天狐と或る巫女の物語

神無月 花

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10話

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 冥王 

黄玉は、より速く走る為狐の姿になった。黄金の毛皮と九尾 、濃い空色の瞳を持つその姿は普通の狐と違い気高く美しい 。 

………………………


門守「冥王城に何用ですか?」


黄玉に冥王城の門守がこう問うた時、黄玉はいつのまに戻ったのか人型になっていた。


黄玉「この城に結びの巫女がいる筈。結びの巫女がこの世界に来る時は我が屋敷で保護しているゆえ、我が迎えに来た。」


門守「結びの巫女はこの城にいませぬ。お帰りください。」 

黄玉「我に嘘が通用すると思うのか。」


門守は黙っているが、黄玉は話し続ける。 


黄玉「我は天狐だ。心眼を使い、心を読む事も可能なのだ。それゆえ我に嘘は通じん。」


門守1「ならば…私どもと闘っていただきましょう。」


門守2「勝たせませぬよ。」


黄玉「よかろう。勝って結びの巫女を連れ戻す。」 



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