陰陽ノ花〜現代陰陽師奇譚〜

＊弐ー②

第四集：野望

｢おお...!これまでにない程、強い霊力が体中に充ちる感覚だ!｣







　　本家内。老年の男がそう呟いた。その声は嬉々としており、まるで長年の悲願が叶った。とでもいうような話し方だ。






｢我が悲願を叶える日が来た。｣





　　　男は袖や懐の中から多量の式符を取り出すと、こう言った。　





｢さあ、我が眷属達よ!共に戦え！｣








｢楽しい時間の始まりだ。待っていろ。｣



・・・・・・・・・・



　本家の話室。この日は土曜日で、一族内の全当主が本家に集まっていた。


全員｢！｣




　紫苑｢な、何？この重苦しい空気...｣



　　正明｢強い霊力の気...一体誰の･･･？｣



｢私だ。まさか忘れたのか？｣



　　　紫苑,清秋,康名,光留｢｢｢｢！｣｣｣｣




紫苑｢この声....?!｣



　清秋｢祖父さん....｣



先々代当主｢皆、会うのは久しいな。一体どれぐらいぶりになるのか。｣






　　強い霊力と張り詰めた空気の正体....それは、本家の先々代当主･･･つまり、清秋と紫苑の祖父である増輝(ますき)であった。