妖精の森の、日常のおはなし。

華衣

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本編

49.廃教会 Side.ハーヴェイ

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 祭りの警備を担当する騎士たちには、そのまま警備を続けるよう言い、本拠地にて今日休んでいる騎士を急動員させるようオベールに伝えた。広場に集まった騎士に手短に概要を伝え、2つの班に分かれて捜索を開始した。
 ミントの専属メイドから聞いた話を元に捜索する。居住区の方へ向かったと聞いた為、挟み撃ちをするように反対方向からも捜索をする。今は収穫祭で商業区に人が集まっているため、居住区には人は少ない。それが仇となり、目撃証言も少なかった。黒フードの奴らが隠れられそうな場所は当たりを付けてはいるが、全て探すとなるとどれだけ時間がかかるか⋯⋯。早くミントを安心させてやらなければ。



 当たりを付けた内の1つ目にやって来た。周りに狭い路地が多く、影になりやすい行き止まりだ。警戒をしながら周りを探すが、痕跡は無い。このような路地裏ではなく、建物の中の方が可能性は高いが、ここも盲点になりやすいと考えこうして探しに来たが、外れたようだ。すぐに次の当たりへ向かおうとすると──

「団長! ここから複数人の匂いが混ざった匂いがします! 数十分程前にここに誰かが居たようです」

 騎士の一人、狼獣人のウルリックが声を上げた。

「それはここの住人の匂いか?」
「⋯⋯いえ、違うと思います。王都の外の土の匂いが微かにします。何より、魔力の匂いがするので、ここで魔法が使われたと思います」
「⋯⋯成る程。その匂いはどこへ続いているか分かるか?」
「はい。⋯⋯こっちの道に続いていますが、途中で途切れています」
「分かった。ちょうどこの先に当たりを付けていた建物があるから、そこへ向かう」
「「「「了解!!」」」」

 ミント⋯⋯すぐに助けに行く。焦る気持ちを抑えて、私は歩を進めた。



 2つ目に当たりを付けていたのは、居住区の中でも端の方にある、寂れた廃教会だ。昔にこの国に伝わった宗教の教会で、その宗教が寂れていくと共に使われなくなったものだ。住人もあまり近寄らない場所であるから、隠れるのには最適だ。外からは中の様子が見えないため、慎重に扉を開く。

「⋯⋯⋯⋯誰もいない?」

 中は薄暗いが、沢山の椅子と祭壇が奥に見えるだけ。2階らしきものも無い。

「怪しい所は全て隈無く確認しろ」
「「「「はっ!」」」」

 騎士を動かし、私も捜索をする。教会内は一室のみで、見渡せば全て確認できる。⋯⋯まてよ、何か、違和感を感じる。さっき外から見た教会の形と、この聖堂の形が一致していない気がする。正面から見て左奥辺りに、小屋ぐらいの広さの部屋があるはずだ。だが、扉も何も無い。
 私は祭壇の左側の壁に近付いて、手を触れた。⋯⋯触れた手は壁に吸い込まれ、肘から上が見えなくなった。

「だ、団長!?」

 近くに居た騎士が声を上げた。「問題無い」と言うと、彼は冷静になったようだ。

「団長⋯⋯もしかして」
「ああ、ここだ。おそらく幻覚魔法だろう。全員、こちらへ来い!」

 私が呼びかけると、すぐさま騎士たちが集まり、整列した。

「コステリア。この魔法を破れるか」
「はい!」

 女性の魔法士であるコステリアを呼び、彼女が幻覚魔法を破ると、地下へと続く階段が現れた。やはりか。ここに、きっと奴らはいるはずだ。

「行くぞ!」
「「「「はっ!」」」」

 私たちは地下へと足を踏み入れた。

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