妖精の森の、日常のおはなし。

華衣

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本編

16.ウリボウの家族

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 ハッと気づいたのはそれから数分後だった。キツネさんが声をかけてきたので、わりとすぐだった。

『なあ、そろそろ良いか?』
「⋯⋯ハッ! あ、ごめんね」
『いや、いいけどよ⋯⋯』

 ⋯⋯キツネさんとタヌキさんに呆れた目で見られていた。気を取り直して、キツネさんの話を聞いた。

「それで、どうしたの?」
『いやー、ソイツ、どうやって落ち着かせたんだ? 魔物は、生まれちまったらもう殺さないと、一生凶暴なままなはずだぜ?』
『アタシも気になったわ! 妖精様、何をしたのかしら?』

 タヌキさんにも尋ねられた。何をしたのかって言われても、魔力を抜いて、代わりに霊力を注いだだけなんだけど。そうふたりに伝えると、ふたりそろってぽかんと口を半開きにして固まってしまった。

「あれ? ⋯⋯ふたりとも? おーい?」
『⋯⋯いやいや、さすがは妖精様ってことか⋯⋯?』
『⋯⋯やっぱり、妖精様はすごいのねぇ⋯⋯』

 今度はなんだか遠くを見ているような目になった。それもかわいいな。少しして、気を取り直したふたりは僕にお礼を言って、そのまま一緒に広場へ戻ることになった。ウリボウも一緒に連れて、この子をどうするかふたりと話し合いながら進む。

「親はいるのかな?」
『いえ、いたとしても、子どもとして認めてくれないと思うわ。アタシたちからすると、魔物はもう別の生き物っていう認識だもの』
『でもよー、コイツを森に放したとて、生きられねえんじゃねえか?』
「うーん、確かに、まだ子どもだからねぇ⋯⋯」

 違う種族では、体の構造も食べる物も違うため、育てることが難しい。できれば、同じイノシシの家族でもいてくれればいいんだけどね⋯⋯。いろいろ話して、結局良い案は出なかった。

「まあ、いざとなったら僕が引き取るよ。君も、それでいい?」

 ウリボウは答えるように「プヒッ」と鳴いた。まだ小さいからか、言葉は聞き取れなかったが、こちらの言っていることは分かっているようだった。

 広場に戻ると、さっきまで来ていた動物たちは逃げたようで、誰もいなかった。早速、キツネさんとタヌキさんはルビネをパクパク食べだした。それを見ていたウリボウも、ひとつだけパクッと食べてみて、美味しかったのかくりくりの目をさらにキラキラさせて、ルビネをはぐはぐ食べていた。
 そんな3匹のもふもふを、僕は至福の表情で見つめていた。3匹がパクッと食らいつくたびにフリフリと揺れるお尻と尻尾がめちゃくちゃかわいい。

「はぁー⋯⋯天国⋯⋯」

 顔がニマニマしている自覚はあったが、直すことはできない。だって、そこにもふもふがいるんだもの。
 3匹のお腹が満たされた頃には、周りに動物たちが戻って来ていた。ここらへんで見ないウリボウがいたからか、こちらを不思議そうに見てはいるが、特に近づくことはなくルビネを食べ始めていた。その中で、僕はある動物を見つけたので、話しかけに向かった。

「ねえ! そこのイノシシさんたち、ちょっといい?」

 イノシシの家族だった。お父さんとお母さん、そして子どもが2匹。僕が話しかけると、お父さんイノシシが応えてくれた。そして、僕はあのウリボウが親がいなくて、引き取ってくれるイノシシを探している、と伝えた。すると、イノシシ家族は少し話し合ってからこっちを見て、自分たちで育てよう、と快諾してくれた。ありがとう! とお礼を伝え、ウリボウを連れてくると、ウリボウはちょっとおどおどしながらイノシシ家族に近づき、歓迎してくれていると分かったのか、すぐに兄弟たちと仲良くなった。

 イノシシ家族がそろそろ帰ろうか、と言っていたので、バイバーイ! と別れを告げた。ウリボウ、元気に育ってね。

「⋯⋯はぁ、かわいかったなぁ⋯⋯もふもふ」

 もふもふが減ってしまったのは残念だ⋯⋯。

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