑い、俺と目が合うと慌てて目を逸らす。
本来ならここにウルもいて一緒に笑って欲しいんだけどなぁ……
彼女は理由はわからないけど自らイジメられるのを望んでいる節があって、必要以上に優しくされたりすることに抵抗あがあるらしい。
一瞬で終わったスライム退治は、飛び散った核を生徒全員で集める方が時間を要し、やっと終わった頃にはすっかり日が落ちて近くの平原で野営する事となった。
先程俺が見せた力に、どうにか繋がりを持っておこうとフォーセル、イクセを中心に今までハブにしていた事なんてなかったかの如く、どいつもこいつも愛想よく友達面をしてくるのがウザイ。
べ、別に友達が沢山出来た気になって嬉しいわけじゃないからね?!
「お前ら飯どうすんの? あれだったら一緒に狩りに行こうぜ」
イクセが白い歯を剥き出しにして爽やかな笑顔を向けて来るが、ちょっと暑苦しくて苦手だ。
昨日の襲撃で一日分の栄養が賄えるゼリーが全て燃え、村から何か分けて貰おうにも村も苦しい状態だったので、これからの校外授業の食事は各自で調達しないといけない。
「自分達で準備するから遠慮しとく。じゃあ行くわ」
俺がそう言って背を向けると後ろから、何だよあいつとか、ちょっと魔術が出来るからって調子乗りやがってなんていう声がグサリと刺さるが無視だ。あんなクソの役にも立たない友達もどきは必要ない。
どうせみんな俺が毎日朝と夜にポエム送ったらブロックするんでしょ?!
一人隅に座るウルをこっそり連れ出して、四人で【転移】を使いエクランの城の南門へと飛ぶ。
「……綺麗」
ウルは真っ暗な平原から突然街中に変わった事に大層驚き、何とか絞り出した言葉がこれだった。少しだけ見える街並みに感動してくれた様だ。
「でしょ? 一応俺が納める街だよ」
夜のエクランは非常に綺麗だ。エメの力で春の間中ずっと満開になる品種改良された桜でドレスアップした街には風情があり、街灯が照らす光に街中の宝石が反射し昼間とは違う煌びやかさで彩られた街の景観は見応え十分である。
そんなウルが城の城門を潜る際にビクンと硬直した。無理もない、門番は漆黒の大剣を携えたSランクの魔物デュラハン二体なのだから。
門を潜り城の両扉の前に立つと扉が勝手に開き、赤い絨毯が敷かれた通り道の両脇にずらりと並んだ美女メイド達と灰色の翼を持った美男美女執事達が俺達に頭を下げて一斉に声を発する。
「「「「「「「お帰りなさいませご主人様」」」」」」」
やっぱこれだよなぁ……こんな風に出迎える文化はこの世界になかったのだが、職業体験でメイド喫茶を希望する程、メイド喫茶が好きなメイド喫茶童貞の俺が、この言葉を言わせないはずがない、この言葉の為に俺は帰って来るのだ!
両脇の威圧感が半端ないけど、気にせず進むとその先にイレスティと執事服を着込んだオニキスが頭を下げ出迎えてくれた。
「お帰りなさいませご主人様、お食事の準備は出来ております。皆さまご一緒するよりも、ご主人様達だけで召し上がる方がよろしいでしょうか?」
「うん、頼むよ。四人で食べれるように準備しといて」
ウル見て気を使ってくれた様だ。まぁいきなりあの二人の前にこんな可愛い子出したらまたグサリといかれるからな……
それにウルもルーやフララや他の面々と一緒にだと落ち着かないだろうし。
「では私目がご案内いたします。どうぞこちらへ我が君」
ビシっと執事服を着こなしたオニキスはマジでカッコいい。というか俺と並ぶことでよりイケメンとちょいブスのコントラストが強くなるのでやめて欲しい……
案内された場所は、趣味で作ったコタツの置かれた部屋だ。春といっても夜はかなり冷えるのでまだまだ手放せない。
適度な温もりが気持ちよく、アンジェ以外の三人がコタツの心地よさに思わず上半身の力が抜け、突っ伏しながら大きな息を吐き出す。
「ねぇ先輩」
どうやら以前提案した先輩で呼び方は決定したらしい。反対側を向いて突っ伏した顔をこちらに向けた際にお互いの顔が思ったよりも近くて、一日お風呂に入ってないはずなのに、女の子の匂いがして思わずドキっとさせられ返事を忘れた。
「ねぇ先輩ってばぁ。何なのこのテーブル……この中には魔物が住み着いてるよ……がっちり足を掴んで離さないんだもん。なんて魔物なの?」
最近ウルのテンションが高い時が多々ある、俺達と居て明るくなってきた証拠だろうか?
「コタツっていう日本文化が生み出した魔物だよ。それに一度入ったら出られなくなる呪術も掛かってるんだよこのテーブル……」
「何それ嘘ばっかり」
弾んだ声でそう言ってクスクス笑うウルはとても魅力的だ。
「みんな必死に狩りして今夜の食事のありつこうとしてるのに、こんな事してていいのかな?」
「いいんだよ。ウルって誰かより楽したり幸せになったりする事になんか負い目でもあるの?」
俺の問いかけに彼女は何も言わず、黙りこくった。間違いなく何かの地雷だ。これ以上踏み込んで来るなという無言の拒絶。
気まずくなりそうだった雰囲気を敏感に悟ったのか、おもむろに立ち上がり、歌いまーす!と酔っぱらいの様なテンションで右手を上げて歌い始め、その心洗われる声に救われた。
その後はジルのお陰で和んだ雰囲気の中での食事を終えお風呂にさっと入り、野営地に戻ろうとした時、たまたま通りかかった呪術師ミントは俺達を見て顔をしかめ、俺に小さく手招きして呼び寄せる。
「どうかしたの?」
10徹でもしてるんじゃないかと思う程深いクマに、血ではなくケチャップが滲んだ包帯で体を巻いた奇抜な姿は未だになれない。
「雇い主よ、気付いておるのか?」
神妙な面持ちで俺に問うた彼女を見ると、余りいい話ではないようだ。
「あのマーメイドの女子程ではないが、今日連れて来た女子も深刻な呪術にかけられておるぞ」
「え? ジルとウルが?」
俺は驚きの余り硬直してしまう。ウルの呪いも驚きだが、ジルも呪いにかけられているなんて今の今まで全く知らなかった。
「その様子だと何も知らなんだな。雇い主の知り合いなら解呪してやりたいが無理だろうて。呪いは掛けるよりも解呪する方が圧倒的に難しいのでな。ウルと言ったか、あれは契約魔術の類と見える、何かをすれば死ぬ、何かをしなければ死ぬ、そう言った類のな。強力で一方的な契約だ、代償に人の命がいくつも使われているだろう」
そこまでしてウルに掛ける呪いって何だ?
「マーメイドの女子の方の呪いは余ですら掛ける事が不可能な程強大で人知を超えた物である故、解呪しようとしたら何が起こるか想像もしたくない。それも二つだ。こっちは発動するタイミングが決まっているタイプの様だな、いつかはわからなんだが」
ジル……一体どんな呪いを掛けられてるんだ? 聞いたら答えてくれるんだろうか?
「二人共呪われてるなんて……どうにかなりませんか?」
「マーメイドの女子の方は諦めるしかない。だが、ウルとやらの呪いならなんとかなるやもしれん。契約魔術は相手と契約を交わす事で成立するのは雇い主も知っておろう? つまり契約相手と本人の両者が破棄する事に合意するか、どちらかが死ねば契約は自動的に破棄される」
「じゃあ、ウルに契約相手を聞き出せば……」
ミントは首をゆっくりと振って俺の言葉を遮って続ける
「やめておくがよい、契約相手に不利益な事を言うとウルとやらに何が起こるかわからんし、何も答えないだろう。質問して無言を貫いたとしても、ウルとやらの挙動が意図せず何かを伝えてしまい、契約者に不利益と呪いに判断されても発動しかねんから本人に直接問うのは止めておくといい」
思ったよりも複雑な状況下にいるんだな……
「わかったありがとうミント、助かったよ」
「そうか、ちなみに紅い瞳と蒼い瞳の両人から雇い主を呪うよう仰せつかっておる、近々誠意を込めて謝罪の意を示さねばどうなるか……」
天秤を揺らして不気味に笑うミントにゴクリと喉を鳴らす。
ちゃんとウルの事説明しないと呪い殺されるパティーンかこれ……
野営地に戻るとまだ狩りから戻って来てない者もいて、結局待っていても戻らずそのまま朝を迎える。
そしてまた……昨日戻らなかった生徒の死体が見つかったのだった……
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
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