6 / 51
本編
5.探索と仲間
しおりを挟む葉っぱの隙間から入って来る光に、僕は目を覚ました。ここは、昨日完成したマイホームの中。葉っぱで簡易的に作った布団で、昨日は眠った。なかなか快適で、疲れていたのもあってすぐに眠ったようだ。まあ、外観はちょっとダサいかもだけど。さて、朝ごはんを食べよう。そういえば、昨日の昼頃から何も飲み食いしてないけど、何とも無かったな。でも今はお腹空いた感じがしてるし、食料は要るけど、そんなに摂らなくてもいいって感じなんだろう。
昨日くり抜いたカボチャモドキの中身は、なんととても美味しかったのだ。量が多いから、暫くの食料となりそう。朝食のあとは、いつもの泉に行って水を飲む。ぷは~っ! 今日も美味い!
さて。次は何をしようか。とりあえず、森の探索でもしてみようかな? できれば、森を抜けて新しい場所を見てみたい。森を抜ければ、人間の町とかあるかもしれないしね! なんだかんだ言っても、やっぱり気にはなるのだ。
ようし、やることが見つかったし、探索に出発!
わかってはいたけど、木ばかりで何も代わり映えが無い。同じ方向にまっすぐ進んでいるから、迷うことは無いはず。途中で何匹か動物を見かけた位で、目立つ物は今は無い。この森、どんだけ広いんだ⋯⋯。でも、飽きたとかは思っていない。空を飛ぶのは気持ちいいし、景色を楽しんでいれば全く飽きない。⋯⋯だけどそろそろ日が暮れてきた。帰って、明日また探索しよう。
大木への帰り道。ふと、小さく鳴き声が聞こえてきた。
⋯⋯キュ~⋯⋯キュ~⋯⋯
通り過ぎようかと思ったけど、なんか聞いたことがある声な気がして、視線を下に向けて探した。すると、あの泉で見かけたリスの親子の姿があった。また会えたことに僕は喜んだが、様子がおかしいことに気づいた。親リスがうずくまって動かず、子どものリスが大声で鳴き声を上げていた。さっきから聞こえていた声は、この子リスの声だった。僕は急いでそばに降りた。
「どうしたの?」
声をかけると、僕に気づいた子リスは少し迷う素振りをしたが、なにかを訴える様にキュキュッと鳴き出した。不思議なことに、頭の中にこの子リスの言いたいことが流れて来るような感じがした。
『たすけて! おかあさん、けがした。しんじゃう!』
「分かった。大丈夫! 僕がなんとかしてみせる」
でも、どうしよう? あの不思議な力で治せるのか? ⋯⋯いいや、今は一刻を争う。なんとかするしかない! 僕は子リスに安心させるように微笑み、親リスの傷を見た。お腹のあたりから、血がドクドクと流れ出していて、今にも死んでしまいそうだった。その傷に手をかざして、傷を治したい! と強く念じた。僕の手から今までにないほど光が溢れ、傷に吸い込まれていく。すると、みるみるうちに傷が塞がり、親リスの呼吸が安定した。
「っふぅ~、良かったぁ~⋯⋯」
程なくして、親リスが目を覚ました。それに気づいた子リスが、嬉しそうにキュッキュッと鳴いて抱きついた。親リスはそんな我が子を抱きしめて、こちらを見ると、頭を下げた。
『助けて下さり、ありがとうございます。妖精様がいらっしゃらなければ、私は今頃生きていませんでした』
「うん、元気になって良かったよ。⋯⋯ってそういえば、リスさんとしゃべれてる? なんで?」
『あら? 妖精様は動物と話せるということをご存じなかったのですか?』
「え、そうだったの? 知らなかった⋯⋯僕、まだ妖精として3日しか生きてないからなー。まだまだ知らない事だらけで⋯⋯」
『なるほど。生まれて数日ならば、知らなくても仕方ないことですね』
なんと、僕、というか妖精は動物とこうやって話すことができたらしい。もしかして、あの時のクマとも話せたのかな。知らないことが多すぎる。でも、これからどんどん知っていこう!
⋯⋯そういえば、1つ気になってたことがあった。
「ねぇ、リスさんはどうして怪我していたの? この辺、危なそうな物はなかったと思うけど」
『いえ、私が怪我をしたのは、ここより少し離れた場所でした。⋯⋯私たちの住んでいた巣穴は、もっと遠くにあります。昨晩、その巣穴に魔物が来たのです。この子を連れて逃げているうちに、不覚にも魔物の攻撃に当たってしまい⋯⋯。幸いにも、日光が苦手な魔物でしたので、逃げ切ることはできましたが、今度は傷が深くなり⋯⋯という経緯でここにいるのです』
「魔物」とやらがなんなのかわからないが、前世の記憶からすると、凶暴なファンタジー生物として描かれることが多かったはず。ここでも似たようなものなのだろうか。
「そっか⋯⋯大変だったんだね。⋯⋯ところで、その巣穴って戻っても大丈夫なのかな? また魔物に襲われないとも限らないし⋯⋯」
『そうですね⋯⋯また新しい巣穴を探そうと思います』
「それなら、僕の住んでる大木の側に来ない? 多分、その『魔物』ってやつは近づけないと思うんだ」
『それは、もしや、結界を張っておられるのですか?』
「結界? んと、よくわからないけど、『ここは安全だ』って感じる所だよ」
『⋯⋯それならば、ぜひ、そちらに住みたいと思います』
「うん! いらっしゃい!」
こうして、僕の家を作った大木の側で、リス親子が住むことになった。よっしゃ! もふもふゲットだぜ! ⋯⋯いやまあ、ちょっとは下心あったかもしれないけど、ほとんどは心配してたからね? 本当だよ?
39
あなたにおすすめの小説
転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。
辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる