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23運命
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23運命
俺には自分の身体について分かったことがある。違法ドラッグの副作用か元の体質か、現状発情期でなくても、1日1回は発情状態となる。
しかも、1度出せば治まるようなものでは無い。結果3回くらいは出しているような気がする。途中、意識を無くしていることもあるから、確かではない。
そして、それは夜に起こることが多い。ヴァラドルと晩飯を食べているときに、顔の火照りが始まる。最初は黙っていたが、ヴァラドルには毎回バレる。おそらく、フェロモンのせいか。最近では、自己申告するようになってしまった。
相変わらず他人に触られる、というのは慣れないが、自分も、ヴァラドルも身体の性感帯というものが分かりつつある。色々慣れもあり、後ろに指を挿れられるのも、抵抗が少なくなってきた。
ヴァラドルは律儀に、挿入もしなければ、首筋を噛むような事もしてこない。ここ、数日の間、俺の処理に付き合いながらも、自分の処理もするが、その約束を破ってくることはなかった。
幾分か、それに安心している。まだ、警戒が解けた訳では無いが、自分から発情状態であることをあかせるくらいにはなった。
「……発情期?」
数日の間に、俺の言っていたヴァラドルの仕事を手伝いたいという要望に答え、ヴァラドルは簡単な雑用的な仕事を毎日俺にくれた。
嫌々ではなく、暇な俺にとってはそのことが嬉しい。
何の前フリも無しに発情期はいつか、とヴァラドルは聞いてくる。
「ああ、今の状態だからまだ、俺も自我を保てているが、発情期のヒートとなれば危うい可能性もある。……ハーヴァの言うように、お前をアイツのところに預けようと思っている」
確かにあの医者、そんなことを言っていたな。さすがに発情期は不味いかもしれないから、病院の一室を貸そうと提案してきた。
案外、あっさりと預けようと思ったものだな、と少し驚いた。コイツのことだから、発情期もこの城で過ごせと言うのかと思っていた。
「……意外だな、お前ならここに居ろというと思っていた」
「……約束は約束だ、違えるようなことはしたくない。 ……毎回ギリギリなんだ、さすがに発情期のヒートのお前に手を出す可能性が0とは言いきれない。それに、アイツのところなら、信用はできる」
誠実な男だ。ここに来たばかりの時は横暴な王様タイプかと思っていたが、俺の望みにはほとんど応じてくれる。弟のもとに行きたいなんて言うのは聞いてはくれないだろうが、それでもあの父とは違ってしたいことは、何でもやらせてくれる。
「…………あと、1.2週間というところだと思う。 前回の発情期から考えて」
「……そうか、では数日前には向こうに馬車で向かおう。ハーヴァには連絡しておく」
あの医者もαだったが、番持ちらしく俺のフェロモンには動じない。 ヴァラドルも信頼はしているようだし、医者としての知識も本当にあるのだろう。
資料をまとめ、トントンと机に叩き揃えてから、ファイルに挟む、そんな雑用な仕事をしながら、こうして人と話していられるのも中々良いものだ。
「…………本当に最初は、刃向かってここから抜け出すつもりだったんだがな……、意外とこちらの方が居心地が良くて困る」
俺は本心を口に出し、ふはっと乾いた笑い声を出す。何の不便もない、気がかりは弟のことだけ。他はこちらにいる方が伸び伸びといれて良い。
「……ふっ、気に入ってくれているなら何よりだ」
ヴァラドルは、俺を1度見てからまた、書いていた書類のようなものに視線を戻し、文字を書きながらそう言った。
カリカリと万年筆の音が部屋に響く。ペラっと紙を1枚1枚捲るヴァラドルを何となく見つめる。
「……やはり、お前が俺を好きになった理由が分からんな。 そんなに庭で弟を話す俺が魅力的に見えたか?」
仕事をしているヴァラドルを見ながらふと思った。よく焼けた肌が似合う、声も低くて落ち着く、スタイルも背が高くて羨ましい。 ……処理するときに見た、雄らしい男だ。
Ωで男の俺ではなく、女、αでも娶れば良かっただろうに。そこら辺の金持ちの王女様でも、魅了出来るほどの男だと思う。
誠実、真面目、人との約束を破るような真似をしない。性格まで完璧だ。
ヴァラドルは俺の発言に、文字を書くのをやめ、万年筆を置いた。
「……見た目、という話であれば他に良い者はいたんだろうな。 だが、俺は幼い頃からお前にしか魅了されなかった」
ヴァラドルは恥ずかしいことを普通の顔で言う男だ。と、この数日で何度も実感してきた。不意に言うものだから、顔がカッと赤くなる。
「……じゃあ、見た目は好きじゃないんだな」
そう返すと、ヴァラドルはくくっと悪く笑う。
「そうは言っていない。 中身を知れば知るほど、お前の全部が好きになっていったんだ」
笑いを堪えるようにそう言ってくる。俺は赤くなりながら、チッと舌打ちをした。
「……人を差別するのは好きでは無い。 それは相手に対しても求めていた。 αの殆どがΩ、βですら差別して見ている。 だが、αがするのと同じで、Ωもαを軽蔑しているように感じる」
それは俺だってそうだ。αは嫌いだ。 いつだって、自分勝手で、Ωを人だとも思わないような奴らしかいない。
………………コイツは違うのかもしれないが
「……お前の弟は、αだ。 そして、次期ジェイラード家を継ぐのも弟だとされていて、お前も気づいていたはずだ。……それにも関わらず、弟にあんな優しい目を向けられるのか、と関心した」
「……それは、ユリウスが俺を兄として慕ってくれていたからで……、というかそれなら、ユリウスの方を好きになっていたんじゃないか、アイツもαやΩで差別をしたりはしない」
そう言うと、ヴァラドルは「確かに」と、小声で言った。それに少し心を痛めた。
……なんで心が痛むんだ……、ユリウスの方がいいのは当然だろう。
「……弟の方は……、俺と同じ匂いがしたんだ」
「……? αだからな?」
匂い……? まぁ、コイツもユリウスもαだからな。αの匂いと言えば同じだろう。
俺の疑問の顔を見ながら、ヴァラドルはまた笑い出す。
「っくく……、そうじゃない、クロウス、お前を見る目が同じだったんだ。 お前を独占したい、自分の物にしたいという目だ」
人差し指で指されながら、そう言うヴァラドルに俺は「は?」と返す。
100歩譲ってお前はそうかもしれないが、弟だぞ?ユリウスは、そんな目で見るはずがないだろう。
「……まぁ、後はあれだな、運命というやつか」
「……嘘くさいな」
ヴァラドルの言う運命は何故か嘘くさい。冷たく突き放すように言うと、ははっと笑う。
そして、座っていた椅子から腰を上げ、俺に近づいてくる。
そして、俺の顎をクイッと持ち上げる。
「……なんだ、まだ熱っぽくは無いぞ」
「……発情していないからと言って、キスをしてはいけないということはないだろう」
そう言うと、唇が重なった。仕事中だと言うのに……。数日の中で何度も唇が触れ合うこともあり、これに関しては一切抵抗がなくなった。
目を瞑り、口を開ける。ちゅっ、くちゅ、という音が部屋内に響く。俺はヴァラドルの服の袖を掴む。
「…………嘘くさくても、運命だと思ったんだよ」
そう囁くと、ヴァラドルは俺の頭を撫でて、1度部屋を出る。何か飲み物を取ってくると言って、廊下を歩く音が遠のいていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……同じだったんだよ、お前を見る目が……、クロウス。きっと、お前の弟は、お前を兄として見ているだけではないぞ」
ヴァラドルは部屋から出て、少し歩き、廊下で壁に頭をドンと打ち付け、独り言のようにそう言った。
俺には自分の身体について分かったことがある。違法ドラッグの副作用か元の体質か、現状発情期でなくても、1日1回は発情状態となる。
しかも、1度出せば治まるようなものでは無い。結果3回くらいは出しているような気がする。途中、意識を無くしていることもあるから、確かではない。
そして、それは夜に起こることが多い。ヴァラドルと晩飯を食べているときに、顔の火照りが始まる。最初は黙っていたが、ヴァラドルには毎回バレる。おそらく、フェロモンのせいか。最近では、自己申告するようになってしまった。
相変わらず他人に触られる、というのは慣れないが、自分も、ヴァラドルも身体の性感帯というものが分かりつつある。色々慣れもあり、後ろに指を挿れられるのも、抵抗が少なくなってきた。
ヴァラドルは律儀に、挿入もしなければ、首筋を噛むような事もしてこない。ここ、数日の間、俺の処理に付き合いながらも、自分の処理もするが、その約束を破ってくることはなかった。
幾分か、それに安心している。まだ、警戒が解けた訳では無いが、自分から発情状態であることをあかせるくらいにはなった。
「……発情期?」
数日の間に、俺の言っていたヴァラドルの仕事を手伝いたいという要望に答え、ヴァラドルは簡単な雑用的な仕事を毎日俺にくれた。
嫌々ではなく、暇な俺にとってはそのことが嬉しい。
何の前フリも無しに発情期はいつか、とヴァラドルは聞いてくる。
「ああ、今の状態だからまだ、俺も自我を保てているが、発情期のヒートとなれば危うい可能性もある。……ハーヴァの言うように、お前をアイツのところに預けようと思っている」
確かにあの医者、そんなことを言っていたな。さすがに発情期は不味いかもしれないから、病院の一室を貸そうと提案してきた。
案外、あっさりと預けようと思ったものだな、と少し驚いた。コイツのことだから、発情期もこの城で過ごせと言うのかと思っていた。
「……意外だな、お前ならここに居ろというと思っていた」
「……約束は約束だ、違えるようなことはしたくない。 ……毎回ギリギリなんだ、さすがに発情期のヒートのお前に手を出す可能性が0とは言いきれない。それに、アイツのところなら、信用はできる」
誠実な男だ。ここに来たばかりの時は横暴な王様タイプかと思っていたが、俺の望みにはほとんど応じてくれる。弟のもとに行きたいなんて言うのは聞いてはくれないだろうが、それでもあの父とは違ってしたいことは、何でもやらせてくれる。
「…………あと、1.2週間というところだと思う。 前回の発情期から考えて」
「……そうか、では数日前には向こうに馬車で向かおう。ハーヴァには連絡しておく」
あの医者もαだったが、番持ちらしく俺のフェロモンには動じない。 ヴァラドルも信頼はしているようだし、医者としての知識も本当にあるのだろう。
資料をまとめ、トントンと机に叩き揃えてから、ファイルに挟む、そんな雑用な仕事をしながら、こうして人と話していられるのも中々良いものだ。
「…………本当に最初は、刃向かってここから抜け出すつもりだったんだがな……、意外とこちらの方が居心地が良くて困る」
俺は本心を口に出し、ふはっと乾いた笑い声を出す。何の不便もない、気がかりは弟のことだけ。他はこちらにいる方が伸び伸びといれて良い。
「……ふっ、気に入ってくれているなら何よりだ」
ヴァラドルは、俺を1度見てからまた、書いていた書類のようなものに視線を戻し、文字を書きながらそう言った。
カリカリと万年筆の音が部屋に響く。ペラっと紙を1枚1枚捲るヴァラドルを何となく見つめる。
「……やはり、お前が俺を好きになった理由が分からんな。 そんなに庭で弟を話す俺が魅力的に見えたか?」
仕事をしているヴァラドルを見ながらふと思った。よく焼けた肌が似合う、声も低くて落ち着く、スタイルも背が高くて羨ましい。 ……処理するときに見た、雄らしい男だ。
Ωで男の俺ではなく、女、αでも娶れば良かっただろうに。そこら辺の金持ちの王女様でも、魅了出来るほどの男だと思う。
誠実、真面目、人との約束を破るような真似をしない。性格まで完璧だ。
ヴァラドルは俺の発言に、文字を書くのをやめ、万年筆を置いた。
「……見た目、という話であれば他に良い者はいたんだろうな。 だが、俺は幼い頃からお前にしか魅了されなかった」
ヴァラドルは恥ずかしいことを普通の顔で言う男だ。と、この数日で何度も実感してきた。不意に言うものだから、顔がカッと赤くなる。
「……じゃあ、見た目は好きじゃないんだな」
そう返すと、ヴァラドルはくくっと悪く笑う。
「そうは言っていない。 中身を知れば知るほど、お前の全部が好きになっていったんだ」
笑いを堪えるようにそう言ってくる。俺は赤くなりながら、チッと舌打ちをした。
「……人を差別するのは好きでは無い。 それは相手に対しても求めていた。 αの殆どがΩ、βですら差別して見ている。 だが、αがするのと同じで、Ωもαを軽蔑しているように感じる」
それは俺だってそうだ。αは嫌いだ。 いつだって、自分勝手で、Ωを人だとも思わないような奴らしかいない。
………………コイツは違うのかもしれないが
「……お前の弟は、αだ。 そして、次期ジェイラード家を継ぐのも弟だとされていて、お前も気づいていたはずだ。……それにも関わらず、弟にあんな優しい目を向けられるのか、と関心した」
「……それは、ユリウスが俺を兄として慕ってくれていたからで……、というかそれなら、ユリウスの方を好きになっていたんじゃないか、アイツもαやΩで差別をしたりはしない」
そう言うと、ヴァラドルは「確かに」と、小声で言った。それに少し心を痛めた。
……なんで心が痛むんだ……、ユリウスの方がいいのは当然だろう。
「……弟の方は……、俺と同じ匂いがしたんだ」
「……? αだからな?」
匂い……? まぁ、コイツもユリウスもαだからな。αの匂いと言えば同じだろう。
俺の疑問の顔を見ながら、ヴァラドルはまた笑い出す。
「っくく……、そうじゃない、クロウス、お前を見る目が同じだったんだ。 お前を独占したい、自分の物にしたいという目だ」
人差し指で指されながら、そう言うヴァラドルに俺は「は?」と返す。
100歩譲ってお前はそうかもしれないが、弟だぞ?ユリウスは、そんな目で見るはずがないだろう。
「……まぁ、後はあれだな、運命というやつか」
「……嘘くさいな」
ヴァラドルの言う運命は何故か嘘くさい。冷たく突き放すように言うと、ははっと笑う。
そして、座っていた椅子から腰を上げ、俺に近づいてくる。
そして、俺の顎をクイッと持ち上げる。
「……なんだ、まだ熱っぽくは無いぞ」
「……発情していないからと言って、キスをしてはいけないということはないだろう」
そう言うと、唇が重なった。仕事中だと言うのに……。数日の中で何度も唇が触れ合うこともあり、これに関しては一切抵抗がなくなった。
目を瞑り、口を開ける。ちゅっ、くちゅ、という音が部屋内に響く。俺はヴァラドルの服の袖を掴む。
「…………嘘くさくても、運命だと思ったんだよ」
そう囁くと、ヴァラドルは俺の頭を撫でて、1度部屋を出る。何か飲み物を取ってくると言って、廊下を歩く音が遠のいていった。
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「……同じだったんだよ、お前を見る目が……、クロウス。きっと、お前の弟は、お前を兄として見ているだけではないぞ」
ヴァラドルは部屋から出て、少し歩き、廊下で壁に頭をドンと打ち付け、独り言のようにそう言った。
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