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第5品「勘違いしないでください。俺は俺、彼らは彼らなんで」
霊級乱舞――ソヨギは理屈っぽ
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ソヨミスの蹴りが、デスケテスの腹を打つ。離れているので細かい表情こそ分からないが、デスケテスは滑走するように一メートルほど動いた。その時点でソヨミスの攻撃がカノリを上回っていることが分かる。
「おふたりはソヨギさまの魂を二分され、造られた存在です。ソヨギさまであり、ソヨギさまではありません」
「じゃあソヨちゃんは……」
いない。カノリはショックを受けて、せっかく止まった涙をまた流す。
「おふたりをソヨギさまに還すことを目的としています……まだ希望はあるのです。そのためにおふたりはデスケテスを倒そうとしているのです」
「どういうこと?」
「俺が説明しますよー」
こちらの心中を知ってか知らずか、軽い調子のマヨギ。それはとてもソヨギぽかった。カノリの心はそれだけで収まる。
遠くでドウンッ! と音がした。マヨギに近づきつつ見ると、背後にまわったソヨミスが、ガデニデグを殴りつけていた。あのデスケテスがたたらを踏む。
そしてソヨミスが消え、すぐにデスケテスの横に現れた。ガインッ! とデスケテスの肩を殴る――また消えた。かと思うとすぐに現れ、今度は逆の位置で脇腹に肘をいれる。ゴァンッ!
「デスケテスさんの一撃食らったら終わりですからね」
マヨギは炎を握る手を、一定の法則で動かしていた。まるで印を結ぶ法力僧を思わせる。その動きに呼応するように、ソヨミスの攻撃音が屋上に響いていた。
「マヨちゃんがソヨミちゃんを?」
「そっす……とりあえず、なぜデスケテスさんを俺らが倒すのかって話ですが、ひとつは俺らじゃないと倒せないからっす。同じ理由で足止めできるのも俺らだけっす」
「そう? みんなでやったほうがいいと思うんだけど」
「ガデニデグさんの悪事のキーポイントが『時間』なもんで、放っておけない。それに、大ボスにコンビ組まれたらそれこそ大変」
「どうやらガデニデグはモンスターたちを屋上だけ出入禁止にしているようなのです。裏を返せば唯一この屋上だけが、デスケテスと一対一で戦える場所なのです」
「……デスケテスさんは生粋の喧嘩屋みたいですからね。ガデニデグさん的には、戦力削られたら計画がおじゃんになるわけで。しかし、おじゃんてなんなんだ……」
マヨギは思索にふけるが、手はいっさい止めない。カノリは聞く。
「なんかまだ、ふたりじゃないとダメな理由になってない気がするけど?」
「ん……そっすね。じつはガデニデグさんの独り言パートツーなんですが、どうやらデスケテスさんとの契約が邪魔になってるようです。その契約はお互いに利益になるものだったようですが、研究が進むにつれてデスケテスさんが邪魔になった」
「えとー……ごめん、もろもろ情報が足りてなくてなにがなんだか。独り言パートツー? 研究?」
「マヨギさま、さきにカノリさまに内部での出来事を報告します」
「……そっすね。じゃ、なんか戦ってます」
なんかじゃなくて、ちゃんと戦いなさい。そう思いながらカノリは豆腐から報告を受ける。かいつまんでいるが要所のポイントが押さえてあるので分かりやすい。フィアの裏技やガデニデグの不自然な動向、ソヨギの現状など……その報告に旧友たちの体験談を合わせると、空白の時間が存在せず、すべてが埋まったようだった。
「ん、分かった。ガデニデグは研究の成果をデスケテスに破壊されることを危惧してるってことか……」
「そういうことです。番犬としてこれほど優秀なひとはいない。けど研究成果を壊されるかもしれないと考えた。なにせ首輪もリードもついてない暴れん坊ですからね。あとは勝手な考えなんすけど、捕らえられた飾神さんたちはデスケテスさんの暇潰しにされた感があるんす。なんせ見つけられないので……デッドプリズンに潜入する直前には確かにあったアニミスが、消えてるって話です。それと王さまを素体にしなかった普通のティンダルスも、いるはずなのにいない。せっかく造ったのに異世界に置き去りってのは変ですし」
飾神に関しては、デスケテスのセリフですでに亡き者にされているのが分かる。カノリは情報を処理しきれずに顎に手をそえた。
「デスケテスが暴れだしたら止める方法がない。イギギちゃんたちが魔力集めが任務だったのと、王さまのティンダルスが究極兵器を造る過程でできた失敗作だってことを考えると、ガデニデグに必要なのは魔力と研究成功のための時間よね。それで時間稼ぎが必要になって、貴重なレアーズであるソヨちゃんをティンダルスにした。ティンダルスにするためには魔力が必要で、儡王ってのが言っていた『ガデニデグがまたアレをやるつもり』っていう言葉の意味は、ソヨちゃんをティンダルス化させるって意味だった。翅王が大樹にされた音を友達が聞いてるから、タイミングとしてはソヨちゃんを捕らえたあとだから出たセリフだね。そしてまた、ってことは捕らえられた飾神たちはティンダルス化されてたはず。次元門エルシアが開かれる以前に、種族の王たちが失踪したのはフィアちゃんが知ってる――つまり、もう十分にいるからティンダルスの量産はやめていたはずだった。その矛先が飾神に向いたのは、デスケテスを止める存在を望んだから。それでもデスケテスには敵わない存在だった……ティンダルスはガデニデグの私兵ってこと。つまり駒だよ。マヨちゃんとソヨミちゃんも、ガデニデグに利用されてるんじゃないの?」
自分のなかで事実だろうこれまでを整理をしながら聞く。マヨギはなにを考えてるのか分からない顔で言った。
「そうかもしれないっすね。だけど俺たちはガデニデグさんに洗脳とかされてないっす。でもデスケテスさんをここで倒しておかないとダメなんす。俺たちが」
「……分からないな。デスケテスを倒すのと、ソヨちゃんに還ることはまったくつながらないよ」
「そうっすか? じゃあそれは後々ってことで――あ、ソヨミスさんに呼ばれた」
マヨギが指をそろて曲げる。するとソヨミスが手元に出現した。ソヨミスは視線をデスケテスへと向けつつ、中腰で構えている。あれだけ動きまわったのに汗はかいていないようだ。
「どっすか?」
「いい感じっすけど、そろそろ第二段階ですかね」
「らじゃー」
マヨギが応じると、その右手にコー○が握られる。
『れっつごー』
ソヨミスが消え、戦闘が再開した。ドォンッ!
ゴォンッ! ガァンッ!
「ちょっと近づきます。どーします?」
「もちろんご一緒します。わたしは万が一、魔物が襲ってきた場合の護り手です」
なるほど、豆腐の役目もちゃんとあるようだ。マヨギは器用に片手でコー○を開け、ゴクゴクと飲む。なんか雑踏で始まった喧嘩をやじ馬するように見えるなと、カノリもついていった。
戦闘している両者まで四十メートルくらいでマヨギが足をとめた。どうやらこの距離が、攻撃の余波を受けないボーダーラインのようだ。ソヨミスが攻撃を当てるたびに、祭りの太鼓のような振動が響き、腹から全身が痺れた。
距離が近くなったので戦闘状況がよく分かった。ソヨミスの攻撃は、
「……効いてないように見えるよ」
「そっすねー。デスケテスさんの内包する魔力が多すぎるんす。そのせいでアニミス攻撃の浄化作用も、ちろっとしか効果がない」
「そ……! それじゃあ倒すなんてムリじゃない!」
カノリはマヨギに掴みかかろうとしたが、右腕に走った痛みのおかげで自制することができた。右腕を押さえながら、
「いまからでもみんなを呼び戻したら?」
「できなくはないですが、それは時間の関係でムリっすゲップす……」
マヨギのその態度に、カチンと来るものがあった。叫ぶ。
「じ……冗談じゃないわよ! そうよ、冗談やってる場合じゃないのよ! なによ飲み物片手に気楽な戦闘やってさ! ウィッグやデビロイドたちが浮かばれないわよ……!」
「お待ちくださいカノリさま! わたしもソヨギさまの奇策には何度も声を荒らげました。ですが、間違った結果になったことはありません!」
「このひとはソヨちゃんじゃないんだよ!?」
「おっしゃりたいことはよく分かります! ですが魂を受け継いだおふたりは、その霊級をも受け継いでおられるのです!」
「そうっす。すでに『たまにはいっぱい喋るソヨギ』の霊級は発動されてますからね。ふっふっふっ……」
『それは霊級なんかじゃない!』
「えー」
不満げなマヨギはさておき、
「聞くけど、勝てるんだよね?」
「マヨギさまのお言葉を信用できないのなら、フィアさまのお言葉を信用されてはいかがですか? フィアさまはさきほどこう言ったのです、絶対勝てるほうがいいと……おふたりの作戦を聞いたからこそ出たお言葉です。わたしはおふたりを信じるだけです」
「じゃあ聞かせて。具体的にどんな作戦なの?」
「え……そ……それは……」
豆腐はプルプルしながら少し離れた。ん? もしかして知らないの?
「そんな責めるような目で見ないでくださいぃぃぃ……」
「メガ美さんはウィッグさんのアニミスが消えたのを感知して、飛び出すところだったんすよ。それをソヨミスさんがフリスビーごっこでやめさせました。けっこう強めに飛んでいったんで、聞いてないっす」
それでいきなり姿を現したように見えたのか。なんというバカバカしさだろう……カノリが呆れると、同時に苛立ちもどこかに消え失せたようだった。ため息混じりに、マヨギに改めて作戦を聞く。
「第一段階は肩慣らし。パターン化しない多角攻撃を完成させるんす。俺の次元移動能力でソヨミスさんをサポート。ソヨミスさんは時間感覚を完璧に把握する」
「時間感覚?」
「じっさいこの戦闘は練習なしのぶっつけ本番なんで、戦いながら感覚を身につけるしかないんす。ソヨミスさんは瞬間移動してるように見えて、じつは異次元空間を経由して出現してます。異次元空間はこの現世界よりも時間の流れが早い。つまり異次元空間にどのくらい滞在できるかを計測。現世界で攻撃直後に異動して、異次元空間へ行きアニミスを溜め、現世界で攻撃するを繰り返してるんすよ。そのタイミングすべてを計測するのが第一段階で、それは終わりました」
「そ……そんなことできるものなの……?」
「見てれば分かりますよ。ソヨミスさんは現世界に出現してから攻撃してません。出現した瞬間に攻撃は終わってますから」
言われ、見る。ソヨミスが消え、それと同時に出現するが、まったく違う場所に出現している。加え、出現したときにはデスケテスに当たっている……つまり異次元空間とやらでアニミスを溜めて攻撃し、拳や蹴りが完全に振りきれる寸前に出現しているのだ。はっきり言って回避不可の攻撃である。
「そっか……だからデスケテスは反応がまったくできないんだ……」
だから抵抗もせず攻撃され続けている。いや、ときおり防御動作や反撃動作をしているようだが、まったく見当がついていないし追いついていない。ソヨミスはその出現場所も攻撃手段もタイミングもパターン化させない。唯一同じなのは消えた瞬間に出現していることぐらいか……それでも、その消えてから出現の間隔に絶妙なタイムラグがあったりする。これは絶対に読めるものじゃない。
しかし攻撃はデスケテスの防御力を下回っていてダメージはゼロなのだ。デスケテスもそれが分かっているから打たせ続けているのだろう。
「手数はあってもダメージがないんじゃ……」
「ダメージはほぼゼロです。効いてないわけじゃないっすよ」
「それはそうだけど……このやり方じゃあ、いつまで経っても倒せないし、そのうちソヨミちゃんのアニミスもなくなっちゃうじゃない」
「そのための第二段階っす。それがこれ。ぐびぐび」
「――! まさか!」
回復しているのか? コー○で? そんなむちゃくちゃなこと!
「可能です、カノリさま。ソヨギさまのミールディアンの霊級ならば、すべての食料飲料はアニミスソーマと同じ!」
「マヨちゃんが飲んでたらアニミスの回復ができないでしょ! ソヨミちゃんが消費してるんだから!」
「あう……それはどうなってますかマヨギさま?」
「俺とソヨミスさんは魂レベルで常時接続状態です。シエル通信とかテレパシー能力なんか使わずに以心伝心です。つまり、俺たちはふたりでひとりの人間だってことです」
「さっぱりです……カノリさま?」
ふむ、マヨギの言いたいことはなんとなく分かる。魂はそもそもがアニミスや魔力の器に例えられるモノ。ひとつの杯を半分にしたら中身はこぼれて維持できない。その状態で生物は生きていけない――魂がなくなるという表現と死という表現が同義語のように使われる理由である。
マヨギとソヨミスが生物として稼働を維持するためには、当然として魂のあり方が正常でなければならない。つまり杯でなければならない。しかしそれぞれが正常な魂を持っていたら、その常時接続状態という異例は起きない。杯が完成していたら、別個の魂とつながることはムリだろう。
このふたりは半欠けの杯をそれぞれが持ち、常時接続というやり方が杯を形成し、中身をアニミスと魔力で満たしているということだ――そうでなければ、常時接続を可能にしている理由が納得できない。
それらの条件を満たすためには、通常の魂のあり方では絶対に不可能である。ひとつの魂が分けられたことによるイレギュラーなのだろう。それはつまりは、ふたりの魂が二分された方法、そして結果自体が、まったくの不完全だったということだ。
「――それがむしろ、ふたりのイレギュラーを完成させた。簡単に言えばマヨちゃんが魔力を回復したぶん、ソヨミちゃんもアニミスを回復できる理屈だね。同じ器を使ってるわけだから」
「そっす。俺たちの魂は常に共鳴しあってます。その共鳴が器をくっつける接着剤なのかも」
「なるほど。なので通常あり得ないだろう発言の一致があるわけですか」
「そうそう喜べる状態じゃないね……ふたりの魂はずっとひとつに戻ろうとして共鳴してるんだよね? それはつまり、この世に産まれた存在としては不安定だってことだよ。なにがきっかけで器が破壊されるか分からない……」
時間――マヨギが作戦のキモであるとしたキーワードである。ガデニデグの研究うんぬんも合わせ、このふたりにはもしかしたら、時間がないのかもしれない。
「マヨちゃん、なおさらダメージほぼゼロじゃどうしようもないんじゃないの?」
「ソヨギを信用してください。ソヨギの観点から言えば、相手のHPが一億でダメージが一なら、一億回攻撃すれば倒せるっす」
「そんなことできるわけないよ!」
カノリはそのむちゃくちゃな考えを否定したが、しかし、すぐに否定が正解なのか分からなくなる。
ソヨギだから……ふたりがソヨギだからだ。いつか自分がソヨギに言ったのだ。むちゃくちゃやってるくせに、なぜか解決する。それがソヨギだとカノリは身をもって知っているのだ。だからどちらかと言えば、否定するほうが難しい。
「ま、狙いはそう単純じゃないっすけどね。ぷはー」
「……いつのまに?」
マヨギは一服を始めていた。いちいち癪にさわる……が、そのソヨギらしい姿になにも言えなくなる。
「作戦は何段階まであるの? せめて身になるとこまで聞かせて」
「どっすかねー。ソヨギの真意が理解できないならムダかもっすよ?」
「いいから聞かせて!」
「……コワイ」
マヨギはブルブルと身震いしてみせる。ふーと煙を吐き出し、灰を落とした。
「そろそろ三段階目に移ります。いちおー、七段階くらいまでありますけど」
マヨギはまたソヨミスを手元に引き寄せた。ソヨミスはマヨギのタバコを受け取ると、くわえタバコで消えた。
「なに、これが三段階目なの?」
「タバコによる直接的なアニミス回復と、俺も魔力回復をがんばる。それで回復効率があがるかどーか……ゴクゴク」
「それが成功するとどうなるの? マヨちゃんが回復してるのと同じじゃないの」
「それはっすね……あ、うまくいった」
――キュゴオンッ! と、ソヨミスの攻撃威力が格段に上昇する。デスケテスは数メートル向こうに吹き飛ばされ、さらにソヨミスの追撃で上空へと吹き飛ぶ――目算で七メールか八メートル。
「一回で使えるアニミス量を増やせるかどうか。そして攻撃の溜めをどのくらい短時間で終わらせて強化できるか。攻撃の手は休めることができないので……てゆーかタバコで回復できるかも怪しかったんすけどねー」
「行き当たりばったりでよくやろうと思ったよね」
「ま、うまくいったし。これでようやくまともな攻撃ができます。というかようやく戦闘開始っすね」
「……え?」
よく分からない。いままでは戦闘じゃなかった?
「見ての通り、攻撃威力があがれば敵は吹き飛ぶ。そのため俺はデスケテスさんの飛距離と到達地点の予測、ソヨミスさんの攻撃可能なタイミングを予測してソヨミスさんを出現させなきゃいけない。このタイミングを掴むのが四段階目」
カノリは上空を見上げた。
なるほど。飛距離というのはそのぶん自由に動ける時間が増えることでもある。デスケテスは追撃で地上に落ちかけたが、身をひるがえして空中で停止した。このデスケテスの動きを予測しなくちゃならない。
「じゃあ攻撃威力は高くないほうがいいってこと?」
「まあ面倒じゃないぶんそのほうがいいっすね。でも、ダメージゼロじゃ意味ないんじゃ?」
「あげ足取りとかひどーい」
カノリは文句を言いながらも自分で考えてみた。デスケテスは自由に動ける時間を得た。攻撃も可能になる。それでもデスケテスはソヨミスの出現ポイントが分からなければ攻撃できないか?
いや、違う。デスケテスの攻撃は範囲攻撃だ。デビロイドたちが食らった衝撃波は広く拡散するタイプのもの。だからデスケテスが攻撃を放ったら近づくべきではない。ソヨミスがどこに出現しても、あの破壊的な衝撃波を食らってしまうのだ。それをマヨギに伝える。
「そのへんはまったく問題ないっすね。なにせソヨミスさんには豆腐バリアーがあります」
「メガ美ちゃんの障壁魔法が使える? まさか……あり得ない」
「カノリさま、事実です。わたしも最初は不思議でしたが、そもそもソヨギさまの魂はこちらの世界のもの。こちらの世界のアニミスを利用することが可能なのです。わたしの障壁は水属性を主体として形成するものです。なので――」
「空気中の水分を利用してるってこと?」
「そっす。属性さえ合っていれば擬似的に技を使えるのはビデガンさんが証明してます――ほら」
ドォンッ! という音はデスケテスの攻撃である。空中で放たれたようだが、ソヨミスも空中浮遊しながら魔法障壁を展開していた――デスケテスの攻撃は、効果時間が短い――次の瞬間にはななめ後ろから拳を叩きつけ、デスケテスを吹き飛ばしていた。マヨギはタバコに火を点けた。
「ぷはー……こういうことっす。さて、五段階目っすね」
「まだ手があるの?」
「ええ、次は属性付与です。ソヨミスさんがアニミスを操れるのは見ましたね? ぱんぱかぱーん」
デスケテスは空中で体勢を立て直し、その場で周囲を探っている雰囲気だ。ソヨミスはなかなか現れない。マヨギは攻撃の手を休められないとか言っていたが、緩急をつけて翻弄もするらしい。どうでもいい嘘をつく、ソヨギらしい考えである。
「デスケテスも困惑してるね。いきなり攻撃がやんだんだからムリもないけど」
「まあ、どの属性で攻撃するかの会議中なわけですが……」
「なんでこの重要な場面で!?」
「いや、『どれにするか悩んじゃうソヨギ』の霊級がですね?」
「それは霊級じゃないってば!」
「……え? マジで?」
「マヨギさま! デスケテスがこちらに向かってきます!」
「俺もソヨミスさんのアニミスと同規模の魔力を放ってますからね。遊び相手に選ばれましたね。迷惑っす」
「早くソヨミちゃん呼んでよ!」
「ですってソヨミスさん……え? 何色に見えるか? メガ美さん水属性って何色ですかね」
「水の色です! なのでほぼ透明です!」
「透明です……それはヤダ? ソヨギなのにソヨミスさんも女性なんすねー。色にこだわりがね。しかたないっすよね?」
『それは時と場合によるでしょー!』
マヨギは頭をポリポリと掻いた。確かにそーだと、めずらしくこちらの意見を聞いてくれる。
カノリは背中を伝う冷や汗を感じながらデスケテスを見た。飛行が苦手というわけではないだろうが、速度はあまり出ていない。
「まだなの?」
「はいっす……ソヨミスさんも二色までは選べたんですが、季節とか天気とかも重要ですからね。今日は天気がいいから薄手にします?」
「属性に薄いも厚いもないの! わたしはアニミス使いきってるんだから時間稼ぎとかムリだからね! それとこの戦いはウィッグたちの弔い合戦の意味もあるんだからあまりふざけないで――」
ビシャアァァァンッッッ!! という爆音で、カノリの言葉は寸断されていた。遅まきながら耳をふさぐと、キィィィン……という耳鳴りがうるさかった。デスケテスを真上から攻撃した雷撃は、デッドプリズン屋上を貫いた瞬間に消えた。
「――デスケテスさんは耳がいいんすよ。いままでは知っていてもどうしようもない部分なんで話してましたが、こっからはあまりなんでもかんでも話すわけにはいかない……なのでひと芝居でしたー。ぱんぱかぱーん」
カノリはもうもうと煙を昇らせているデスケテスを見ていた。そのデスケテスの停止状態を見逃さず、ソヨミスがその正面に現れた。
ソヨミスの手にはアニミスが握られている。それは徐々にだが力の拡散が抑えられていく。感じられるアニミスは小さくなっていくが、おそらく、そのアニミスは研ぎ澄まされているのだ。
「必殺……カノリ神拳っす」
「そのネーミングはイヤだぁ!」
カノリが全力でイヤイヤをするのと同じくして、ソヨミスは拳を突き出した――
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
――ソヨミスは拳を突き出した。できうる限りのアニミスの凝縮が攻撃手段として有効なのは、じつは誰もが知っていることだった。だがデスケテスはモノともしなかった。
しかしこれはまったく違うものだ――
「ぐぬう……!」
ソヨミスがデスケテスの腹部を打つと、初めての感触を得ることができた。『通じた』、という感触である。これまでの攻撃は水面を跳ねる小石のように弾かれていたが、初めて水中に小石を沈めることができたのだ。
魔力を数値化することは不可能である。同じくアニミスもだ。だから余計に気の遠くなるような魔力を感じざるを得なかった。だがこれでデスケテスの魔力の総量を初めて知ることができた。
深い――まるで深海のような深みのある魔力だ。アニミス回復をなん十、なん百と繰り返さなければ浄化など不可能な魔力である。しかしその深度を見極めることができた今、気は遠くなるが目的地は見えた。
デスケテスが動き出す。するとソヨミスは異空間へ跳んだ。
光の流れる空間でアニミスを溜める。このアニミスの凝縮は誰もがやっていることである。例えば豆腐の神技、ビデガンたちデビロイドの魔装銃もそう……ハイヴォルトも同様であり、一点に集中して放つことで威力はあがる。
ふたりは六段階目の真の攻撃をそのやり方にしようと決めていた。だが威力と速度、アニミス消費効率をどう成立させるかが分からなかった。立ち回りと攻撃手段が噛み合ってなければムダになるアニミスも出てくるし、隙を与えてしまうことになる。
豆腐の特技である突進は凝縮率の高いものであるが、硬度を増すものであり威力はさほどではない。しかも威力を生み出すためには自身の速度が不可欠になるため、ムダなアニミス消費を招く。さらにデスケテスはものともしないだろう。
かと言ってイソフラボニアのような超威力の神技を真似できない。似たような技を使うことは可能でも、アニミス消費が激しすぎる。なにせ豆腐はなん十倍とかのふざけた倍率のアニミスを一瞬で消費するのだ。これでは回復が間に合わないだろう。
ハイヴォルトは飛び道具ながら凝縮率を最大にしており、放出率が激減するという性質がある。つまり発射速度が遅い。それではデスケテスならば簡単によけてしまうだろう。威力があっても当たらなければ意味がないし、ハイヴォルトは凝縮に時間がかかってしまうので、連続攻撃の遅延も生じる。これもダメである。
攻撃方法の悩みはカノリの放った超研鑽の一撃が克服してくれた。アニミスを一点に集めるのではなく研ぎ澄ますという技である。
凝縮と研鑽の違いがなんなのかと言えば、一点にアニミスを集める凝縮は、外へと放出されていくアニミスを押しとどめるものである。これの利点は放出後もアニミスを追加できること。そのため魔力との撃ち合いも可能になる。しかし消費が激しいし、デスケテスの防御力や魔力を上回るものとなると、途方もないアニミスが必要となる。アニミスの消費は尋常じゃない。
研鑽はほぼ逆のやり方であり、アニミスを削り、純度を高めるものだ。余分なアニミスを削る――アニミスとひと言でくくっても、大気アニミスや、それに含有される湿度の水属性アニミスなど、アニミスは複雑に構成されている。研鑽はそれら補助的に働くアニミスを削るのだ。
それを可能にするのが『想い』である。アニミスは自身の魂を満たす善エネルギーであり、精神にも深く影響している。感情を切り離し、その純粋なアニミス――想いだけを芯としてこめる。これによりアニミス総量は減るのだが、純粋なぶんアニミスはより善神に傾倒する。つまり属性干渉を削り、魔力を消す浄化作用を極限にまで高められるのだ。
魔力による超防御力を誇るデスケテスに、これほど有効な技はない。
ソヨミスは異空間に置いてある時計を見た。異空間に来てから三分くらい経過している。この異空間、通称ソヨギの部屋の時間経過は現世界のコンマなん秒で五分前後。あと二分くらいで攻撃である。
ソヨミスはアニミスの研鑽をしながらタバコをふかす。ついでに足元にあるコー○を飲む。アニミス回復は充分である。
む……マヨギはそろそろポテチも食べたいみたいだ。ひとつしかない塩味を食べようと思っている。だめです。え? わたしはのり塩? じゃあマヨギさんがのり塩食べましょうよ。わたしが塩味食べます……ん? じゃあこうなったらジャンケンすね。男女もアニミスも魔力も超越した公平なる戦いです。ずっとアイコになる? でしょうね。つまり塩味はふたりで半分こすればいいわけで……時間だ。ソヨミスは研鑽アニミスをなにもない空間に振りおろし――
――ソヨミスは現世界に跳ぶ。デスケテスの背後、やや上方である。デスケテスの向こうにふたりと一丁が見えた――研鑽攻撃がデスケテスの首あたりを貫く――そしてソヨミスは異空間にいる。
ソヨミスは吸いがらをスタンド灰皿に突っ込んだ。なかは水が満たしているので勝手に消える。ソヨミスは左足で研鑽を開始。さて、さっきの続きである……と、そのまえに。
ソヨミスは手近にあったテーブルのうえにある、駄菓子が入ってそうなビンに、なにかを入れた。プラ容器にはすでになん本もの針みたいなものが入っている。それはなんとなく輝いていた。
ソヨミスは研鑽を再開する。そしてポテチの分配について、ソヨミスとマヨギは精神対話を繰り返す。確かにいっぱい食べたいのは分かります。でもふたりで分けなさいとお母さんに言われ、お兄ちゃんばっかりが食べてたらお母さんはキレます。ほら、半分こでいーじゃないっすか? 俺が用意したもの? あ、そこでチカラの違いを盾にするのはヒキョー……あ、攻撃だ。
ソヨミスは弧を描きながら左足を振りあげ、落とした。現世界でデスケテスの右肩を貫き、また異空間へ。そしてポテチ紛争となる!
……という感じでソヨギは戦っていた。
周囲に話した作戦という詭弁。自分たち以外のなにもかもを騙し、ソヨギは戦っている。
すべてはソヨギに還るためである。
続く
「おふたりはソヨギさまの魂を二分され、造られた存在です。ソヨギさまであり、ソヨギさまではありません」
「じゃあソヨちゃんは……」
いない。カノリはショックを受けて、せっかく止まった涙をまた流す。
「おふたりをソヨギさまに還すことを目的としています……まだ希望はあるのです。そのためにおふたりはデスケテスを倒そうとしているのです」
「どういうこと?」
「俺が説明しますよー」
こちらの心中を知ってか知らずか、軽い調子のマヨギ。それはとてもソヨギぽかった。カノリの心はそれだけで収まる。
遠くでドウンッ! と音がした。マヨギに近づきつつ見ると、背後にまわったソヨミスが、ガデニデグを殴りつけていた。あのデスケテスがたたらを踏む。
そしてソヨミスが消え、すぐにデスケテスの横に現れた。ガインッ! とデスケテスの肩を殴る――また消えた。かと思うとすぐに現れ、今度は逆の位置で脇腹に肘をいれる。ゴァンッ!
「デスケテスさんの一撃食らったら終わりですからね」
マヨギは炎を握る手を、一定の法則で動かしていた。まるで印を結ぶ法力僧を思わせる。その動きに呼応するように、ソヨミスの攻撃音が屋上に響いていた。
「マヨちゃんがソヨミちゃんを?」
「そっす……とりあえず、なぜデスケテスさんを俺らが倒すのかって話ですが、ひとつは俺らじゃないと倒せないからっす。同じ理由で足止めできるのも俺らだけっす」
「そう? みんなでやったほうがいいと思うんだけど」
「ガデニデグさんの悪事のキーポイントが『時間』なもんで、放っておけない。それに、大ボスにコンビ組まれたらそれこそ大変」
「どうやらガデニデグはモンスターたちを屋上だけ出入禁止にしているようなのです。裏を返せば唯一この屋上だけが、デスケテスと一対一で戦える場所なのです」
「……デスケテスさんは生粋の喧嘩屋みたいですからね。ガデニデグさん的には、戦力削られたら計画がおじゃんになるわけで。しかし、おじゃんてなんなんだ……」
マヨギは思索にふけるが、手はいっさい止めない。カノリは聞く。
「なんかまだ、ふたりじゃないとダメな理由になってない気がするけど?」
「ん……そっすね。じつはガデニデグさんの独り言パートツーなんですが、どうやらデスケテスさんとの契約が邪魔になってるようです。その契約はお互いに利益になるものだったようですが、研究が進むにつれてデスケテスさんが邪魔になった」
「えとー……ごめん、もろもろ情報が足りてなくてなにがなんだか。独り言パートツー? 研究?」
「マヨギさま、さきにカノリさまに内部での出来事を報告します」
「……そっすね。じゃ、なんか戦ってます」
なんかじゃなくて、ちゃんと戦いなさい。そう思いながらカノリは豆腐から報告を受ける。かいつまんでいるが要所のポイントが押さえてあるので分かりやすい。フィアの裏技やガデニデグの不自然な動向、ソヨギの現状など……その報告に旧友たちの体験談を合わせると、空白の時間が存在せず、すべてが埋まったようだった。
「ん、分かった。ガデニデグは研究の成果をデスケテスに破壊されることを危惧してるってことか……」
「そういうことです。番犬としてこれほど優秀なひとはいない。けど研究成果を壊されるかもしれないと考えた。なにせ首輪もリードもついてない暴れん坊ですからね。あとは勝手な考えなんすけど、捕らえられた飾神さんたちはデスケテスさんの暇潰しにされた感があるんす。なんせ見つけられないので……デッドプリズンに潜入する直前には確かにあったアニミスが、消えてるって話です。それと王さまを素体にしなかった普通のティンダルスも、いるはずなのにいない。せっかく造ったのに異世界に置き去りってのは変ですし」
飾神に関しては、デスケテスのセリフですでに亡き者にされているのが分かる。カノリは情報を処理しきれずに顎に手をそえた。
「デスケテスが暴れだしたら止める方法がない。イギギちゃんたちが魔力集めが任務だったのと、王さまのティンダルスが究極兵器を造る過程でできた失敗作だってことを考えると、ガデニデグに必要なのは魔力と研究成功のための時間よね。それで時間稼ぎが必要になって、貴重なレアーズであるソヨちゃんをティンダルスにした。ティンダルスにするためには魔力が必要で、儡王ってのが言っていた『ガデニデグがまたアレをやるつもり』っていう言葉の意味は、ソヨちゃんをティンダルス化させるって意味だった。翅王が大樹にされた音を友達が聞いてるから、タイミングとしてはソヨちゃんを捕らえたあとだから出たセリフだね。そしてまた、ってことは捕らえられた飾神たちはティンダルス化されてたはず。次元門エルシアが開かれる以前に、種族の王たちが失踪したのはフィアちゃんが知ってる――つまり、もう十分にいるからティンダルスの量産はやめていたはずだった。その矛先が飾神に向いたのは、デスケテスを止める存在を望んだから。それでもデスケテスには敵わない存在だった……ティンダルスはガデニデグの私兵ってこと。つまり駒だよ。マヨちゃんとソヨミちゃんも、ガデニデグに利用されてるんじゃないの?」
自分のなかで事実だろうこれまでを整理をしながら聞く。マヨギはなにを考えてるのか分からない顔で言った。
「そうかもしれないっすね。だけど俺たちはガデニデグさんに洗脳とかされてないっす。でもデスケテスさんをここで倒しておかないとダメなんす。俺たちが」
「……分からないな。デスケテスを倒すのと、ソヨちゃんに還ることはまったくつながらないよ」
「そうっすか? じゃあそれは後々ってことで――あ、ソヨミスさんに呼ばれた」
マヨギが指をそろて曲げる。するとソヨミスが手元に出現した。ソヨミスは視線をデスケテスへと向けつつ、中腰で構えている。あれだけ動きまわったのに汗はかいていないようだ。
「どっすか?」
「いい感じっすけど、そろそろ第二段階ですかね」
「らじゃー」
マヨギが応じると、その右手にコー○が握られる。
『れっつごー』
ソヨミスが消え、戦闘が再開した。ドォンッ!
ゴォンッ! ガァンッ!
「ちょっと近づきます。どーします?」
「もちろんご一緒します。わたしは万が一、魔物が襲ってきた場合の護り手です」
なるほど、豆腐の役目もちゃんとあるようだ。マヨギは器用に片手でコー○を開け、ゴクゴクと飲む。なんか雑踏で始まった喧嘩をやじ馬するように見えるなと、カノリもついていった。
戦闘している両者まで四十メートルくらいでマヨギが足をとめた。どうやらこの距離が、攻撃の余波を受けないボーダーラインのようだ。ソヨミスが攻撃を当てるたびに、祭りの太鼓のような振動が響き、腹から全身が痺れた。
距離が近くなったので戦闘状況がよく分かった。ソヨミスの攻撃は、
「……効いてないように見えるよ」
「そっすねー。デスケテスさんの内包する魔力が多すぎるんす。そのせいでアニミス攻撃の浄化作用も、ちろっとしか効果がない」
「そ……! それじゃあ倒すなんてムリじゃない!」
カノリはマヨギに掴みかかろうとしたが、右腕に走った痛みのおかげで自制することができた。右腕を押さえながら、
「いまからでもみんなを呼び戻したら?」
「できなくはないですが、それは時間の関係でムリっすゲップす……」
マヨギのその態度に、カチンと来るものがあった。叫ぶ。
「じ……冗談じゃないわよ! そうよ、冗談やってる場合じゃないのよ! なによ飲み物片手に気楽な戦闘やってさ! ウィッグやデビロイドたちが浮かばれないわよ……!」
「お待ちくださいカノリさま! わたしもソヨギさまの奇策には何度も声を荒らげました。ですが、間違った結果になったことはありません!」
「このひとはソヨちゃんじゃないんだよ!?」
「おっしゃりたいことはよく分かります! ですが魂を受け継いだおふたりは、その霊級をも受け継いでおられるのです!」
「そうっす。すでに『たまにはいっぱい喋るソヨギ』の霊級は発動されてますからね。ふっふっふっ……」
『それは霊級なんかじゃない!』
「えー」
不満げなマヨギはさておき、
「聞くけど、勝てるんだよね?」
「マヨギさまのお言葉を信用できないのなら、フィアさまのお言葉を信用されてはいかがですか? フィアさまはさきほどこう言ったのです、絶対勝てるほうがいいと……おふたりの作戦を聞いたからこそ出たお言葉です。わたしはおふたりを信じるだけです」
「じゃあ聞かせて。具体的にどんな作戦なの?」
「え……そ……それは……」
豆腐はプルプルしながら少し離れた。ん? もしかして知らないの?
「そんな責めるような目で見ないでくださいぃぃぃ……」
「メガ美さんはウィッグさんのアニミスが消えたのを感知して、飛び出すところだったんすよ。それをソヨミスさんがフリスビーごっこでやめさせました。けっこう強めに飛んでいったんで、聞いてないっす」
それでいきなり姿を現したように見えたのか。なんというバカバカしさだろう……カノリが呆れると、同時に苛立ちもどこかに消え失せたようだった。ため息混じりに、マヨギに改めて作戦を聞く。
「第一段階は肩慣らし。パターン化しない多角攻撃を完成させるんす。俺の次元移動能力でソヨミスさんをサポート。ソヨミスさんは時間感覚を完璧に把握する」
「時間感覚?」
「じっさいこの戦闘は練習なしのぶっつけ本番なんで、戦いながら感覚を身につけるしかないんす。ソヨミスさんは瞬間移動してるように見えて、じつは異次元空間を経由して出現してます。異次元空間はこの現世界よりも時間の流れが早い。つまり異次元空間にどのくらい滞在できるかを計測。現世界で攻撃直後に異動して、異次元空間へ行きアニミスを溜め、現世界で攻撃するを繰り返してるんすよ。そのタイミングすべてを計測するのが第一段階で、それは終わりました」
「そ……そんなことできるものなの……?」
「見てれば分かりますよ。ソヨミスさんは現世界に出現してから攻撃してません。出現した瞬間に攻撃は終わってますから」
言われ、見る。ソヨミスが消え、それと同時に出現するが、まったく違う場所に出現している。加え、出現したときにはデスケテスに当たっている……つまり異次元空間とやらでアニミスを溜めて攻撃し、拳や蹴りが完全に振りきれる寸前に出現しているのだ。はっきり言って回避不可の攻撃である。
「そっか……だからデスケテスは反応がまったくできないんだ……」
だから抵抗もせず攻撃され続けている。いや、ときおり防御動作や反撃動作をしているようだが、まったく見当がついていないし追いついていない。ソヨミスはその出現場所も攻撃手段もタイミングもパターン化させない。唯一同じなのは消えた瞬間に出現していることぐらいか……それでも、その消えてから出現の間隔に絶妙なタイムラグがあったりする。これは絶対に読めるものじゃない。
しかし攻撃はデスケテスの防御力を下回っていてダメージはゼロなのだ。デスケテスもそれが分かっているから打たせ続けているのだろう。
「手数はあってもダメージがないんじゃ……」
「ダメージはほぼゼロです。効いてないわけじゃないっすよ」
「それはそうだけど……このやり方じゃあ、いつまで経っても倒せないし、そのうちソヨミちゃんのアニミスもなくなっちゃうじゃない」
「そのための第二段階っす。それがこれ。ぐびぐび」
「――! まさか!」
回復しているのか? コー○で? そんなむちゃくちゃなこと!
「可能です、カノリさま。ソヨギさまのミールディアンの霊級ならば、すべての食料飲料はアニミスソーマと同じ!」
「マヨちゃんが飲んでたらアニミスの回復ができないでしょ! ソヨミちゃんが消費してるんだから!」
「あう……それはどうなってますかマヨギさま?」
「俺とソヨミスさんは魂レベルで常時接続状態です。シエル通信とかテレパシー能力なんか使わずに以心伝心です。つまり、俺たちはふたりでひとりの人間だってことです」
「さっぱりです……カノリさま?」
ふむ、マヨギの言いたいことはなんとなく分かる。魂はそもそもがアニミスや魔力の器に例えられるモノ。ひとつの杯を半分にしたら中身はこぼれて維持できない。その状態で生物は生きていけない――魂がなくなるという表現と死という表現が同義語のように使われる理由である。
マヨギとソヨミスが生物として稼働を維持するためには、当然として魂のあり方が正常でなければならない。つまり杯でなければならない。しかしそれぞれが正常な魂を持っていたら、その常時接続状態という異例は起きない。杯が完成していたら、別個の魂とつながることはムリだろう。
このふたりは半欠けの杯をそれぞれが持ち、常時接続というやり方が杯を形成し、中身をアニミスと魔力で満たしているということだ――そうでなければ、常時接続を可能にしている理由が納得できない。
それらの条件を満たすためには、通常の魂のあり方では絶対に不可能である。ひとつの魂が分けられたことによるイレギュラーなのだろう。それはつまりは、ふたりの魂が二分された方法、そして結果自体が、まったくの不完全だったということだ。
「――それがむしろ、ふたりのイレギュラーを完成させた。簡単に言えばマヨちゃんが魔力を回復したぶん、ソヨミちゃんもアニミスを回復できる理屈だね。同じ器を使ってるわけだから」
「そっす。俺たちの魂は常に共鳴しあってます。その共鳴が器をくっつける接着剤なのかも」
「なるほど。なので通常あり得ないだろう発言の一致があるわけですか」
「そうそう喜べる状態じゃないね……ふたりの魂はずっとひとつに戻ろうとして共鳴してるんだよね? それはつまり、この世に産まれた存在としては不安定だってことだよ。なにがきっかけで器が破壊されるか分からない……」
時間――マヨギが作戦のキモであるとしたキーワードである。ガデニデグの研究うんぬんも合わせ、このふたりにはもしかしたら、時間がないのかもしれない。
「マヨちゃん、なおさらダメージほぼゼロじゃどうしようもないんじゃないの?」
「ソヨギを信用してください。ソヨギの観点から言えば、相手のHPが一億でダメージが一なら、一億回攻撃すれば倒せるっす」
「そんなことできるわけないよ!」
カノリはそのむちゃくちゃな考えを否定したが、しかし、すぐに否定が正解なのか分からなくなる。
ソヨギだから……ふたりがソヨギだからだ。いつか自分がソヨギに言ったのだ。むちゃくちゃやってるくせに、なぜか解決する。それがソヨギだとカノリは身をもって知っているのだ。だからどちらかと言えば、否定するほうが難しい。
「ま、狙いはそう単純じゃないっすけどね。ぷはー」
「……いつのまに?」
マヨギは一服を始めていた。いちいち癪にさわる……が、そのソヨギらしい姿になにも言えなくなる。
「作戦は何段階まであるの? せめて身になるとこまで聞かせて」
「どっすかねー。ソヨギの真意が理解できないならムダかもっすよ?」
「いいから聞かせて!」
「……コワイ」
マヨギはブルブルと身震いしてみせる。ふーと煙を吐き出し、灰を落とした。
「そろそろ三段階目に移ります。いちおー、七段階くらいまでありますけど」
マヨギはまたソヨミスを手元に引き寄せた。ソヨミスはマヨギのタバコを受け取ると、くわえタバコで消えた。
「なに、これが三段階目なの?」
「タバコによる直接的なアニミス回復と、俺も魔力回復をがんばる。それで回復効率があがるかどーか……ゴクゴク」
「それが成功するとどうなるの? マヨちゃんが回復してるのと同じじゃないの」
「それはっすね……あ、うまくいった」
――キュゴオンッ! と、ソヨミスの攻撃威力が格段に上昇する。デスケテスは数メートル向こうに吹き飛ばされ、さらにソヨミスの追撃で上空へと吹き飛ぶ――目算で七メールか八メートル。
「一回で使えるアニミス量を増やせるかどうか。そして攻撃の溜めをどのくらい短時間で終わらせて強化できるか。攻撃の手は休めることができないので……てゆーかタバコで回復できるかも怪しかったんすけどねー」
「行き当たりばったりでよくやろうと思ったよね」
「ま、うまくいったし。これでようやくまともな攻撃ができます。というかようやく戦闘開始っすね」
「……え?」
よく分からない。いままでは戦闘じゃなかった?
「見ての通り、攻撃威力があがれば敵は吹き飛ぶ。そのため俺はデスケテスさんの飛距離と到達地点の予測、ソヨミスさんの攻撃可能なタイミングを予測してソヨミスさんを出現させなきゃいけない。このタイミングを掴むのが四段階目」
カノリは上空を見上げた。
なるほど。飛距離というのはそのぶん自由に動ける時間が増えることでもある。デスケテスは追撃で地上に落ちかけたが、身をひるがえして空中で停止した。このデスケテスの動きを予測しなくちゃならない。
「じゃあ攻撃威力は高くないほうがいいってこと?」
「まあ面倒じゃないぶんそのほうがいいっすね。でも、ダメージゼロじゃ意味ないんじゃ?」
「あげ足取りとかひどーい」
カノリは文句を言いながらも自分で考えてみた。デスケテスは自由に動ける時間を得た。攻撃も可能になる。それでもデスケテスはソヨミスの出現ポイントが分からなければ攻撃できないか?
いや、違う。デスケテスの攻撃は範囲攻撃だ。デビロイドたちが食らった衝撃波は広く拡散するタイプのもの。だからデスケテスが攻撃を放ったら近づくべきではない。ソヨミスがどこに出現しても、あの破壊的な衝撃波を食らってしまうのだ。それをマヨギに伝える。
「そのへんはまったく問題ないっすね。なにせソヨミスさんには豆腐バリアーがあります」
「メガ美ちゃんの障壁魔法が使える? まさか……あり得ない」
「カノリさま、事実です。わたしも最初は不思議でしたが、そもそもソヨギさまの魂はこちらの世界のもの。こちらの世界のアニミスを利用することが可能なのです。わたしの障壁は水属性を主体として形成するものです。なので――」
「空気中の水分を利用してるってこと?」
「そっす。属性さえ合っていれば擬似的に技を使えるのはビデガンさんが証明してます――ほら」
ドォンッ! という音はデスケテスの攻撃である。空中で放たれたようだが、ソヨミスも空中浮遊しながら魔法障壁を展開していた――デスケテスの攻撃は、効果時間が短い――次の瞬間にはななめ後ろから拳を叩きつけ、デスケテスを吹き飛ばしていた。マヨギはタバコに火を点けた。
「ぷはー……こういうことっす。さて、五段階目っすね」
「まだ手があるの?」
「ええ、次は属性付与です。ソヨミスさんがアニミスを操れるのは見ましたね? ぱんぱかぱーん」
デスケテスは空中で体勢を立て直し、その場で周囲を探っている雰囲気だ。ソヨミスはなかなか現れない。マヨギは攻撃の手を休められないとか言っていたが、緩急をつけて翻弄もするらしい。どうでもいい嘘をつく、ソヨギらしい考えである。
「デスケテスも困惑してるね。いきなり攻撃がやんだんだからムリもないけど」
「まあ、どの属性で攻撃するかの会議中なわけですが……」
「なんでこの重要な場面で!?」
「いや、『どれにするか悩んじゃうソヨギ』の霊級がですね?」
「それは霊級じゃないってば!」
「……え? マジで?」
「マヨギさま! デスケテスがこちらに向かってきます!」
「俺もソヨミスさんのアニミスと同規模の魔力を放ってますからね。遊び相手に選ばれましたね。迷惑っす」
「早くソヨミちゃん呼んでよ!」
「ですってソヨミスさん……え? 何色に見えるか? メガ美さん水属性って何色ですかね」
「水の色です! なのでほぼ透明です!」
「透明です……それはヤダ? ソヨギなのにソヨミスさんも女性なんすねー。色にこだわりがね。しかたないっすよね?」
『それは時と場合によるでしょー!』
マヨギは頭をポリポリと掻いた。確かにそーだと、めずらしくこちらの意見を聞いてくれる。
カノリは背中を伝う冷や汗を感じながらデスケテスを見た。飛行が苦手というわけではないだろうが、速度はあまり出ていない。
「まだなの?」
「はいっす……ソヨミスさんも二色までは選べたんですが、季節とか天気とかも重要ですからね。今日は天気がいいから薄手にします?」
「属性に薄いも厚いもないの! わたしはアニミス使いきってるんだから時間稼ぎとかムリだからね! それとこの戦いはウィッグたちの弔い合戦の意味もあるんだからあまりふざけないで――」
ビシャアァァァンッッッ!! という爆音で、カノリの言葉は寸断されていた。遅まきながら耳をふさぐと、キィィィン……という耳鳴りがうるさかった。デスケテスを真上から攻撃した雷撃は、デッドプリズン屋上を貫いた瞬間に消えた。
「――デスケテスさんは耳がいいんすよ。いままでは知っていてもどうしようもない部分なんで話してましたが、こっからはあまりなんでもかんでも話すわけにはいかない……なのでひと芝居でしたー。ぱんぱかぱーん」
カノリはもうもうと煙を昇らせているデスケテスを見ていた。そのデスケテスの停止状態を見逃さず、ソヨミスがその正面に現れた。
ソヨミスの手にはアニミスが握られている。それは徐々にだが力の拡散が抑えられていく。感じられるアニミスは小さくなっていくが、おそらく、そのアニミスは研ぎ澄まされているのだ。
「必殺……カノリ神拳っす」
「そのネーミングはイヤだぁ!」
カノリが全力でイヤイヤをするのと同じくして、ソヨミスは拳を突き出した――
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
――ソヨミスは拳を突き出した。できうる限りのアニミスの凝縮が攻撃手段として有効なのは、じつは誰もが知っていることだった。だがデスケテスはモノともしなかった。
しかしこれはまったく違うものだ――
「ぐぬう……!」
ソヨミスがデスケテスの腹部を打つと、初めての感触を得ることができた。『通じた』、という感触である。これまでの攻撃は水面を跳ねる小石のように弾かれていたが、初めて水中に小石を沈めることができたのだ。
魔力を数値化することは不可能である。同じくアニミスもだ。だから余計に気の遠くなるような魔力を感じざるを得なかった。だがこれでデスケテスの魔力の総量を初めて知ることができた。
深い――まるで深海のような深みのある魔力だ。アニミス回復をなん十、なん百と繰り返さなければ浄化など不可能な魔力である。しかしその深度を見極めることができた今、気は遠くなるが目的地は見えた。
デスケテスが動き出す。するとソヨミスは異空間へ跳んだ。
光の流れる空間でアニミスを溜める。このアニミスの凝縮は誰もがやっていることである。例えば豆腐の神技、ビデガンたちデビロイドの魔装銃もそう……ハイヴォルトも同様であり、一点に集中して放つことで威力はあがる。
ふたりは六段階目の真の攻撃をそのやり方にしようと決めていた。だが威力と速度、アニミス消費効率をどう成立させるかが分からなかった。立ち回りと攻撃手段が噛み合ってなければムダになるアニミスも出てくるし、隙を与えてしまうことになる。
豆腐の特技である突進は凝縮率の高いものであるが、硬度を増すものであり威力はさほどではない。しかも威力を生み出すためには自身の速度が不可欠になるため、ムダなアニミス消費を招く。さらにデスケテスはものともしないだろう。
かと言ってイソフラボニアのような超威力の神技を真似できない。似たような技を使うことは可能でも、アニミス消費が激しすぎる。なにせ豆腐はなん十倍とかのふざけた倍率のアニミスを一瞬で消費するのだ。これでは回復が間に合わないだろう。
ハイヴォルトは飛び道具ながら凝縮率を最大にしており、放出率が激減するという性質がある。つまり発射速度が遅い。それではデスケテスならば簡単によけてしまうだろう。威力があっても当たらなければ意味がないし、ハイヴォルトは凝縮に時間がかかってしまうので、連続攻撃の遅延も生じる。これもダメである。
攻撃方法の悩みはカノリの放った超研鑽の一撃が克服してくれた。アニミスを一点に集めるのではなく研ぎ澄ますという技である。
凝縮と研鑽の違いがなんなのかと言えば、一点にアニミスを集める凝縮は、外へと放出されていくアニミスを押しとどめるものである。これの利点は放出後もアニミスを追加できること。そのため魔力との撃ち合いも可能になる。しかし消費が激しいし、デスケテスの防御力や魔力を上回るものとなると、途方もないアニミスが必要となる。アニミスの消費は尋常じゃない。
研鑽はほぼ逆のやり方であり、アニミスを削り、純度を高めるものだ。余分なアニミスを削る――アニミスとひと言でくくっても、大気アニミスや、それに含有される湿度の水属性アニミスなど、アニミスは複雑に構成されている。研鑽はそれら補助的に働くアニミスを削るのだ。
それを可能にするのが『想い』である。アニミスは自身の魂を満たす善エネルギーであり、精神にも深く影響している。感情を切り離し、その純粋なアニミス――想いだけを芯としてこめる。これによりアニミス総量は減るのだが、純粋なぶんアニミスはより善神に傾倒する。つまり属性干渉を削り、魔力を消す浄化作用を極限にまで高められるのだ。
魔力による超防御力を誇るデスケテスに、これほど有効な技はない。
ソヨミスは異空間に置いてある時計を見た。異空間に来てから三分くらい経過している。この異空間、通称ソヨギの部屋の時間経過は現世界のコンマなん秒で五分前後。あと二分くらいで攻撃である。
ソヨミスはアニミスの研鑽をしながらタバコをふかす。ついでに足元にあるコー○を飲む。アニミス回復は充分である。
む……マヨギはそろそろポテチも食べたいみたいだ。ひとつしかない塩味を食べようと思っている。だめです。え? わたしはのり塩? じゃあマヨギさんがのり塩食べましょうよ。わたしが塩味食べます……ん? じゃあこうなったらジャンケンすね。男女もアニミスも魔力も超越した公平なる戦いです。ずっとアイコになる? でしょうね。つまり塩味はふたりで半分こすればいいわけで……時間だ。ソヨミスは研鑽アニミスをなにもない空間に振りおろし――
――ソヨミスは現世界に跳ぶ。デスケテスの背後、やや上方である。デスケテスの向こうにふたりと一丁が見えた――研鑽攻撃がデスケテスの首あたりを貫く――そしてソヨミスは異空間にいる。
ソヨミスは吸いがらをスタンド灰皿に突っ込んだ。なかは水が満たしているので勝手に消える。ソヨミスは左足で研鑽を開始。さて、さっきの続きである……と、そのまえに。
ソヨミスは手近にあったテーブルのうえにある、駄菓子が入ってそうなビンに、なにかを入れた。プラ容器にはすでになん本もの針みたいなものが入っている。それはなんとなく輝いていた。
ソヨミスは研鑽を再開する。そしてポテチの分配について、ソヨミスとマヨギは精神対話を繰り返す。確かにいっぱい食べたいのは分かります。でもふたりで分けなさいとお母さんに言われ、お兄ちゃんばっかりが食べてたらお母さんはキレます。ほら、半分こでいーじゃないっすか? 俺が用意したもの? あ、そこでチカラの違いを盾にするのはヒキョー……あ、攻撃だ。
ソヨミスは弧を描きながら左足を振りあげ、落とした。現世界でデスケテスの右肩を貫き、また異空間へ。そしてポテチ紛争となる!
……という感じでソヨギは戦っていた。
周囲に話した作戦という詭弁。自分たち以外のなにもかもを騙し、ソヨギは戦っている。
すべてはソヨギに還るためである。
続く
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