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本編
4.家造り
しおりを挟む今必要なものは、家くらいかな。あの大木の根元に家を建てて、ここで暮らす基礎を作ろう。⋯⋯あれ、そういえば僕には羽があるから、ツリーハウス造れるんじゃね!? これはますます造るのが楽しみになってきたぞ! とりあえず、大木へ戻って、造る場所を決めよう。
大木まで飛んで帰って、早速家造りに良さそうな場所を探した。大木は枝も太くて、体の小さな僕の家なら余裕で造れそう。枝から枝へ飛び移って、地面とほぼ平行になってる枝を見つけた。ここなら家を建てやすいかな。印代わりに、下に生えてた長い草を一本引っこ抜いて、枝に結んでおく。よし、じゃあ今から家の材料集めへしゅっぱーつ!
家に必要なのは、屋根、壁、床、あとは窓と扉かな? 今は最低限雨風をしのげればいいから、凝ったものはまた後で。とりあえず、材料に使えそうな植物とか探そう。さっき枝に結んだやたら長い草とか、ロープみたいにして使えそう。あとは⋯⋯この小石を集めて、並べて床板として固定すれば、重りになるかな? よし、それでいこう。で、壁と屋根だけど、どっちも丈夫な方がいいよね⋯⋯。
材料を探してフラフラ飛んでいると、視界にとんでもなく大きな果実を見つけた。果物というよりはカボチャみたいで、僕にとっては体がすっぽり入るくらい大きい。これ、中をくり抜いたらそのまま家として使えるんじゃない!? うわ~! ロマンありすぎ! そうと決まれば、このカボチャモドキを持っていこう。
⋯⋯って、こんな重そうなもの持てる? 僕のこの細腕じゃ無理な気が。いや、やってみなきゃわかんないからね! よしっ、いくぞ、せーの!
「ふんっ! ⋯⋯ふむむむむーっ! ⋯⋯⋯⋯ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ⋯⋯」
無理!!! 1ミリも動かん!! ⋯⋯はぁ~。どうしよ、諦めようかな。でも、このカボチャモドキの皮、丈夫そうだからなー。なんとか使いたい!
なんか疲れたから、カボチャモドキの上に座ってどうやって運ぼうか考える。うーん⋯⋯いろいろ思いつくけど、どれも腕力不足でできなさそう。あー、もういっそこのカボチャモドキが浮いてくれたらなぁ⋯⋯。
ぐらっ
「ん? ⋯⋯え、えぇっ!?」
少し揺れたと思ったら、なぜかカボチャモドキが浮き始めて、地面から2メートルほどで止まった。急になんだ!? 僕は何もしてないよ? ⋯⋯お? これ、なんだろう。こんなの付いてなかったよね?
いつの間にか、カボチャモドキにキラキラした粉みたいなものが付着していた。触っても、手には何も付かない。というか、粉っぽい感触はないな。じゃあこれはいったい? ⋯⋯もしかして、妖精の粉的な? 僕の羽からなんかキラキラしたものが落ちてるなーとは思ってたけど、それがこうやって物に付着してた様子は無かった。僕が、浮いて欲しいって考えたから、粉が願いを叶えてくれたとか?
とにかく! これで大木まで運んで行ける! 少し力を入れただけで、カボチャモドキはすぃ~っと宙を滑って行った。
大木まで到着し、草を結んでおいた枝の真下に来た。あとはこれをくりぬいて、枝に固定すれば家になるかな? ⋯⋯ハッ! くり抜くのってどうすればいいんだ!? いや待て、ここはまた粉(仮)の力でなんか良い感じにできるかも。これってまた羽からかけなきゃいけないのか? ちょっとめんどいな。手からぶわーって魔法みたいにできないかなー。カボチャモドキに触って、なんか良い感じに中をくり抜きたい、と念じた。すると、僕の手から光が出て、あっという間にカボチャモドキがくり抜かれ、小さな穴が空いて、そこから中身が傍らになぜか形を保ったままドサッと置かれた。そして穴が塞がり、カボチャモドキは綺麗に皮と中身に分かれた。
⋯⋯⋯⋯い、いや、こんな都合よくできるとは。ま、まあ、便利だし、いいのか? とりあえず、家造りを進めよう。
くり抜かれて皮だけになったカボチャモドキに、扉用と窓用の穴を開けよう。そこら辺にあった、尖った石で、皮に傷を付けていく。そしたら、付けた印の真ん中に手を付けて、ここだけに穴を開けたい、と念じると、またもや光が出て、ポトリとくり抜かれた。便利すぎる。これがいわゆる「チート」ってやつなのか?
穴が空いたから、そこに窓と扉を付けていこう。と言っても、葉っぱを纏めてぶら下げる位で良いかな。枝とやたら長い草を用意して、短く折った枝を、石を使って皮に一定間隔で打ちつける。それを一周やって、そこに草を結んでロープの様にぐるりと渡す。大木の葉っぱが丈夫そうだったから、何枚か拝借して、数枚を草で纏めて、ロープ代わりの草に結んだ。扉も同じ様にして、ほとんど完成だ! あとは枝に固定するだけ。
完成した家を触って、力を使って浮かべる。そのまま枝の上に置いた。どう固定するか迷ったけど、下の方にくぎみたいに短い枝をを刺して、それを大木の枝ごと長い草でぐるぐると結んだ。これで、ほんとに家の完成だ!!!
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