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「……さて、本題に入ろう。まずはキャロル嬢に話さねばならない事がある」
アーネストの口から自分の名前が出てキャロルは大きくビクついた
「…っわっ私にですか…?」
アーネストはキャロルを見た。その顔には恐怖が浮かんでいる
「…キャロル嬢、そなたの母親はモリスだ。それは変わりない」
キャロルは首をかしげる
(…陛下は何が言いたいの?)
「…もちろん、私の母はモリス公爵夫人で間違いありませんわ」
キャロルはアーネストが不思議な事を言った事で、先ほど母が平民に降格したことを忘れている
「…だが、父親はロイドではない」
キャロルの失態には触れる事無く話を進める
「…っ急に何をおっしゃっているのですか!?ちっ父が父でないなら…わっ私の父は誰だと言うのですか!御戯れが過ぎるのではないですか!?」
アーネストから出た言葉はキャロルにはとても受け入れられる事ではなかった
アーネストはチラリとマティアスを見た。マティアスは顔を青くしている。まさかアーネストが知っていたとは思わなかったのだろう
「これは変えられぬ事実だ。そなたの父はロイドではない」
キャロルは考えた
「…でっでは私とセシルは母の連れ子なのですか!?」
考えた末の答えだった
だが、返って来た答えはキャロルを更に困惑させる
「セシルはロイドの実子だ」
「でっでは、私だけが母と父の子ではないのですねっ…?」
キャロルの声は震えていた。自分だけが母と父の子ではない。今まで忌み嫌っていたセシルだけが母と父の子だと言う事に愕然としたのだ
「…いいや、それは違う。」
「…え?」
(…違うって何が違うと言うの?)
「セシルはモリスとロイドの子ではない」
「え?」
今まで静かに聞いていたセシルはアーネストの言った事に戸惑いを隠せないでいた
(わたくしもお父様とお母様との子ではないの…?)
「…セシル。セシルには後程ゆっくり話したいと思っている。構わないか?」
アーネストは哀しそうに眉尻を下げ言った
「……大丈夫です」
(…きっと何か事情があるのね…)
「すまない…」
一度目を伏せた後キャロルに向き直る
「そなたの父親はロイドの父であるマティアスだ」
「っ!!何でっすって!?」
驚愕のあまり立ち上がったキャロルはマティアスを凝視した。気まずそうなその表情には『申し訳ない』この感情が無い事はキャロルにも分かった。マティアスを見た後ロイドを見たキャロル。その顔には何も浮かんでいなかった
(あぁ…本当の事なんだわ……何てことなの…)
呆然とし立ち尽くすキャロル。
「モリスとマティアスは密かに契り、モリスが懐妊したと知るとマティアスは息子のロイドとの結婚を強引に取り決め…モリスはそれに同意した」
「…そっそんな事って…」
「…お姉さま…」
セシルもキャロル同様に驚愕していた。何かにつけ嫌味や時には暴力さえ振るわれた事もあったが、セシルにとっては姉なのだ
「では…私は…父上の…」
唖然としたまま呟くように…自分に言い聞かせるように言った
「そうだ…キャロル、君はロイドの妹だ。」
「今までおじい様だと思っていた人が……私の父親だった何て…」
キャロルの頬に涙が伝う。重い空気の中しばらく沈黙が流れる
沈黙を破ったのはセシルだった
「……あ、あの…一つお聞きしたいのですが…」
戸惑いながらセシルはアーネストに聞いた
「何がききたいのだ?」
アーネストは優しく先を促す
「…陛下、先ほどお姉さまが言った『おじい様』とは?…私の記憶が間違っていなければ『おじい様』はお亡くなりになっているのですが…」
セシルの顔には困惑と戸惑いがありありと見て取れた。
アーネストは考えた。セシルの言う『おじい様』とはマティアスの事ではないのか…
セシルの疑問に答えたのはロイドだった
「…セシル。お前がそう思っていても仕方のない事だ。…お前の本当の『おじい様』はそこに座っている男だ。」
ロイドはマティアスの名前…そして自分の『父』とすら言わず『男』と言った
セシルはロイドの態度に更に困惑した
「…え?でもわたくしこの方とは…」
「会うのは初めて…だな」
(…今までわたくしが『おじい様』と言っていた方はいったい…)
セシルが更に困惑した様子にロイドは優しく微笑み言った
「…セシルを可愛がってくれていたのは私にとって『叔父』であるアルタス・ラロドフット…そして妻のターシャ。
二人は私とセシルの現状を知っていた。だが、現状を変える事は出来なかったんだ…だからせめてお前の為に出来る事をしてくれていたんだ。」
「……あっ…わたくし…」
ロイドはセシルの手を優しく握りしめた
「…セシル。お前にとって『おじい様とおばあ様』だったのは私にとって『叔父と叔母』だった。本当の祖父母ではないのかもしれないが、セシル…お前にとってはそれが真実だった。私はそれでいいと思うぞ?」
セシルはロイドの目を見た。とても穏やかな表情だった
「…でもっ…」
「セシル…血の繋がりはとても大切だ。だが、必ずしも重要である訳ではないと私は思っている。」
「…わたくしにとっておじい様とおばあ様はとても優しい方だった。…そうね、お父様の言う通りだとわたくしも思います」
困惑は拭いきれないが、セシルは自分の心のままに…捻じ曲げてまで受け入れる事はない。そう思った
「…なるほど。セシルが困惑する訳が分かった。…マティアスお前は…」
黙って聞いていたアーネストは再び怒りを覚える。セシルがマティアスを認識していなかった。それは安にマティアスがセシルと会う事が無かった事を指している
(自分の息子の実子…孫に会う事もしないとは…こやつは何処まで…)
アーネストの口から自分の名前が出てキャロルは大きくビクついた
「…っわっ私にですか…?」
アーネストはキャロルを見た。その顔には恐怖が浮かんでいる
「…キャロル嬢、そなたの母親はモリスだ。それは変わりない」
キャロルは首をかしげる
(…陛下は何が言いたいの?)
「…もちろん、私の母はモリス公爵夫人で間違いありませんわ」
キャロルはアーネストが不思議な事を言った事で、先ほど母が平民に降格したことを忘れている
「…だが、父親はロイドではない」
キャロルの失態には触れる事無く話を進める
「…っ急に何をおっしゃっているのですか!?ちっ父が父でないなら…わっ私の父は誰だと言うのですか!御戯れが過ぎるのではないですか!?」
アーネストから出た言葉はキャロルにはとても受け入れられる事ではなかった
アーネストはチラリとマティアスを見た。マティアスは顔を青くしている。まさかアーネストが知っていたとは思わなかったのだろう
「これは変えられぬ事実だ。そなたの父はロイドではない」
キャロルは考えた
「…でっでは私とセシルは母の連れ子なのですか!?」
考えた末の答えだった
だが、返って来た答えはキャロルを更に困惑させる
「セシルはロイドの実子だ」
「でっでは、私だけが母と父の子ではないのですねっ…?」
キャロルの声は震えていた。自分だけが母と父の子ではない。今まで忌み嫌っていたセシルだけが母と父の子だと言う事に愕然としたのだ
「…いいや、それは違う。」
「…え?」
(…違うって何が違うと言うの?)
「セシルはモリスとロイドの子ではない」
「え?」
今まで静かに聞いていたセシルはアーネストの言った事に戸惑いを隠せないでいた
(わたくしもお父様とお母様との子ではないの…?)
「…セシル。セシルには後程ゆっくり話したいと思っている。構わないか?」
アーネストは哀しそうに眉尻を下げ言った
「……大丈夫です」
(…きっと何か事情があるのね…)
「すまない…」
一度目を伏せた後キャロルに向き直る
「そなたの父親はロイドの父であるマティアスだ」
「っ!!何でっすって!?」
驚愕のあまり立ち上がったキャロルはマティアスを凝視した。気まずそうなその表情には『申し訳ない』この感情が無い事はキャロルにも分かった。マティアスを見た後ロイドを見たキャロル。その顔には何も浮かんでいなかった
(あぁ…本当の事なんだわ……何てことなの…)
呆然とし立ち尽くすキャロル。
「モリスとマティアスは密かに契り、モリスが懐妊したと知るとマティアスは息子のロイドとの結婚を強引に取り決め…モリスはそれに同意した」
「…そっそんな事って…」
「…お姉さま…」
セシルもキャロル同様に驚愕していた。何かにつけ嫌味や時には暴力さえ振るわれた事もあったが、セシルにとっては姉なのだ
「では…私は…父上の…」
唖然としたまま呟くように…自分に言い聞かせるように言った
「そうだ…キャロル、君はロイドの妹だ。」
「今までおじい様だと思っていた人が……私の父親だった何て…」
キャロルの頬に涙が伝う。重い空気の中しばらく沈黙が流れる
沈黙を破ったのはセシルだった
「……あ、あの…一つお聞きしたいのですが…」
戸惑いながらセシルはアーネストに聞いた
「何がききたいのだ?」
アーネストは優しく先を促す
「…陛下、先ほどお姉さまが言った『おじい様』とは?…私の記憶が間違っていなければ『おじい様』はお亡くなりになっているのですが…」
セシルの顔には困惑と戸惑いがありありと見て取れた。
アーネストは考えた。セシルの言う『おじい様』とはマティアスの事ではないのか…
セシルの疑問に答えたのはロイドだった
「…セシル。お前がそう思っていても仕方のない事だ。…お前の本当の『おじい様』はそこに座っている男だ。」
ロイドはマティアスの名前…そして自分の『父』とすら言わず『男』と言った
セシルはロイドの態度に更に困惑した
「…え?でもわたくしこの方とは…」
「会うのは初めて…だな」
(…今までわたくしが『おじい様』と言っていた方はいったい…)
セシルが更に困惑した様子にロイドは優しく微笑み言った
「…セシルを可愛がってくれていたのは私にとって『叔父』であるアルタス・ラロドフット…そして妻のターシャ。
二人は私とセシルの現状を知っていた。だが、現状を変える事は出来なかったんだ…だからせめてお前の為に出来る事をしてくれていたんだ。」
「……あっ…わたくし…」
ロイドはセシルの手を優しく握りしめた
「…セシル。お前にとって『おじい様とおばあ様』だったのは私にとって『叔父と叔母』だった。本当の祖父母ではないのかもしれないが、セシル…お前にとってはそれが真実だった。私はそれでいいと思うぞ?」
セシルはロイドの目を見た。とても穏やかな表情だった
「…でもっ…」
「セシル…血の繋がりはとても大切だ。だが、必ずしも重要である訳ではないと私は思っている。」
「…わたくしにとっておじい様とおばあ様はとても優しい方だった。…そうね、お父様の言う通りだとわたくしも思います」
困惑は拭いきれないが、セシルは自分の心のままに…捻じ曲げてまで受け入れる事はない。そう思った
「…なるほど。セシルが困惑する訳が分かった。…マティアスお前は…」
黙って聞いていたアーネストは再び怒りを覚える。セシルがマティアスを認識していなかった。それは安にマティアスがセシルと会う事が無かった事を指している
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