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本編
35.ケーキワンホール!
しおりを挟む今日も、僕は王城の中で暮らしている。残念ながらヴィンデくんは授業があるようで、遊べなかった。だから、暇つぶしに庭園へ行くことにした。
最近はクッキーやらケーキやら美味しいスイーツばっかり食べてたから、ちょっと森にいた時に食べてた木の実が恋しくなった。だから、コッソリと生やして食べようと思ったのだ。
庭園は、腕の良い庭師によって綺麗に整えられていた。一度あったことがあるんだけど、とても優しくて気のいいおじちゃんだった。僕を見るとやっぱりびっくりしてたんだけど、慣れてくれたら、何かと気にかけてくれている。
庭園には、年中花が見られるように工夫して花を植えている。ここにも四季があるようで、そのまま春、夏、秋、冬、と呼ばれている。その四季に合わせて、4つの花壇に分けられていて、それぞれの季節の花が植えられている。今は夏に近い春だから、春らしい柔らかな色合いの花が一つの花壇に咲き乱れている。その隣の夏の花壇は、もういくつか蕾になっているものもあった。
「どこに生やそうかなぁ」
キョロキョロとルビネを生やすのに良さそうな場所を探す。ルビネは僕が望まない限り勝手に増えたりはしないけど、邪魔になっちゃいけないし、あまり人目につかないところがいいな。しばらくふらふら飛んで、庭園の手入れをするための道具がしまわれている小屋まで来ていた。小屋と言っても、王城の敷地内だから綺麗なものだ。その小屋の側に、使われていない植木鉢が整頓されていた。
「これに土を入れてルビネを生やせば、持ち運べて便利じゃない?」
一番小さな植木鉢に、あなぼこにならないように周りから取った土を詰め、そこに霊力を注ぐ。ルビネよ~生えろ~と念じながら注ぐと、ぴょっと双葉が生え、みるみるうちに低木に育った。赤いルビネの実もちゃんと生っている。その一つをもぎってパクっと齧ると、慣れ親しんだ甘い味がした。⋯⋯少し、森が恋しくなった。
植木鉢は、一番小さいと言っても僕の背丈ぐらいあって、到底運べそうにない。なので、蔓を巻き付けて、その蔓を霊力で浮かして部屋まで持って帰った。庭園に行く前に、エフィさんにおやつを頼んでいたんだけど、出来たおやつをカートで運んで部屋に入って来たエフィさんが、僕の持ってきたルビネを見て驚いていた。⋯⋯僕、驚かせてばっかだなあ。
これは僕が創った木なんだよ、と紙に書きながら説明すると、違う意味で驚いていた。そして、もぎったルビネをあげて食べて貰うと、「とても甘くて美味しいです!」と喜んでくれた。
「妖精様、こちらの木の実を使って、スイーツを作ってみてもいいでしょうか?」
なぬ! ルビネのスイーツだと!? それは食べたいに決まってる!! いいよいいよとルビネをいっぱいもぎってエフィさんにあげると、「絶対美味しいお菓子にしますね!」と気合を入れていた。僕もとても楽しみだ。
その後、エフィさんがルビネをふんだんに使ってケーキをワンホール焼いてきたのに、僕は大喜びでほおばった。ものの数十分で平らげてしまうくらい美味しかった。⋯⋯授業を終えて遊びに来ていたヴィンデくんには、ずるい! と怒られてしまったが。
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