妖精の森の、日常のおはなし。

華衣

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本編

2.サバイバル

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 転生モノって、人間に転生するのが大半で、人外系って少なかった気がするな。その中でも妖精に転生ってもっと少なかったよな。
 なんて、現実逃避をしてみるが、背中に生えた羽はなくならない。周りが全部大きかったのも、妖精に生まれ変わったからなのか? ほら、妖精って大体手乗りサイズじゃん。原因がわかってスッキリしたところで、この先どう生きていけばいいか分かんないことに気づいた。妖精って腹減るのか? 寝る必要もあるかも? こんな右も左も分かんない場所に放り出されて、どうすれば⋯⋯。
 頭を抱えていたそのとき、ふと、なにかを感じた。なにかって言っても、よくわからないものだけど、どうやらあっちにあるようだ。感じた方に向けて、羽を動かして飛んで行く。自分でも驚くぐらい動体視力がいいみたいで、幹や枝にはぶつからずに飛べている。意外と速く飛んでいるのに、顔は痛くない。不思議だなぁ。
 っと、そろそろ見えてきた。どうやら感じたなにかは泉だったようだ。とりあえず、水は確保できたようだ。あーよかったー⋯⋯。泉のほとりに着地して、手で水を掬ってみた。なんとなく、飲めるものだと分かる。それは安心したが、なんか、水自体がキラキラ光ってる気がする⋯⋯? 光の反射じゃなくて、内側から発光してるような。と、とりあえず飲んでみよう。

 ゴクン

「!!!」

 う⋯⋯うまーー!!! 水ってこんなに美味しかったっけ!? 水道水が美味しくなかっただけ!? とにかくとても美味い。身体中にじんわり染み渡るような美味さだ。⋯⋯いや、比喩じゃ無くてほんとに何かが染み渡ってる。心なしか力が湧いてきた。ヤバい成分でも入ってた? いや、もう飲んじゃったよ。
 とりあえず、落ち着こうか。水は確保できたんだし、次は食料を探そう。空をみると、太陽がまだ高かったから、夜になるまでは時間がありそう。

 ガサガサッ

「ん?」

 草をかき分ける音がして振り向くと、大きなクマがのっそりと姿を現していた。こちらをじっと見つめている。僕は怖くて目が離せない。⋯⋯そ、そうだ! こんな時のために羽があるんだ! 一気に上昇すれば、クマは追ってこれないはず⋯⋯!
 羽に力を入れ、地を蹴った。ビュンッと風切音がして、一気に空が近づいた。ふぅ~っと一息ついてしたを見ると、クマはこちらを気にする素振りをしたが、すぐに興味をなくして泉の水を飲み始めた。

「あ~⋯⋯良かった」

 危機一髪。やっぱり森は危険だ。一刻も早く安全な寝床を確保しないと。僕はそのまま、森の上を飛んで、良さげな場所を探し始めた。

 日が傾いて、空が赤くなってきた。飛んでいる最中、美味しそうな実がなった木を見つけて、食べてみたらちゃんと美味しかったので、持てるだけ摘んできた。少し重たいが、飛べないほどでは無い。水と食料が確保できたから、後は寝床だけ! といい場所を探していたら、いつの間にかこんな時間だ。まずい、早く安全なところを見つけないと。多分、夜は危険だ。本能的にそれが分かる。だからより焦っていた。どうしよどうしよ、どこも危なそうで安心できない。どこかいい場所は無いか⋯⋯。
 そのとき、またあの感覚がした。もしかして、と思い感じ取った方向へ飛んで行くと、他よりもひと回り大きな木があった。近くに行くと、ここは安全だ、と感じた。ひとまず、この感じたことに従って今夜は休もう。いつの間にかぐるぐる回っていたのか泉が近くに見えたため、幸い、水源をまた見つける必要は無さそうだ。摘んできた木の実をそばに置いて、僕は木の根っこに寄っかかって、目を閉じた。今日だけでいろんなことがあったからか、すぐに眠気がやってきて、僕は安らかに眠りについた。

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