対立していたはずの王子様に愛されたようで

永遠

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16αとΩ

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16αとΩ

ヴァラドルという男に醜態、痴態を晒すことにどんどんと抵抗が無くなる自分に情けなくなる。


目を開けば、先程までヴァラドルと治療だなんだといい、結果ただの性欲処理を行っていた部屋の天井が目に入る。処理が終わって目が覚めれば自己嫌悪に陥るのが、習慣になりそうで怖い。


今回も汚れたであろうベッドのシーツは替えられ、脱がされたはずの衣類を俺はしっかり身にまとっている。


3日だぞ、まだ……自分の城から出て、無理やりαのもとへ連れてこられて、3日しか経っていない……!というのに、本能、自分の欲に負け、とうとう他人の指を三本も後ろに咥え、強請り、喘ぐ始末である。


「……っ~はぁ……、これが、抑制剤……なしかぁ」


「そぉんなため息つく程嫌だった? ヴァラドルに喘がされるのは」


嫌悪に陥っているのに夢中だった俺は、ベッドの横でギィギィと音を立てながら椅子に腰掛けるハーヴァの存在に気づかず、声をかけられ「うわっ」と驚く声を上げてしまった。


「……おはよう、お疲れ様。 しっかりと君の体液はヴァラドルから受け取ったからね、ちゃーんと調べておくよ」


ニコニコとしながら、俺に話しかけてくるハーヴァ。ニコニコしすぎて気味が悪いというか、苦手というか……顔は近いし。


「……身体、平気? 抑制剤は飲んでないけど、まだ発情しそうな感じはある?」


「……いや……今はない、と思う」


それでも医者なのは確かであるようで、しっかりと薬についての知識もあれば、聞いてくることも身体の状態のことだった。
額に手を当てられ、熱を計られているのか「ん~、確かに熱っぽくは無いね」なんて言ってくる。


「……声、隣まで聞こえてたよ」


手が外され、脈を測っているのか腕に指を当ててくる。その言葉に顔がボッと熱くなる。心臓がバクバクする。
「あっ、脈はやー」とふざけたように言ってくる。


「……っ、それ、より! 俺の身体……その、どうなるんだ……………しかも、飲んでいたのが、違法のやつだったんだろ……」


俯き、ハーヴァに自身の身体について聞いてみた。違法ドラッグの副作用としての発情の暴発や身体への影響……、しかも過剰摂取……。


「ヴァラドルに会えてよかったね、このまま服用を続けてたら……副作用に耐えれず死んでたよ」


最初はニコニコとしながら言いつつも、死んでたなんて言う言葉で背筋が凍るほど冷たい目で俺を見てくる。
やはり、死ぬ可能性があった……いや、もしかしたら殺そうとしていたのかもしれない。王家でのΩの息子、しかも長男がそうとなればお荷物扱いでしかない。


「……中毒性とか、あるのか……ドラッグって言うくらいだし」


「ん~、俺も隣国の裏で出回る違法ドラッグについて、確かな知識はないけど、今のクロウス君の状態を見るに依存性、中毒性はないかな。 もう3日くらい服用してないらしいし……。 でも、反動として飲まなければ発情期でもないのに、さっきみたいな状態になる。それに耐えなければいけない」


さっき……実際のところ何回出したかは覚えていない、最後の記憶はヴァラドルが1度だけ出したのに対し、自分がありえないほどの回数、出していたことで身体が疲れ、意識が飛んだことだ。


「中毒性がなくても、ドラッグを止めるのはかなり難しい。その後に起こる何かしらに耐えなければいけないからね、幻覚とかね。 だからそれから逃げるため皆、ドラッグの服用が止まらない」


今は発情状態でもないし、異変もない。……けれど、先程のことがこの先ずっと続くと思うと最悪な気分だ。


「……治るかどうかも分からないんだよな」


ハーヴァは困ったように頷いた。いつまで続くか分からない、急に出てくる発情状態。 ヴァラドルに何度もイかされ、それでも欲しいと思った。記憶も飛べば良いものの記憶もそのまま。


「……クロウス君、君はヴァラドルが嫌かい? 触ってくるαは嫌い?」


ハーヴァにそう言われ、ドキッとする。嫌いかどうか、それが分からない。αは嫌い……というより怖い。父の話を聞いてαは全員、Ωを人間として見ていないと思っていたから。それに、あながち間違いでもない、と今でも思っている。
しかし、ヴァラドル個人が嫌いかと言われると即答できない。……嫌いだと思っていた。どうせ、玩具か奴隷くらいの気持ちで俺を買ったのだと思っていたから。
なのにアイツは俺をそんなふうに扱わない。俺を好きなんだという。Ωかどうかではなく、俺が良いという。
言葉を出せない俺を見て、ハーヴァは息をつく。


「……ヴァラドルは、良い奴だと思うよ。 アイツはね、他のαよりも……なんていうかαの血が濃いんだ。 だからαの中でもかなり優秀だし、アイツを求めて寄ってくる女も男も多い。 ……でも、それだけ欲情したときには身体への影響が大きい。 あのヴァラドルの飲んでいる薬だって、普通の人には渡さない、アイツだから渡してる。 普通の人が飲むやつなんて飲んだところで、アイツには無意味だからね」


俺はヴァラドルについては何も知らない。ただ、凄いやつなんだと、優秀な隣国の王子であり、それがウチと対立関係になっていることしか知らない。αだからそうなのかと思っていたが、そうならばほとんどの王家と変わらない。
群を抜いて優秀で、王家を立て直すほどの若い力。


「正直、約束だ何だって言うけど、本能を前にそんなの覚えてられるような身体じゃないんだ。 きっとΩのフェロモンに当てられれば、すぐにでも中に挿れたい、出したい、孕ませたい。普通のαですらそうだ。 アイツは余計その欲が強い身体なんだ、それなのに耐えているアイツを見て、わら……尊敬したよ」


そう言いながらクスクスと笑う。話は真面目なのにハーヴァの話し方のせいで雰囲気が壊れそうになる。


「……っく、まぁね、何が言いたいかって言うと、大事にされてるんだよ、君は。 責めないでやって、Ωの発情した身体を俺たちは分からないけど、αの欲情した状態もかなり辛いんだ。 それなのに、『挿れない』とか『優しくする』とか、さぁ……ふふっ、らしいっちゃ、らしいけど……」


本当に聞こえてたのか……、自分の声も聞こえてたと思うと穴に入りたい。


「……他のαより、アイツの方がマシだと思っちゃってるんでしょ? それなら少しは気を許してやってよ。 何も中に挿れてあげてなんて言わないよ、君にも選ぶ権利はあるしね。 ……もちろん、俺の方が良いなら俺も相手してあげるけど」


「……アンタはやだ……、アイツの方が良い」


ズバッと言うと、ハーヴァは「あはは」と笑う。……何もハーヴァだけではない、他のαよりもヴァラドルに身体を委ねたいと思っている。


「あぁ~っはは、でも、そうそう。 発情期近くなったらこっちにおいで、流石にヴァラドルも耐えれなくなりそうだし。アイツも俺と…俺の番の子ならきっと納得して預けてくれると思うよ。……アイツ独占欲も強いとはなぁ~」


何の話をしているのか分からなかったが、発情期時にこちらに来る方がいいのは確かだろう。……俺、もそうだが、ヴァラドルも発情期となれば我慢の限界が訪れるかもしれない。
……さっきのでもかなり辛そうだった。


「……でもさ、君がヴァラドルと番いたいって言うなら話は別だよ? 番の2人を離したりはしないからね」


「……………番うわけ、ないだろ……」


歯切れ悪くそう言う。番になる、そんなことする訳ない。俺は……αと番になるなんて望まない。

……それに、アイツが番になって、俺に興味を失ったら俺はどうすれば良い? 捨てられたΩなんて終わりのようなものだ。


「……ヴァラドルは、隣の部屋で寝てるんだ。 昨日徹夜したらしくて、よく寝てるよ……、だからさ、もう少しヴァラドルのこと話してあげようか」


俺はヴァラドルのことを知らない。知ろうとも思わなかった、けれど……今は少し、アイツのことを知りたいと思っている。
俺はハーヴァに頷くと、ハーヴァはニコッとしながら話を始めた。
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