妖精の森の、日常のおはなし。

華衣

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本編

18.寝過ごした

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「んん⋯⋯ふわぁ~。あ、朝か~。よく寝た~」

 朝日を浴びて起きた僕はよいしょ、と外に出て、いつも通り、マロンとナッツに挨拶しに巣穴へ向かった。

「おはよー! マロンー! ナッツー!」

 呼びかけると、なぜか急いだ様子でふたりがやってきた。僕を見ると、泣きそうになりながら近づいてくる。

『⋯⋯ミ、ミント様⋯⋯無事だったのですね! ずっと目を覚まさないのでとても心配しましたよ!!』
『ミントしゃま~!! よがっだよー!!』

 ナッツにいたっては泣いていた。どうしてこんな反応をされるのか、本当に心当たりがなくて、困惑した。

「え、えっとふたりとも? どうしたの、そんな泣きそうになって」
『⋯⋯それは、ミント様が5日間も家から出てこなかったからですよ!』
「⋯⋯⋯⋯え? 5日?」
『ミントしゃま、ぼく、ずっとあいにぎてくれなぐで、ざびじがっだ!』
「⋯⋯え、えええええ!?」

 どういうこと!? 僕は昨日寝て、今日の朝起きたはずじゃ!? な、なにがなんだか分かんないけど、とりあえずふたりを慰めないと。



「⋯⋯落ち着いた?」
『ぐすっ⋯⋯はい、取り乱してすみません』
『ぴー!』

 マロンはなんとか落ち着いてくれた。⋯⋯ナッツはまだぐずってるけど、そろそろ話を進めなきゃ。

「えーっと、僕の感覚だと、昨日帰ってきて寝て、今日の朝に起きたって感じなんだよね」
『ですが、実際は5日も眠っていらして⋯⋯。一度、私とナッツで木の上まで様子を見に行ったのですが、起きる様子は一切ありませんでした⋯⋯』
「し、心配かけてごめんね」
『いえ。こうして起きてくれたのですから』

 でも、どうしてそんなに眠っていたのか、特に心当たりはないんだよな。

「特に何かしたわけでも無いし⋯⋯⋯⋯あ、いや、昨日⋯⋯じゃなかった。5日前に、初めて魔物と戦ったんだけど。その時にいっぱい霊力を使ったこととか?」
『ですがそれでは、精霊様と特訓をしていらした時にも、同じようなことが起きていたはずでは?』
「あ、確かに⋯⋯」

 うーん。考えても、何も分からない。こういうときは、フォンターナに聞くのがいいな。ふたりに泉へ行ってくると告げて、パタパタ飛んで行った。

 泉に着くと、いつもより素早くフォンターナが現れた。やっぱり心配かけちゃってたかな。

「ミント! 数日振りね? 大丈夫? 何かあったのかしら」

 眉をやや下げながら、フォンターナは何があったか聞いてきた。

「えっとね、僕もよくわかってないんだけど、ずっと眠っていたみたいなの」
「眠っていた?」
「うん。それで、原因が分かんないから、フォンターナにも考えてもらいたくて来たの」
「⋯⋯わかったわ。でも、心当たりは何も無いのかしら?」
「うーん、その日にやったことっていえば、魔物と戦って、元に戻した、くらい?」
「⋯⋯元に、戻した? どういうこと!? 詳しく教えて頂戴!」

 いきなり大きな声を出したフォンターナにびっくりしつつも、僕はあの日にあったことを伝えた。イノシシの魔物を蔓で囲み、霊力を注いで魔力を出し、元に戻して落ち着かせた。僕が話し終わると、フォンターナは難しい顔をして考え込み、顔を上げた。

「⋯⋯ええと、どこから話せばいいのかしら。とりあえず、教えたことが役に立ったようで嬉しいわ。よく頑張ったわね」
「えへへ」
「でも、その後の魔力を魔物から抜いたことに関してだけど、そんなことができるなんて聞いたこともないわ」
「えっ」

 ⋯⋯何かやらかしたことを感じ取った僕は、少し気まずく感じながら、フォンターナの話に耳を傾けた。

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