傷物令嬢は魔法使いの力を借りて婚約者を幸せにしたい

文字の大きさ
11 / 21

4-4

しおりを挟む


 会場から発生した爆発音と強い揺れに思わずローゼライトは隣にいたダヴィデに抱き着いた。ダヴィデもローゼライトを受け止め揺れが収まるのを待った。

「止まった……」

 ダヴィデに身体を離されると「此処にいろ」と告げられ、ダヴィデは会場へ走って行った。いろと言われても会場には父やフレアがいる。
 ラルスに戻ろうと振り向くとショックを受けたような面持ちでいて。「ラルス?」と声を掛けるとハッとなったラルスに父やフレアが心配だから会場に戻ると告げると「僕も行く! ローゼライトを一人で行かせられない」二人で戻る事となった。

「……どうして僕を頼ってくれなかったんだ」

 ヒールが高い靴を履きながらも出来るだけ走るローゼライトの耳がラルスの声を拾うも、会場中大パニックとなって他者の声でかき消され言葉までは分からなかった。

「あ!」

 一緒に走っていても人の波が二人に迫り、ラルスは後ろへ、ローゼライトは前へ押されていった。

「ローゼライト!」
「ラルス! 私はお父様とフレアを探しに行くから、ラルスもおば様やおじ様を探して!」
「ローゼライトを一人に、」
「私は大丈夫だから!」

 人混みを掻き分け父とフレアを必死に探す。遠くの方から魔法の衝突音や人の怒声、更には金属がぶつかり合う音も。魔法使いだけではなく騎士達も応戦している証拠だ。急いで二人を見つけたいローゼライトは魔力感知を使った。一定範囲内にいる相手の魔力の波長を見て父やフレアを探し出す。

「いないっ」

 ローゼライトが今いる周囲に父もフレアもいない。更に魔力を増量させ範囲を広めるが見当たらない。

「もしかして、会場を出ている可能性があるかも!」

 そうと決まれば逆走して会場を出ると決め、来た道を走り出した。幸い、奥へ進んでいたのはローゼライトだけで他は外へ向かって走る人だかりだったので今は多少人の量がマシだ。今の内にとローゼライトは外を目指した。
 走っている最中視界に入ってしまった光景に思わず足を止めた。座り込み動けないヴィクトリアをラルスが横抱きにした。全幅の信頼を寄せるヴィクトリアの瞳と安心させる笑みを浮かべるラルス。場違いな感想ではあるが二人の姿はあまりにお似合いだった。側にいた令息に急かされたラルスが動き出したのを見たローゼライトも再び走り出した。
 一際大きな爆発音が響き、地面が揺れて大勢を崩すローゼライト。再び走り出すべく立ち上がった時、ローゼライトの周囲だけ明るくなった。上を向いたら、大きな魔力の塊が迫っていて。

 逃げないと死ぬ。

 頭で理解しても体は理解してくれない。

 ——これじゃあ本当に死んでしまうわ……

 致死量の魔力量が感知される大きな光の塊から逃げようにもどうしてだか足が動いてくれない。「ローゼライト!!」誰かの叫び声がした。ラルスだ。ヴィクトリアを抱えたままローゼライトの名を叫んでいる。
 嫌いじゃない。
 熱烈な愛情は持てなかったが好きではいた。

「ラルス。幸せにね」

 声は届かなくても口の動きは何となくでもいいから伝わってほしい。せめて最後に残る自分の姿が酷い物になりたくなくて精一杯の笑みを浮かべ、ローゼライトは光に包まれた。
 眩しい光で目を閉じたら「大人しくしてな」とダヴィデの声と共に温もりに包まれた。

  
 ——ヴィクトリアを友人に託してローゼライトを助けに行こうとしたラルスだが、光の塊がローゼライトの頭上に落下した直後爆発が発生し逆に他の友人に止められてしまった。

「ローゼ、ローゼっ!」
「無理だラルス! もう手遅れだ!!」
「嘘だ、ローゼライト、ローゼ!!」

 一人ではラルスを止められないと判断した数人の友人達が加勢した。数人がかりで止めてもローゼライトがいた炎の中に飛び込もうとするラルス。無理矢理外へ出た時にはラルスは力なく泣いていた。

  

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

【完結】遅いのですなにもかも

砂礫レキ
恋愛
昔森の奥でやさしい魔女は一人の王子さまを助けました。 王子さまは魔女に恋をして自分の城につれかえりました。 数年後、王子さまは隣国のお姫さまを好きになってしまいました。

〖完結〗愛しているから、あなたを愛していないフリをします。

藍川みいな
恋愛
ずっと大好きだった幼なじみの侯爵令息、ウォルシュ様。そんなウォルシュ様から、結婚をして欲しいと言われました。 但し、条件付きで。 「子を産めれば誰でもよかったのだが、やっぱり俺の事を分かってくれている君に頼みたい。愛のない結婚をしてくれ。」 彼は、私の気持ちを知りません。もしも、私が彼を愛している事を知られてしまったら捨てられてしまう。 だから、私は全力であなたを愛していないフリをします。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全7話で完結になります。

【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。 幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。 ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。 月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。 パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。 これでは、結婚した後は別居かしら。 お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。 だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。

(完)大好きなお姉様、なぜ?ー夫も子供も奪われた私

青空一夏
恋愛
妹が大嫌いな姉が仕組んだ身勝手な計画にまんまと引っかかった妹の不幸な結婚生活からの恋物語。ハッピーエンド保証。 中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。魔法のある世界。

(完結)婚約者の勇者に忘れられた王女様――行方不明になった勇者は妻と子供を伴い戻って来た

青空一夏
恋愛
私はジョージア王国の王女でレイラ・ジョージア。護衛騎士のアルフィーは私の憧れの男性だった。彼はローガンナ男爵家の三男で到底私とは結婚できる身分ではない。 それでも私は彼にお嫁さんにしてほしいと告白し勇者になってくれるようにお願いした。勇者は望めば王女とも婚姻できるからだ。 彼は私の為に勇者になり私と婚約。その後、魔物討伐に向かった。 ところが彼は行方不明となりおよそ2年後やっと戻って来た。しかし、彼の横には子供を抱いた見知らぬ女性が立っており・・・・・・ ハッピーエンドではない悲恋になるかもしれません。もやもやエンドの追記あり。ちょっとしたざまぁになっています。

私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください

迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。 アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。 断るに断れない状況での婚姻の申し込み。 仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。 優しい人。 貞節と名高い人。 一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。 細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。 私も愛しております。 そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。 「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」 そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。 優しかったアナタは幻ですか? どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。

勇者様がお望みなのはどうやら王女様ではないようです

ララ
恋愛
大好きな幼馴染で恋人のアレン。 彼は5年ほど前に神託によって勇者に選ばれた。 先日、ようやく魔王討伐を終えて帰ってきた。 帰還を祝うパーティーで見た彼は以前よりもさらにかっこよく、魅力的になっていた。 ずっと待ってた。 帰ってくるって言った言葉を信じて。 あの日のプロポーズを信じて。 でも帰ってきた彼からはなんの連絡もない。 それどころか街中勇者と王女の密やかな恋の話で大盛り上がり。 なんで‥‥どうして?

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

処理中です...