最愛のオメガ

マツユキ

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広々とした室内には、立派な机が置かれていた

―――コンコン

「入れ」

開かれた扉から現れたのは、長身の銀縁眼鏡が似合う、インテリな美形だった

「社長、本日の会議報告書をお持ち致しました」

「分かった。名取、この後の予定はどうなっている?」

社長と呼ばれた男は、インテリな美形、名取に予定を確認する

「この後の予定は何も入っていません」

「はぁ、じゃぁさっさと帰るか」

「…社長、お疲れですね」

「お前がそれを言うのか?秘書のお前が?」

「はて、何のことだか。私はやるべき事をやっているまで」

「はぁ…昔からお前は変わらないよ。まったく」

「…はぁ、まぁ確かにここ数週間のスケジュールは、詰めすぎたかなと反省はしてるさ」

インテリな美形名取 祐司なとり ゆうじとSGUの社長である佐伯 頼久さえき よりひさは幼馴染みである

二人はαアルファで、会社でもかなりの人気を誇っていた。少しでもお近づきになりたいと、男女問わずにアプローチを受けては、ヒラリとかわし続けてきた

頼久は米神を揉みながら、ため息をつき、帰り仕度を始める

「お前、今日付き合えよな」

「…断る、と言いたい所だが…今日は付き合ってやる」

「もちろん、お前の奢りだからな?」

「社長の癖に社員に奢らせるとは…」

「お前は別だ」

「はぁ、分かった」

二人は最上階にある社長室を出て、エレベーターを呼び乗り込んだ

階が下がっていく度に感じる違和感

「何か、匂わないか?」

「…?匂いか…?」

頼久の言葉に祐司は戸惑う

15F建ての会社。14F、13Fと階が下がる度に強くなっていく甘い香り。そして5Fに降りようとした時、香りは祐司にも届く程に強くなっていた

「これ、は…」

祐司は息をのむ。あまりに身に覚えのある感覚だったからだ

「おい、頼久…っ!」

隣の頼久を見たとき、祐司の目はこれでもかと言う程に見開かれた

「お、前…」

頼久は胸を強く握りしめ、荒い息をしていたのだ

「甘い…この香りは…」

頼久にΩオメガの香りは効きにくく、香りに翻弄される事などなかった。そのため、本能のままに欲情に刈られる事など今までなかったのだ。だから、今まですり寄ってきたΩオメガもかわす事が出来ていた

そんな頼久が、初めてΩオメガの香りに激しく欲情している

唖然とする祐司の耳に、ポーンと軽快な音が聞こえた。祐司が目を向けると扉が開き、一人の女性が乗り込んで来る所だった

女性が近づく程、香りは強くなる。頼久程ではないが、祐司も香りが効きにくい体質だった。そして、今も香りは届くが、理性が勝り欲情に刈られる事はない

女性は苦しそうに荒く息をしていた

祐司は頼久をみる

「お前…っ!」

頼久は目の前の女性を、欲情しきった目で見つめ、祐司の制止よりも早く行動してしまった

「はぁ、この香り、」

女性を強く抱き締めた頼久は、首筋に顔を埋め深く香りを吸った。何度も、何度も、香りを確認するかのように


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