妖精の森の、日常のおはなし。

華衣

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本編

27.謁見

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 そこは広い部屋だった。多分、大広間と呼ばれるくらいの広さで、天井も高く、上の方に2階通路のようなものがあった。周りには沢山の高貴そうな人がいて、緊張感を漂わせながら立っている。何より目を引くのは、レッドカーペットが敷かれた先、真正面の、階段で高くなった場所にある2つの豪華な玉座。そして、そこに座る男女。その二人の回りにも、人が何人か立っていた。
 騎士団がカーペットを進み、玉座に座る王様と王妃様の前まで行くと、皆跪き、こうべを垂れた。そして、一番前のハーヴェイさんが声を上げた。

「調査隊、ただ今帰還致しました!」

 ん? 調査隊? そういえば騎士団にしては人数が少ないと思ったけど、調査に選ばれた人だけだったからだったのかな。そんなことを考えていると。

「面を上げよ」

 低く、威厳の感じる声が響いた。その声に、騎士団の皆が顔を上げる。

「よくぞ戻って来た。して、大森林はどうであったか?」
「はっ! 魔物の魔力が消えた要因は不明でしたが、感知された膨大な霊力の正体は判明いたしました。そして今、その人物にここへ同行していただきました」
「ほう? その人物とやらは何処に?」

 王様の問いに、僕は前に飛んで行き、ハーヴェイさんの顔横まで来た。昨日の夜、ハーヴェイさんから段取りを教えてもらって、僕をお披露目するのも聞いていた。皆へ姿を見せても大丈夫か聞かれたから、いいよ! と返しておいた。
 僕の姿を見た王様は、驚きに目を見開いていた。隣に座っている王妃様も、玉座の側に控えている人たちも、みんな目をまんまるにしていて、思わず笑ってしまった。

「よ⋯⋯妖精、だと? 本当におったとは⋯⋯」

 王様がハッとして言葉を零す。やっぱり、妖精は珍しいのかな。いつの間にか、広間全体からざわめきが聞こえて来ていた。

「幻では無いのか⋯⋯?」
「本物だと⋯⋯!?」
「あの記録は本物だったのか⋯⋯」

 などなど。え、存在しないと思われてたの? なんか騎士団のみんながそこまで驚きをあらわにしてなかったし、自然に接して来るから、存在自体は知られてると思ってた。僕は珍しすぎていないと思われているくらいの存在らしいです。
 少しして、僕は王様に話しかけられた。

「妖精よ。姿を見せてくれたこと、感謝する。儂はこのガルディアン王国の王、ハイドランジア・ケーニヒ・ガルディアンじゃ。そなたの名を教えてくれまいか?」

 おお、王様の名前かっこいい! じゃなくて、僕は名前を喋った。

「ミントって言います!」
「⋯⋯? 鈴の⋯⋯?」

 う⋯⋯、やっぱり伝わらないみたい。というか、僕の声が鈴のチリンッていう音に聞こえるみたい。⋯⋯某◯ィズニーの妖精みたいだな⋯⋯。
 僕が困っていると、ハーヴェイさんが僕が書くものを欲しがっていると説明してくれた。うんうんと頷くと、すぐに文官のような人が紙と羽根ペンを用意してくれた。床に紙を置いて、「みんと」と名前を書いて、王様の側まで見せに行った。羽根ペンが大きくて、少し文字がガタガタになっちゃったけど、多分読める。

「みんと⋯⋯ミント殿というのか」

 ほっ。ちゃんと読めたようだ。王様が紙を読んだのを確認して、僕はハーヴェイさんの側に戻った。

「ミント殿、そなたにお願いがある。古くから、妖精や精霊という存在は、国に繁栄をもたらすと言われている。そのため儂は、そなたにこの国に留まって欲しく思う。もちろん、この国に留まる間、最大級のもてなしをすると約束しよう。どうか、ここに居てはくれまいか」

 王様が、僕の目を見ながら話す。国に繁栄をもたらすから、なんて、僕は何かに利用されたりするのか? ちょっと不安になって横を見ると、ハーヴェイさんは笑って囁いた。

「利用する気はない。もしそうなれば、私が止める」

 ハーヴェイさんの言葉に勇気をもらった僕は、王様のお願いに頷いた。

「⋯⋯ありがとう。そなたの安全は、必ず保証しよう」

 僕は、もう一度、ニコッと笑って頷いた。

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