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第2品「じつは時間経過って、思ってるより遅かったり早かったりする」
まさかまさかの……ビデガンパート
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これはコンビニ襲撃より以前のことである。
「真勢力? ダムンディアボロス? なに考えてんだ灰の妖女」
「そう、真勢力よ。風来のビデガン……いえ、蒼き憤墨のビデガン」
そこは建設途中の祭壇じみた塔のなかである。まだ造りかけの一階部分には、ぽっかりと開いた屋上からの陽光がはいりこんでいる。しかも適度に薄暗く、奇妙な女とふたりでデートだ。しかも真勢力――ダムンディアボロスというのも気にくわない。まったく気にくわない。
「確かに俺たちの先祖には、食神の力を得ようとした輩もいる。だがじっさいやってみて、これじゃあクソだってことで廃止したんだ。下位護神にデビロイド二十人が瞬殺たぁ泣かせる話だぜ」
「ふっ……それは過去の話よ。すでに十五人が食神の力を奪っている。簡単なのよわたしがいればね」
「へえ……女神になり損ないの女がかぃ?」
「人間にも魔物にもなり損なっている種族のセリフかしら?」
ビデガンは皮肉を皮肉で返されて、けっ! と舌打ちした。こんな女に捕まるとはまったく運がない。まあ、あの小僧と豆腐の女神に出会ったことも踏まえてなのだが……
ソヨギとか言う策士を探しにでてみると、そのさきで灰の妖女――シンディラがいたのだ。デビロイドを集めて悪さをしてると聞いて、ノコノコついてきた自分も悪い。ソヨギに対する怒りのせいで、冷静さをなくしていた。その結果がこれだ。
「俺はデビロイドだ。種族の誇りってのは背負うもんだ。途中でおろすもんでもねぇ。ましてや、むちゃくちゃやって誇示するもんでもねぇのさ……」
「ふふ……魔族たちにいいように使われているのに?」
「半端もんにゃちょうどいい……デビロイドは死んでも誇りは死なねぇからな」
「さすがは魔神デスケテスが殺さなかった男だわ。その気概は素晴らしい……でもね、エレティアネはどうするのかしら?」
「……死にてぇのか?」
ビデガンは魔装駆逐銃を構えた。デスケテスが勝手に改造した最強の魔装銃――ハイヴォルトを、シンディラの眉間へと向ける。
「さすがに冷静ではいられないようね。半魔半人がゆいいつ愛した人間の女。確か、ベアフロンティアに捕らえられていたわよねえ? そして風来のデビロイドは、しかたなく異世界にやってきた……でも真勢力が――勇者たちと破滅王の戦いに、横槍をいれる勢力があらわれたら? なんだか奪い返すチャンスができそうな予感がするわね……」
「へっ……どこにいるかも分からねぇ女の話なんざ聞きたくもねぇ」
「ふふっ……手土産もなくこんな交渉をするとでも? ベアフロンティアはこちらの世界につれてきた。なぜなら最強の魔装銃を恐れているからよ。保険は手もとになければ使えないもの」
「……ちっ! 気にくわねぇ……! 最初から手のひらのうえじゃねぇか」
ビデガンは手をおろした。こんなもん、撃つ気がなけりゃただの穴っぽこだぜ……
「それでどういう手筈なんだ? ただやみくもに暴れてるわけじゃねぇんだろ?」
「頭がいい男は好きよ? 破滅軍に怪しまれないように、いまは護神狩りと偽って力を溜めている段階。まずベアフロンティアにわたしたちの力を認めさせる。そして蜂起のチャンスを待つ。すでにひとりの勇者が数多の護神と組んで交戦しているでしょう? わたしたちがその背後で動いているから、勇者軍の足どめになっているわ。あとはなにか成果があれば、ベアフロンティアは力を認めるでしょう。そしてその懐にはいり、魔軍師団長を討つ!」
シンディラは拳を握りしめた。なるほどねぇ……灰の妖女にもなにか理由がありそうだ。
「ま、好きにしな。俺の報告は本隊に届いたんだろうな?」
「付近にいたモンスターに使いを頼んだ。もう報告は伝わっているわ。しかしそのソヨギとかいう男は、豆腐の女神といたのよね?」
「ああ、そうだ。どういう関係かは興味ねぇぜ?」
「別にあなたに聞かせるつもりも……これは! 豆腐の女神ソフラのアニミス!」
とつぜんシンディラが絶叫した。女神になり損なったくせに、アニミスが分かるらしい。しかもこいつは魔力を持ってやがる……半神半魔の妖怪たぁよく言ったもんだぜ。
(半人半魔と半神半魔……ちょうどいい具合なのかもしれねぇなぁ……)
ダジャレですませるつもりはない。手を組むには相性がよさそうだ。半端もん同士、仲良くやろうや……
「おそらくだが俺を追ってるんだろうぜ。女神の適合者らしいソヨギってのを、俺が殺ったんだとでも思ったのかもな」
豆腐もあの食糧品店だか武器庫だかの近くにいたのだ。ソヨギがいない建物のようすと、ビデガンがでてきたのを見て、敵討ちをしにきた――妥当な推理だろう。
「ちょうどいい……ソフラの力量を計れる。あなたを追ってきたのなら、あなたの姿を借りるわビデガン。わたしが相手してやる」
「好きにしなぁ」
シンディラはつかつかと歩いてビデガンの肩に触れた――すると、サラサラとその体が衣服もろとも崩れていく。次の瞬間には再構築され、まるで鏡をまえにしたように、シンディラはビデガンとウリふたつの外見になっていた。喋る。
「ソフラの策敵能力は短い。まだ距離があるからいまのうちにでろ」
「自分に命令されるたぁな……ま、しばらくソヨギの捜索でもするかね」
「好きにしなぁ。追って知らせてやる」
「……声まで俺かよ」
「なんなら技もな。トゥー・トリックとやらを借りるぜ?」
「へいへい……」
ビデガンは手をヒラヒラとさせながら建物をでた。キィ……とドアを開くと、ところどころが破壊された町並みをながめる。
「心んなかは辛気くせぇが、綺麗な空だぜまったく……」
ビデガンはフェイクスターで跳躍した。なんども繰り返し、遠まわりをするようにあの食糧品店に戻る。ソヨギはいなかった。
そして――
――それからかなりの時間が経過し、ビデガンは食糧品店からほど近い場所で、灰の妖女を見あげていた。かなり高い位置に浮遊していて、その灰色は空の雲と同化している。と、灰の妖女が手をかかげた。
「始まるか……狙いは豆腐の女神……」
誰が豆腐の女神を取りこむかは決まっていない。灰の妖女はその存在の性質上、食神を取りこむことはできないのだ。だがデビロイドならば半分は人間、可能である。しかし難問がある。
それは食神が適合者として、デビロイドを認めなければならないのである。それを可能にするのは徹底的な暴力……魂から腐臭を感じるようなくだらなさだ。魔力による拷問は精神や神としての存在への苦痛を与える。
神には心がある。生きる存在には心がある。それを根っこからへし折るわけだ。
このとき、ビデガンは後悔していた。確かにデビロイドは魔族たちに奴隷のような扱いを受けている。確かに命をかけても救いたい女がいる。だが誇りは? 魔族最強とうたわれたデスケテスすら認めさせたデビロイドとしての誇りは? これじゃあ全部が腐ってなくなるんじゃねぇか……?
そんなビデガンの後悔をよそに、真勢力ダムンディアボロスによる襲撃は始まった。作戦ではすぐに灰の嵐がおきて、広範囲に広がった灰による閉鎖空間が完成する手筈となっている。ビデガンは舌打ちし、食糧品店の屋上に跳躍した。
屋上におりると伏せる。そこでビデガンは灰の妖女の本当の企みを知る。
「いまさら私怨など――!」
豆腐の女神の言葉である。ビデガンは血がにじむほど強く、拳を握っていた。つまり、灰の妖女がデビロイドたちをあざむき、個人的な用事をすませようって腹だ。
ビデガンは灰の妖女を狙うが、すぐに消えてしまう。そして哀れなデビロイドたちが出現し、飾神たちとの戦闘を始めた。ここまで事態が進行して、とめることなどできない。
「デビロイドの運命か? やられっぱなしがデビロイドの運命か? 冗談じゃねぇぞ……!」
ビデガンはしかし、どうすればいいのか決められないでいた。仲間たちはデビロイド一族の未来を信じて戦っている。その覚悟を茶化す? できるわけがねぇ! 怒りにまかせた拳が震えていた。そのうちデビロイド四人がこちらに向かってくる。なんだ?
「貴様も忌々しいセラフだな!」
「……ひと違いです」
ソヨギだ! その声はあの策士の声だった。
だがいまとなってはどうでもいい……いまは自分を取るか仲間を取るか、それとも女狐の命を取るか、その選択をせまられている。
ビデガンの位置からは見えないが、ソヨギはひょうひょうとしていた。そしていとも簡単に仲間たちをあしらう。なんだこいつは。いや、こいつならもしかしたら……
ビデガンは試してもいいと感じていた。決めかねているコインの裏表を、こいつに委ねる……どことなく感じさせるデビロイドの始祖、虚実の王の気風を持つ男に。
ビデガンはソヨギが裏手にくると、背後を取るようにおり立った。
いくつか会話をかわし、ビデガンは賭けを提案する。その賭けはじつのところ、自分をたくす男を見極めるためだった。ビデガンはフェイクスターを使いソヨギにつめよる。
「これで死ななきゃてめぇの勝ちよ!」
生きてくれるか、俺の運命!
ハイヴォルトの一撃がソヨギを撃った。そして――
ソヨギは壁に背を預けながら動かなくなった。ビデガンは唇を噛みながらうつ向く。ダメか……ダメだったか……
(悪いエレティアネ……俺は仲間を取るしかねぇ!)
ビデガンは灰の妖女の企みを知るよしもなく、その命をかけてデビロイドの未来を開こうとしている仲間たちを見た。命がけで目を覚ましてやらなきゃならねぇ……!
――と。
「……ビデガンさん」
「な……! てめ――」
ビデガンはガヅンッ! と振り向いたところを殴られていた。捨てたはずの異世界の武器が視界を埋めている。
「えい、えい、てや」
そしてビデガンはたくさん殴られました。
続く
「真勢力? ダムンディアボロス? なに考えてんだ灰の妖女」
「そう、真勢力よ。風来のビデガン……いえ、蒼き憤墨のビデガン」
そこは建設途中の祭壇じみた塔のなかである。まだ造りかけの一階部分には、ぽっかりと開いた屋上からの陽光がはいりこんでいる。しかも適度に薄暗く、奇妙な女とふたりでデートだ。しかも真勢力――ダムンディアボロスというのも気にくわない。まったく気にくわない。
「確かに俺たちの先祖には、食神の力を得ようとした輩もいる。だがじっさいやってみて、これじゃあクソだってことで廃止したんだ。下位護神にデビロイド二十人が瞬殺たぁ泣かせる話だぜ」
「ふっ……それは過去の話よ。すでに十五人が食神の力を奪っている。簡単なのよわたしがいればね」
「へえ……女神になり損ないの女がかぃ?」
「人間にも魔物にもなり損なっている種族のセリフかしら?」
ビデガンは皮肉を皮肉で返されて、けっ! と舌打ちした。こんな女に捕まるとはまったく運がない。まあ、あの小僧と豆腐の女神に出会ったことも踏まえてなのだが……
ソヨギとか言う策士を探しにでてみると、そのさきで灰の妖女――シンディラがいたのだ。デビロイドを集めて悪さをしてると聞いて、ノコノコついてきた自分も悪い。ソヨギに対する怒りのせいで、冷静さをなくしていた。その結果がこれだ。
「俺はデビロイドだ。種族の誇りってのは背負うもんだ。途中でおろすもんでもねぇ。ましてや、むちゃくちゃやって誇示するもんでもねぇのさ……」
「ふふ……魔族たちにいいように使われているのに?」
「半端もんにゃちょうどいい……デビロイドは死んでも誇りは死なねぇからな」
「さすがは魔神デスケテスが殺さなかった男だわ。その気概は素晴らしい……でもね、エレティアネはどうするのかしら?」
「……死にてぇのか?」
ビデガンは魔装駆逐銃を構えた。デスケテスが勝手に改造した最強の魔装銃――ハイヴォルトを、シンディラの眉間へと向ける。
「さすがに冷静ではいられないようね。半魔半人がゆいいつ愛した人間の女。確か、ベアフロンティアに捕らえられていたわよねえ? そして風来のデビロイドは、しかたなく異世界にやってきた……でも真勢力が――勇者たちと破滅王の戦いに、横槍をいれる勢力があらわれたら? なんだか奪い返すチャンスができそうな予感がするわね……」
「へっ……どこにいるかも分からねぇ女の話なんざ聞きたくもねぇ」
「ふふっ……手土産もなくこんな交渉をするとでも? ベアフロンティアはこちらの世界につれてきた。なぜなら最強の魔装銃を恐れているからよ。保険は手もとになければ使えないもの」
「……ちっ! 気にくわねぇ……! 最初から手のひらのうえじゃねぇか」
ビデガンは手をおろした。こんなもん、撃つ気がなけりゃただの穴っぽこだぜ……
「それでどういう手筈なんだ? ただやみくもに暴れてるわけじゃねぇんだろ?」
「頭がいい男は好きよ? 破滅軍に怪しまれないように、いまは護神狩りと偽って力を溜めている段階。まずベアフロンティアにわたしたちの力を認めさせる。そして蜂起のチャンスを待つ。すでにひとりの勇者が数多の護神と組んで交戦しているでしょう? わたしたちがその背後で動いているから、勇者軍の足どめになっているわ。あとはなにか成果があれば、ベアフロンティアは力を認めるでしょう。そしてその懐にはいり、魔軍師団長を討つ!」
シンディラは拳を握りしめた。なるほどねぇ……灰の妖女にもなにか理由がありそうだ。
「ま、好きにしな。俺の報告は本隊に届いたんだろうな?」
「付近にいたモンスターに使いを頼んだ。もう報告は伝わっているわ。しかしそのソヨギとかいう男は、豆腐の女神といたのよね?」
「ああ、そうだ。どういう関係かは興味ねぇぜ?」
「別にあなたに聞かせるつもりも……これは! 豆腐の女神ソフラのアニミス!」
とつぜんシンディラが絶叫した。女神になり損なったくせに、アニミスが分かるらしい。しかもこいつは魔力を持ってやがる……半神半魔の妖怪たぁよく言ったもんだぜ。
(半人半魔と半神半魔……ちょうどいい具合なのかもしれねぇなぁ……)
ダジャレですませるつもりはない。手を組むには相性がよさそうだ。半端もん同士、仲良くやろうや……
「おそらくだが俺を追ってるんだろうぜ。女神の適合者らしいソヨギってのを、俺が殺ったんだとでも思ったのかもな」
豆腐もあの食糧品店だか武器庫だかの近くにいたのだ。ソヨギがいない建物のようすと、ビデガンがでてきたのを見て、敵討ちをしにきた――妥当な推理だろう。
「ちょうどいい……ソフラの力量を計れる。あなたを追ってきたのなら、あなたの姿を借りるわビデガン。わたしが相手してやる」
「好きにしなぁ」
シンディラはつかつかと歩いてビデガンの肩に触れた――すると、サラサラとその体が衣服もろとも崩れていく。次の瞬間には再構築され、まるで鏡をまえにしたように、シンディラはビデガンとウリふたつの外見になっていた。喋る。
「ソフラの策敵能力は短い。まだ距離があるからいまのうちにでろ」
「自分に命令されるたぁな……ま、しばらくソヨギの捜索でもするかね」
「好きにしなぁ。追って知らせてやる」
「……声まで俺かよ」
「なんなら技もな。トゥー・トリックとやらを借りるぜ?」
「へいへい……」
ビデガンは手をヒラヒラとさせながら建物をでた。キィ……とドアを開くと、ところどころが破壊された町並みをながめる。
「心んなかは辛気くせぇが、綺麗な空だぜまったく……」
ビデガンはフェイクスターで跳躍した。なんども繰り返し、遠まわりをするようにあの食糧品店に戻る。ソヨギはいなかった。
そして――
――それからかなりの時間が経過し、ビデガンは食糧品店からほど近い場所で、灰の妖女を見あげていた。かなり高い位置に浮遊していて、その灰色は空の雲と同化している。と、灰の妖女が手をかかげた。
「始まるか……狙いは豆腐の女神……」
誰が豆腐の女神を取りこむかは決まっていない。灰の妖女はその存在の性質上、食神を取りこむことはできないのだ。だがデビロイドならば半分は人間、可能である。しかし難問がある。
それは食神が適合者として、デビロイドを認めなければならないのである。それを可能にするのは徹底的な暴力……魂から腐臭を感じるようなくだらなさだ。魔力による拷問は精神や神としての存在への苦痛を与える。
神には心がある。生きる存在には心がある。それを根っこからへし折るわけだ。
このとき、ビデガンは後悔していた。確かにデビロイドは魔族たちに奴隷のような扱いを受けている。確かに命をかけても救いたい女がいる。だが誇りは? 魔族最強とうたわれたデスケテスすら認めさせたデビロイドとしての誇りは? これじゃあ全部が腐ってなくなるんじゃねぇか……?
そんなビデガンの後悔をよそに、真勢力ダムンディアボロスによる襲撃は始まった。作戦ではすぐに灰の嵐がおきて、広範囲に広がった灰による閉鎖空間が完成する手筈となっている。ビデガンは舌打ちし、食糧品店の屋上に跳躍した。
屋上におりると伏せる。そこでビデガンは灰の妖女の本当の企みを知る。
「いまさら私怨など――!」
豆腐の女神の言葉である。ビデガンは血がにじむほど強く、拳を握っていた。つまり、灰の妖女がデビロイドたちをあざむき、個人的な用事をすませようって腹だ。
ビデガンは灰の妖女を狙うが、すぐに消えてしまう。そして哀れなデビロイドたちが出現し、飾神たちとの戦闘を始めた。ここまで事態が進行して、とめることなどできない。
「デビロイドの運命か? やられっぱなしがデビロイドの運命か? 冗談じゃねぇぞ……!」
ビデガンはしかし、どうすればいいのか決められないでいた。仲間たちはデビロイド一族の未来を信じて戦っている。その覚悟を茶化す? できるわけがねぇ! 怒りにまかせた拳が震えていた。そのうちデビロイド四人がこちらに向かってくる。なんだ?
「貴様も忌々しいセラフだな!」
「……ひと違いです」
ソヨギだ! その声はあの策士の声だった。
だがいまとなってはどうでもいい……いまは自分を取るか仲間を取るか、それとも女狐の命を取るか、その選択をせまられている。
ビデガンの位置からは見えないが、ソヨギはひょうひょうとしていた。そしていとも簡単に仲間たちをあしらう。なんだこいつは。いや、こいつならもしかしたら……
ビデガンは試してもいいと感じていた。決めかねているコインの裏表を、こいつに委ねる……どことなく感じさせるデビロイドの始祖、虚実の王の気風を持つ男に。
ビデガンはソヨギが裏手にくると、背後を取るようにおり立った。
いくつか会話をかわし、ビデガンは賭けを提案する。その賭けはじつのところ、自分をたくす男を見極めるためだった。ビデガンはフェイクスターを使いソヨギにつめよる。
「これで死ななきゃてめぇの勝ちよ!」
生きてくれるか、俺の運命!
ハイヴォルトの一撃がソヨギを撃った。そして――
ソヨギは壁に背を預けながら動かなくなった。ビデガンは唇を噛みながらうつ向く。ダメか……ダメだったか……
(悪いエレティアネ……俺は仲間を取るしかねぇ!)
ビデガンは灰の妖女の企みを知るよしもなく、その命をかけてデビロイドの未来を開こうとしている仲間たちを見た。命がけで目を覚ましてやらなきゃならねぇ……!
――と。
「……ビデガンさん」
「な……! てめ――」
ビデガンはガヅンッ! と振り向いたところを殴られていた。捨てたはずの異世界の武器が視界を埋めている。
「えい、えい、てや」
そしてビデガンはたくさん殴られました。
続く
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