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本編
3.リスの親子
しおりを挟む「ふぁ⋯⋯よく寝たー」
翌日。僕はスッキリと目覚めた。この大木の周りだけなぜか過ごしやすい気候で、安心して眠れた。昨日採ってきた木の実を朝食に食べ、水が飲みたくなったのであの泉へ向かった。今日はクマが来ないといいな。
泉は今日もキラキラ輝いていて、水は今日も美味しい。ゴクゴクと勢いよく飲むと、身体中に染み渡る。昨日来たクマに限らず、この泉の水は色んな動物たちの水飲み場になってるのかな。森を飛び回ってみても、他に川や湖は見当たんなかったから、水は多分ここだけなんだろう。
さて、今日は何をしようか。この世界がまず地球なのかそうじゃないのか、って、妖精なんて地球にいるわけ無いし、僕は死んだはずだから、ここは異世界なのだろう。だとしたら、人間がいるなら会いたいところだな。僕はこの世界についての知識が無いし、やっぱり人恋しい。でも、この妖精の姿で会いに行って大丈夫かな? よくあるファンタジー世界って大体奴隷とか闇市とかあって、妖精は珍しいから捕まえろ! みたいな感じだよなぁ。
うーん。この森、昨日見た感じめちゃくちゃ広いし、抜けるのも大変そうだから、人に会うのは当分先でいいや。じゃあ次にしたいことは⋯⋯この森で暮らすなら、家が欲しいな。僕ひとりで作るのは難しそうだけど、今はちっちゃいし飛べるから、比較的簡単に作れるかな? なんかワクワクしてきた!
カサカサッ
「んぇ?」
草をかき分けるような音が聞こえて、僕は思考の海から戻された。あれ、なんかこの展開デジャヴを感じる⋯⋯。恐る恐る後ろをみると、なんとそこには────
「キュキュッ」
「キュ⋯⋯」
小さなリスの親子が、顔をのぞかせていた。子どものリスが親リスの後ろに隠れて、チラッとこちらを見てる。親リスは僕を警戒したように、子どもを守っている。
「か⋯⋯かわいい~~~!!!」
もふもふだぁ~!! あのもふもふのお腹に埋まりたい! 前世でも、もふもふな動物は大好きだったから、僕はとても興奮していた。どうにかしてあのもふもふを撫でられないだろうか⋯⋯!
「ふふふ⋯⋯怖くないよー、ちょっと撫でさせて欲しいだけだよー」
手をワキワキさせながら近づく僕はどう見ても不審者だ。リスの親子もなんだコイツって感じに僕を見てる。そんなことは気にせず、ゆっくり近づいていたが、やっぱりというか、逃げられた。
「あっ!」
残念。また来てくれないかな? とりあえずもふもふはあきらめて、今日は他のことをしようか。
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