裏切りの先にあるもの

松倖 葉

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マティアス・ツェザーリ…

アーネストはガルバよりもこの男の事を許せないでいた

父のアルバートを殺害したにも関わらず今ものうのうとしている。とても許せる事ではない。

アルバートが亡くなった時不振に思った私はすぐに『病死』と処理せず、詳しく調べるように言った。だが、当時は今と違い医療の技術も発展していなかった。

あの時もマティアスは笑っていたのだ

この男だけは誰よりも罪を償わなければならない

「…マティアス、招待状も出していないと思っていたのだが…私の気のせいだったか…?」

「……えぇ、陛下のおっしゃる通り招待状は届いていませんでしたが手違いがあったのかと思いましたもので」

変わらずいやらしい笑みを浮かべている

「…そうだったか」

二人の間に見えない火花が散っている



カツン カツン



「…陛下、もう夜も遅くなってまいりました。続きは解散して続けられては?」

フローレンスが穏やかに促す

「…すまないな」

怒りだけがアーネストを支配していたのだ

「構いませんわ」

フローレンスは優しく微笑む

一歩前に進み出たフローレンスが貴族達に向かって口を開く

「皆様、今宵は色々とありましたが、これをもって解散としたいと思います。気になっている事も多いでしょうが…後日陛下からお達しがあると思いますのでお待ちください」

フローレンスが話終えると貴族たちは後ろ髪惹かれる思いでゆっくりと帰って行った


「キャロル嬢!お待ちに、一緒に来てください」

フローレンスは蒼白な顔をしたまま帰ろうとしていたキャロルを呼びとめた

「…え?…わ…私も…?」

声にいつもの覇気はなく、その顔には恐怖が浮かんでいた

「あなたにも話さねばならない事があるの」

「…は…い…」

歩き出したフローレンスの後ろからキャロルは重い足取りでついていく





ーーーーー応接間




広い室内の中央に美しい装飾の施されたテーブルが設置されている。その周りには上品なソファーが設置されている

ドアから向かって奥のソファーにアーネスト・フローレンス・サフュラスが座り、その向かいのソファーにはロイド・アラン・セシルが座った。

マティアスとキャロルは両脇に座りドアには兵が待機している

「陛下、こんな場所に皆を集めて何を話そうと言うのですか?」

空気を読まずマティアスが話し出す

「マティアス殿少し黙られたほうがいい」

サフュラスは冷たい目でマティアスを一喝する

「…っ…」

年は若いけれど流石は一国の王子。王と王妃の威厳を受け継いでいる

「……マティアスの罪を断罪する前に、少し話をせねばならんだろう」

「…っ罪ですって!?わっ私に…」

「黙れ…!お前に話す事を許した覚えはない」

喚きだすマティアスを遮りアーネストは静かに怒りをぶつけた

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