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集いの酒場
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「じゃあまずは酒場に行って仲間を集めないとな」ノアは酒場のほうへ歩いて行く。『ネオグライドに参加する場合、あなたを含め4人の仲間が必要です。詳しいルールの説明が見たい場合はPDFファイルを開いてください』スマートグラスに搭載されたAIが補足説明をする。
酒場の扉を開けると店内にはたくさんのアバターが賑わっていた。丸テーブルがたくさん並び、ちょうど4人座れるようになっているようだ。カウンターにはコスプレしたカワイイ女の子がふたりいる。真ん中に立っているのはこの店のマスターだ。
ノアはカウンター越しにマスターのほうに近づき話しかける「オススメある?」マスターがノアの顔を見て「お前、未成年だろ?じゃあジュースでも飲んでな」と怪訝な表情で返すとコスプレしたカワイイ女の子がノアの前にグラスを置いてミルクを注いだ。
ノアがスマートグラスに話しかける「名前を表示モードに切り替えて」『承知しました。アバターの頭上に名前を表示します』モニターが表示モードに切り替わった。
これでこの店内にいるアバターの頭上にはそれぞれのハンドルネームが表示される。薄い緑色のローマ字がアバターの頭の上に浮かんでいる。
(マスターの名前はライオネル、右の女の子がハニッシュ、左の女の子がデュアね・・・、なるほど、なるほど。さすがにマスターとコスプレイヤーの女の子ふたりはbotだよな?)ノアは心の中で呟いた。
AIが搭載されて個性をもったマスターとコスプレイヤーの女の子ふたりは24時間、365日いつでもこの酒場にいる。恐らくノアのアカウント登録が16才だったからマスターのライオネルは「お前、未成年だろ?」と発言した。アカウント登録が20才を越えていたらビールが提供されたに違いない。
ノアはミルクが入ったグラスを持って空いているテーブル席に座った。周りをキョロキョロと見渡しながら仲間になってくれそうなプレイヤーを探す。酒場は熱気に包まれガヤついている。大型のディスプレイにはネオグライドの生中継が放送されプレイヤーたちが観戦しながら酒を飲んでいる。
周りのテーブルは4人で座っている席が多く、既にパーティーになっているので声をかけてもあしらわれるだけ・・・どうしようか?
壁側の端っこのテーブルにポツンとひとりでグラスに入ったミルクを静かに飲む。(こんな奴が声をかけても「あー、こいつ新規アカウント開設したばっかの素人ね」と思われるだろうな)とネガティブな思考になっていた。ちょうどそのときネオグライドの生中継を立ち見している客がゲームの白熱ぶりに興奮して歓声を上げ飛び上がってガッツポーズをとったり、お互いに見合って抱き合ったりしていた。
立ち見している客たちに押し出されて通路を歩いていたピンク色の髪をした若い女の子がよろけて倒れそうになって声を上げる「きゃっ!ちょっと押さないで」手に持ったグラスの中の液体は波を打って放物線を描きながらグラスの外へ飛び出していく。それを必死で押さえながらよろめいてノアが座っているテーブル席にストンと腰を落とした。
「どうも初めましてノアと言います。レナータ・ライさん」初対面にも関わらず相手のハンドルネームがわかるのも妙な話だ。しかし、せっかく仲間を作るきっかけができたので話かけて何かを得たかった。
ピンク色の髪を後ろに束ねた女の子は同じ歳ぐらいに見えた。アバターだから実年齢はわからないがリアルな自分とアバターを似せたのならきっと歳は近い。髪をかき上げながらふてくされた感じで「どうも」とひと言だけしゃべってくれた。思春期の女の子はほんとに何を考えているかわからない。苦手なんだよなぁとまたネガティブな思考に戻った。
「ネオグライドの仲間ってもう決まってますか?」ノアがレナータに問いかける。「いや、まだ。あなたは?」問いを返された。レナータの視線は遠くを見ているようだ。「僕もまだなんですよね。よかったら仲間になってくれませんか?まだ何もスキルはないですが一緒に戦って上を目指せたら嬉しいです」精一杯の誠意を込めて交渉したのも虚しく「ヤダ」のひと言で突き返された。
棘があるというか突っ張ってるというか・・・なんだ?この子。まぁ16才ぐらいだったら反抗期だったり異性を意識したり自意識が強くなる多感な時期ってやつなのかなぁ。仕方ない、この子はムリだ。
しばらく沈黙が続き、大人しくグラスのミルクを飲みながら酒場の雰囲気に慣れてきたころ、ノアが座っているテーブル席にふたりの男がやってきた。他の席は4人のところが多いから逆にふたりだけの席が目立つのだろう。壁側の角の席っていうこともあってポツンと空いているふたつの席が目に入ったようだ。
「ここ、いいか?」先に声をかけてきた男の名前はファン・ロイ「いいですよ」ノアが返事をする。山男っていう感じがして自信たっぷりに笑っている。
ファン・ロイがもうひとりの男に声をかけた「いいってよ」もうひとりの男の名前はアントン・ケイ。丁寧にお辞儀してから席についた。「おふたりは同じチームなんですか?」ノアが話しかける。
「いや、オレたちも今知り合ったばっかりなんだ。マスターに酒をもらいに行ったときの前と後ろ。ただ並びがそうだっただけ。ガハハッ」また笑ってる。「せっかくのご縁なんで同じチームになりたいです」アントン・ケイが前向きな姿勢を見せる。
(これチーム編成としてやっていけるか?しかし、仲間がいなけりゃゲームも始まらないしな・・・)ノアが心の中で葛藤する。
「同じチームに入れてもらってもいいですか?ロイさん、ケイさん。僕は早くネオグライドに参加して強くなりたいんです」ノアはふたりをまっすぐに見つめた。「オレはいいぜ。誰が仲間でもいい。ドロップアイテム目当てだからな」ファン・ロイはネオグライドに参加して敵を倒したときに得られるドロップアイテムを収集するようだ。得たアイテムを素材と合成して錬成するつもりらしい。
ファン・ロイは着ているベストのファスナー降ろしその内側を手で開いて見せた。「そ・・・それは!?まだネオグライドに参加していないのにどこでそれを?」アントン・ケイが声を震わながらファン・ロイに入手先を伺う。「それは言えねぇな。ただオレと仲間になれば素材に困ることはないだろう。安価な値段で譲ってやるよ」と言いながらベストのファスナーを閉じた。
ファン・ロイは目を閉じてグラスの酒を飲む。香りを楽しんでから度数の高いアルコールを喉に流し込むその仕草は男の色気を感じさせた。
レアアイテムと思われる素材がファン・ロイのベストの内側にコレクションのように並んでいるのをもし見たならば上級プレイヤーですら欲しくてため息が出るだろう。入手先は不明だがネオグライドのゲームの中で使用できる素材であることには間違いない。
これがファン・ロイ流のプロポーズである。陽気でバカ笑いする山男の粋な一面を見た気がした。(この男、意外とやるヤツかもしれない)レナータ・ライは密かに算段する。そこには微塵も人柄を考慮する考えはなかった。利用できる相手なのかを吟味する冷めた目は、それこそが彼女が唯一ネオグライドで勝ち残る術だと信じている証だった。
もうファン・ロイが持っている素材を見てしまった後なのでノアとアントン・ケイは興奮して前のめりに懇願する「ぜひ!仲間になりましょう」おまけに声まで被っている始末だ。レナータ・ライは手を額に当てながら首を横に振って(ダメな奴ら)と心の中で呟いた。バカふたりにダメ出ししたい気持ちを押し込めてレナータ・ライがファン・ロイに言う「私も仲間になりたいわ」そういうと不敵な笑みを浮かべた。ファン・ロイ「おう、いいぜ。じゃあ決まったな」と3人の顔を見渡した。そして、また笑っている。これで4人は仲間になることが決定した。
ノアがレナータ・ライを誘ったときに即答で断られたのにファン・ロイのおかげで仲間になることができた。恋人にフラれた気分を引きずりつつ仲間をみつけて一歩前進することができた。
酒場の扉を開けると店内にはたくさんのアバターが賑わっていた。丸テーブルがたくさん並び、ちょうど4人座れるようになっているようだ。カウンターにはコスプレしたカワイイ女の子がふたりいる。真ん中に立っているのはこの店のマスターだ。
ノアはカウンター越しにマスターのほうに近づき話しかける「オススメある?」マスターがノアの顔を見て「お前、未成年だろ?じゃあジュースでも飲んでな」と怪訝な表情で返すとコスプレしたカワイイ女の子がノアの前にグラスを置いてミルクを注いだ。
ノアがスマートグラスに話しかける「名前を表示モードに切り替えて」『承知しました。アバターの頭上に名前を表示します』モニターが表示モードに切り替わった。
これでこの店内にいるアバターの頭上にはそれぞれのハンドルネームが表示される。薄い緑色のローマ字がアバターの頭の上に浮かんでいる。
(マスターの名前はライオネル、右の女の子がハニッシュ、左の女の子がデュアね・・・、なるほど、なるほど。さすがにマスターとコスプレイヤーの女の子ふたりはbotだよな?)ノアは心の中で呟いた。
AIが搭載されて個性をもったマスターとコスプレイヤーの女の子ふたりは24時間、365日いつでもこの酒場にいる。恐らくノアのアカウント登録が16才だったからマスターのライオネルは「お前、未成年だろ?」と発言した。アカウント登録が20才を越えていたらビールが提供されたに違いない。
ノアはミルクが入ったグラスを持って空いているテーブル席に座った。周りをキョロキョロと見渡しながら仲間になってくれそうなプレイヤーを探す。酒場は熱気に包まれガヤついている。大型のディスプレイにはネオグライドの生中継が放送されプレイヤーたちが観戦しながら酒を飲んでいる。
周りのテーブルは4人で座っている席が多く、既にパーティーになっているので声をかけてもあしらわれるだけ・・・どうしようか?
壁側の端っこのテーブルにポツンとひとりでグラスに入ったミルクを静かに飲む。(こんな奴が声をかけても「あー、こいつ新規アカウント開設したばっかの素人ね」と思われるだろうな)とネガティブな思考になっていた。ちょうどそのときネオグライドの生中継を立ち見している客がゲームの白熱ぶりに興奮して歓声を上げ飛び上がってガッツポーズをとったり、お互いに見合って抱き合ったりしていた。
立ち見している客たちに押し出されて通路を歩いていたピンク色の髪をした若い女の子がよろけて倒れそうになって声を上げる「きゃっ!ちょっと押さないで」手に持ったグラスの中の液体は波を打って放物線を描きながらグラスの外へ飛び出していく。それを必死で押さえながらよろめいてノアが座っているテーブル席にストンと腰を落とした。
「どうも初めましてノアと言います。レナータ・ライさん」初対面にも関わらず相手のハンドルネームがわかるのも妙な話だ。しかし、せっかく仲間を作るきっかけができたので話かけて何かを得たかった。
ピンク色の髪を後ろに束ねた女の子は同じ歳ぐらいに見えた。アバターだから実年齢はわからないがリアルな自分とアバターを似せたのならきっと歳は近い。髪をかき上げながらふてくされた感じで「どうも」とひと言だけしゃべってくれた。思春期の女の子はほんとに何を考えているかわからない。苦手なんだよなぁとまたネガティブな思考に戻った。
「ネオグライドの仲間ってもう決まってますか?」ノアがレナータに問いかける。「いや、まだ。あなたは?」問いを返された。レナータの視線は遠くを見ているようだ。「僕もまだなんですよね。よかったら仲間になってくれませんか?まだ何もスキルはないですが一緒に戦って上を目指せたら嬉しいです」精一杯の誠意を込めて交渉したのも虚しく「ヤダ」のひと言で突き返された。
棘があるというか突っ張ってるというか・・・なんだ?この子。まぁ16才ぐらいだったら反抗期だったり異性を意識したり自意識が強くなる多感な時期ってやつなのかなぁ。仕方ない、この子はムリだ。
しばらく沈黙が続き、大人しくグラスのミルクを飲みながら酒場の雰囲気に慣れてきたころ、ノアが座っているテーブル席にふたりの男がやってきた。他の席は4人のところが多いから逆にふたりだけの席が目立つのだろう。壁側の角の席っていうこともあってポツンと空いているふたつの席が目に入ったようだ。
「ここ、いいか?」先に声をかけてきた男の名前はファン・ロイ「いいですよ」ノアが返事をする。山男っていう感じがして自信たっぷりに笑っている。
ファン・ロイがもうひとりの男に声をかけた「いいってよ」もうひとりの男の名前はアントン・ケイ。丁寧にお辞儀してから席についた。「おふたりは同じチームなんですか?」ノアが話しかける。
「いや、オレたちも今知り合ったばっかりなんだ。マスターに酒をもらいに行ったときの前と後ろ。ただ並びがそうだっただけ。ガハハッ」また笑ってる。「せっかくのご縁なんで同じチームになりたいです」アントン・ケイが前向きな姿勢を見せる。
(これチーム編成としてやっていけるか?しかし、仲間がいなけりゃゲームも始まらないしな・・・)ノアが心の中で葛藤する。
「同じチームに入れてもらってもいいですか?ロイさん、ケイさん。僕は早くネオグライドに参加して強くなりたいんです」ノアはふたりをまっすぐに見つめた。「オレはいいぜ。誰が仲間でもいい。ドロップアイテム目当てだからな」ファン・ロイはネオグライドに参加して敵を倒したときに得られるドロップアイテムを収集するようだ。得たアイテムを素材と合成して錬成するつもりらしい。
ファン・ロイは着ているベストのファスナー降ろしその内側を手で開いて見せた。「そ・・・それは!?まだネオグライドに参加していないのにどこでそれを?」アントン・ケイが声を震わながらファン・ロイに入手先を伺う。「それは言えねぇな。ただオレと仲間になれば素材に困ることはないだろう。安価な値段で譲ってやるよ」と言いながらベストのファスナーを閉じた。
ファン・ロイは目を閉じてグラスの酒を飲む。香りを楽しんでから度数の高いアルコールを喉に流し込むその仕草は男の色気を感じさせた。
レアアイテムと思われる素材がファン・ロイのベストの内側にコレクションのように並んでいるのをもし見たならば上級プレイヤーですら欲しくてため息が出るだろう。入手先は不明だがネオグライドのゲームの中で使用できる素材であることには間違いない。
これがファン・ロイ流のプロポーズである。陽気でバカ笑いする山男の粋な一面を見た気がした。(この男、意外とやるヤツかもしれない)レナータ・ライは密かに算段する。そこには微塵も人柄を考慮する考えはなかった。利用できる相手なのかを吟味する冷めた目は、それこそが彼女が唯一ネオグライドで勝ち残る術だと信じている証だった。
もうファン・ロイが持っている素材を見てしまった後なのでノアとアントン・ケイは興奮して前のめりに懇願する「ぜひ!仲間になりましょう」おまけに声まで被っている始末だ。レナータ・ライは手を額に当てながら首を横に振って(ダメな奴ら)と心の中で呟いた。バカふたりにダメ出ししたい気持ちを押し込めてレナータ・ライがファン・ロイに言う「私も仲間になりたいわ」そういうと不敵な笑みを浮かべた。ファン・ロイ「おう、いいぜ。じゃあ決まったな」と3人の顔を見渡した。そして、また笑っている。これで4人は仲間になることが決定した。
ノアがレナータ・ライを誘ったときに即答で断られたのにファン・ロイのおかげで仲間になることができた。恋人にフラれた気分を引きずりつつ仲間をみつけて一歩前進することができた。
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