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第3話 学校
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第3話 学校
俺は謎の中年の男、カゲミの後ろをついて行く。
自分を「先生」と言ったこの男は、どう見ても先生という風貌ではない。
190……あるかないかくらいの長身、細身ではあるが弱そうには見えない。少しキツそうにするスーツ姿……筋肉か……?
髪の毛はベージュ…ミルクティー色っていうのか…?後ろの首元がはっきり見えるように刈り上げてある。前髪はワックスか何かで固めているのか、額が隠れないように上げてある。
先生という言葉使いでもなかった。いや、俺は普通の先生もよく知らないんだけど……
「……敵のアヴィウスって何なんですか」
無言で歩いているのも苦になり、俺は質問を始める。
「アヴィウスは、何処に拠点があるのかも分からない。実際にこの街に住んでいても見ることなく生涯を終える奴もいる」
「……でも、敵ってことはこちらに何か不利益なことをしてくるってことですよね?」
カゲミは少し黙り、足を止めて振り返る。俺を見下ろしてから、膝を折り、目線を合わせる。
「アイツらが欲しいのは、この街じゃなくてこの街の強い能力者だけだ」
強い能力者……俺は能力者ってだけでありえない存在だと思うのにその中にも強弱が存在するのか。
「何処で俺たちを見ているのか分からない。急に現れては、強い能力者を攫っていく。
この街のお偉いさん……馬鹿なじいさん達でもその意図はすぐ分かる」
「……意図って……」
「アヴィウスは、この世界を変えようとしているんだ、自分たちの都合のいいように」
世界を変える……?現実じゃありえないことしか起きないこの世界をどう変えるって言うんだ……
「変えるって……どんな世界に」
「はぁ……それが分かれば苦労はしねーよ。
ただ、アイツらはこの街の能力者を好む。理由はこの街には、逸材の能力者が多くいたからな」
……ん? でもさっきのカゲミの言う「お偉いさん」たちは、能力者が少ないって……
しばらく考えてひとつの結論に至った。
……あぁ……そうか……
「じゃあ、既に何人も攫われてしまった……ったことですか……」
カゲミは顔を顰める。言うべきではないことを声に出してしまった。この人がいわゆる能力者の通う学校の「先生」ならば、教え子が攫われた可能性も高い。
「………っ、まぁ、そーゆうことだ。俺もわざわざ能力者に育て上げて、アイツらに攫われる教え子を増やすのはごめんだ」
カゲミは両手で口を覆った俺の頭を軽く叩く。俺には、分からない。知人がいなくなる悲しさも分からなければ、離れ離れになる悲しさも分からない。
それは、当分会えなくてもそれが普通だと思ってしまうことに慣れてしまったから。
「お前は無能力、つまり攫われることは0だ。だから、能力者じゃないお前を強くしたいわけだ」
「………………。」
つまり、俺はこの人の道具というわけか。大事な他の生徒を守るために何処から来たかも分からない子供を助けた。
それが俺を殺さなかった理由だったのか。
別に慣れていた。誰かに守って欲しいわけではなかった。
少しだけ、人に庇ってもらい、守ってもらえて嬉しい気分になっていた。
昔から、両親は俺の意志に興味が無い。だから、「遊びたい」とか「あれをしたい」という願いが通ることはなかった。
あの二人は、ただ自分たちが、俺を周りの子供より出来る子供に育てることで優越感に浸りたいだけだった。
幼い頃に勉強をすることに抵抗したことあった。しかし、両親はそんな俺の声を受け入れることは無かった。
周りの雇われた人たちも可哀想な子供を見るような目を向けるだけで、両親に何かを言ってくれるような人は誰もいなかった。親の金で雇われているのだから、それは仕方ないことだと割り切った頃には俺は、ただの勉強をするだけのロボットになっていた。
俺の中で子供が父と外で遊ぶのも、母と買い物に出かけることも夢の話だった。
「?おい」
「……なんでもないです。行きましょう」
異世界に来たところで俺の存在に価値はなかった。俺じゃなくても良い、誰にでもできる最悪な役割が不運にも俺に降り掛かってきただけだ。
だか、今は前と違い、縛られない2~3日を生きることができる。
他人に自分の存在に意味を与えて欲しいなんて、もう望まない。
この世界で俺は、そうやって生きていく。今、そう決めた。
しばらく歩くと、大きな建物が見える。
「あれが、これから2~3日過ごす学校」
「……でかい……」
俺の家も豪邸だと思っていたが、比べ物にならない。
そしてその学校前の宙に浮くのは、数人の子供たち。俺と同じくらいか、少し年上……。
本当に能力者の集まりなのか、この世界は。
そう実感しながらも、冷静でいられた。
「じゃあ、行くぞ。まずは、その汚い服をどうにかする」
凄く失礼なことしか言わない……。
そう言ってまたズンズンと足を進めるカゲミの後ろを俺はついて行くことしかできず、学校の敷地内に足を踏み入れた。
俺は謎の中年の男、カゲミの後ろをついて行く。
自分を「先生」と言ったこの男は、どう見ても先生という風貌ではない。
190……あるかないかくらいの長身、細身ではあるが弱そうには見えない。少しキツそうにするスーツ姿……筋肉か……?
髪の毛はベージュ…ミルクティー色っていうのか…?後ろの首元がはっきり見えるように刈り上げてある。前髪はワックスか何かで固めているのか、額が隠れないように上げてある。
先生という言葉使いでもなかった。いや、俺は普通の先生もよく知らないんだけど……
「……敵のアヴィウスって何なんですか」
無言で歩いているのも苦になり、俺は質問を始める。
「アヴィウスは、何処に拠点があるのかも分からない。実際にこの街に住んでいても見ることなく生涯を終える奴もいる」
「……でも、敵ってことはこちらに何か不利益なことをしてくるってことですよね?」
カゲミは少し黙り、足を止めて振り返る。俺を見下ろしてから、膝を折り、目線を合わせる。
「アイツらが欲しいのは、この街じゃなくてこの街の強い能力者だけだ」
強い能力者……俺は能力者ってだけでありえない存在だと思うのにその中にも強弱が存在するのか。
「何処で俺たちを見ているのか分からない。急に現れては、強い能力者を攫っていく。
この街のお偉いさん……馬鹿なじいさん達でもその意図はすぐ分かる」
「……意図って……」
「アヴィウスは、この世界を変えようとしているんだ、自分たちの都合のいいように」
世界を変える……?現実じゃありえないことしか起きないこの世界をどう変えるって言うんだ……
「変えるって……どんな世界に」
「はぁ……それが分かれば苦労はしねーよ。
ただ、アイツらはこの街の能力者を好む。理由はこの街には、逸材の能力者が多くいたからな」
……ん? でもさっきのカゲミの言う「お偉いさん」たちは、能力者が少ないって……
しばらく考えてひとつの結論に至った。
……あぁ……そうか……
「じゃあ、既に何人も攫われてしまった……ったことですか……」
カゲミは顔を顰める。言うべきではないことを声に出してしまった。この人がいわゆる能力者の通う学校の「先生」ならば、教え子が攫われた可能性も高い。
「………っ、まぁ、そーゆうことだ。俺もわざわざ能力者に育て上げて、アイツらに攫われる教え子を増やすのはごめんだ」
カゲミは両手で口を覆った俺の頭を軽く叩く。俺には、分からない。知人がいなくなる悲しさも分からなければ、離れ離れになる悲しさも分からない。
それは、当分会えなくてもそれが普通だと思ってしまうことに慣れてしまったから。
「お前は無能力、つまり攫われることは0だ。だから、能力者じゃないお前を強くしたいわけだ」
「………………。」
つまり、俺はこの人の道具というわけか。大事な他の生徒を守るために何処から来たかも分からない子供を助けた。
それが俺を殺さなかった理由だったのか。
別に慣れていた。誰かに守って欲しいわけではなかった。
少しだけ、人に庇ってもらい、守ってもらえて嬉しい気分になっていた。
昔から、両親は俺の意志に興味が無い。だから、「遊びたい」とか「あれをしたい」という願いが通ることはなかった。
あの二人は、ただ自分たちが、俺を周りの子供より出来る子供に育てることで優越感に浸りたいだけだった。
幼い頃に勉強をすることに抵抗したことあった。しかし、両親はそんな俺の声を受け入れることは無かった。
周りの雇われた人たちも可哀想な子供を見るような目を向けるだけで、両親に何かを言ってくれるような人は誰もいなかった。親の金で雇われているのだから、それは仕方ないことだと割り切った頃には俺は、ただの勉強をするだけのロボットになっていた。
俺の中で子供が父と外で遊ぶのも、母と買い物に出かけることも夢の話だった。
「?おい」
「……なんでもないです。行きましょう」
異世界に来たところで俺の存在に価値はなかった。俺じゃなくても良い、誰にでもできる最悪な役割が不運にも俺に降り掛かってきただけだ。
だか、今は前と違い、縛られない2~3日を生きることができる。
他人に自分の存在に意味を与えて欲しいなんて、もう望まない。
この世界で俺は、そうやって生きていく。今、そう決めた。
しばらく歩くと、大きな建物が見える。
「あれが、これから2~3日過ごす学校」
「……でかい……」
俺の家も豪邸だと思っていたが、比べ物にならない。
そしてその学校前の宙に浮くのは、数人の子供たち。俺と同じくらいか、少し年上……。
本当に能力者の集まりなのか、この世界は。
そう実感しながらも、冷静でいられた。
「じゃあ、行くぞ。まずは、その汚い服をどうにかする」
凄く失礼なことしか言わない……。
そう言ってまたズンズンと足を進めるカゲミの後ろを俺はついて行くことしかできず、学校の敷地内に足を踏み入れた。
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