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魔法使いとして①
王宮に戻り次第、王族専任の医師に自白剤を飲ませ真相を吐かせると項垂れるエレンはさっきまでのラウルと瓜二つ。伯父と甥の関係なので似ていても変じゃないが漂う悲壮感まで同じ。長年信頼していた医師のせいで大切な人を傷付け、失ったエレンの心情は計り知れない。更に絶対的な信頼を寄せる天使が力を得る為に我が子を悪魔憑きだと偽った。天使へ神への信仰が崩れる重大事件だ。当の神の一族であるイヴは話したくて仕方なかったらしく、話せてスッキリしたとエイレーネーの髪を編んでいた。髪型に強い拘りがないエイレーネーは基本下ろしている。うさぎ姿の時から髪を編んでもらっていたので抵抗はないがラウルが何かを言いたげで。「どうしたの?」と問う。「……エイレーネーはそのままでいいのか?」と返された。髪に触れられている件についてだろうと、上記の理由を述べた。
「私がエイレーネーの髪を編んでも同じ?」
「ラウルは女性の髪を編んだことがあるの?」
「……ない。だ、だけど、覚えたら出来る!」
イヴに対抗心を燃やしているらしいがイヴとの生活が長く、男性と知って戸惑いと驚きは大きくても慣れてしまえばあっという間に馴染む。
毛先に掛けて青くなる銀糸をあっという間に1つに纏め、手慣れた動作で留めたイヴ。甥っ子は髪が長いから遊んでいたら慣れたとの事。慣れは大事だ。
「すごい」
「イヴ、いい加減にしろ」
「はいはい」
ダグラスから淡々とした声色で咎められ、やっとエイレーネーから離れた。
ラウルはホッとしつつ、気の毒な眼をエレンにやるルーベンに話し掛けた。
「これ以上の話し合いは無理でしょうね」
「ああ。兄上もこうだし、エイレーネー嬢とお前の婚約については後日としよう」
「……」
エイレーネーは魔法使いとして生きていく決意を固めた。ソレイユ公爵夫人として生きていくには、魔法使いの道を諦めないとならない。
「ラウル……あの、」
「エイレーネー。エイレーネーが魔法を使う姿はとっても楽しそうだった。君から魔法を取り上げる事は私には出来ない。……だけど婚約解消もしたくない」
「公爵夫人を務めながら魔法使いは」
「うん。分かってる。だから——魔法使いとして私と結婚してくれ」
大人達の思惑によって結ばれた政略結婚でも、気が合ったのは本人達の相性と努力があったからこそ。長くガブリエルやホロロギウム家の面々によって邪魔はされてきたが好意を捨てられないのはお互い同じ。生き方の違いが出たのなら、どちらかの意思を尊重すればいい。お互いがお互いの生き方を尊重したいなら、一緒にいられる道を模索するだけ。魔法使いとして生きたいエイレーネーと結婚するなら、ホロロギウム公爵令嬢ではなく、魔法使いエイレーネーと結婚すればいいだけ。
と自己解決に至ったラウルに面食らうエイレーネー。
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「寧ろ、どうしてエイレーネーが魔法使いのままソレイユ家に嫁いじゃ駄目なんだ? エイレーネーは大魔法使い様の娘なんだから、魔法使いになったって良いじゃないか。誰にも文句なんて言わせない。……後はどうしても私がエイレーネーと一緒にいたい、から」
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