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しおりを挟む帝国城内のにある教会には多くの貴族たちが正装し式が始まるのを待っていた。
「とうとうセシルが結婚するんだな…」
嬉しそうに、だが何処か寂しそうにロイドが呟いた。
「…色々あった、困難な事ばかりがな」
アーネストは今までの事を思い出すかのように目を閉じた。一つため息をつき目を開けロイドを見る
「これからはもちろん困難な事もあるだろうが、幸せが多くなるだろう。もちろんそなたもな」
ロイドはアーネストを見て微笑む
「…えぇ、陛下に言われてから色々考えました。これからは私も私自身の為に頑張ろうと思います」
ロイドの迷いのない答えにアーネストは安心したかの様に頷く
「それを聞いて安堵した」
二人は式が始まるまでの間、昔の事やこれからの事を語り合っていた
ーーーー
純白のドレスに身を包むセシルは鏡に映る自分の姿を信じられない気持ちで見ていた
「…こんなに幸せでいいのかしら…」
これまでの事を考えると、今こうして花嫁衣裳を身を包み幸福で満たされる日が来ることなど想像していなかったのだ。
「…これは夢、なんて事はないわよね…?」
(幸せすぎて怖いってこう言う事を言うのかしら…)
コン コン
「はい」
返事をすると部屋のドアが開き侍女が入って来た
「セシル様参りましょう」
これからセシルはアランと結婚し妻となる。
(…自分を愛してくれる人の妻に…これほど幸福な事はあるのかしら…)
はやる気持ちを抑え侍女に返事をすると教会へとむかった
ーーーー
教会にピアノの優しい音色が響く。一歩一歩ゆっくりと進むセシルを皆穏やかに見つめている。ベール越しに前を見るとアランがセシルを見ていた。『愛おしい』気持ちを隠しもせずじっとセシルを見つめている
セシルは頬が赤く染まるのを感じる。
アランの元までたどり着き、横に並んでたった
「汝はセシル・ツェザーリを妻とし生涯愛することを誓いますか」
老齢の神父が優しく問いかける。アランはセシルを一目見た後、神父に向かい『誓います』といった
「セシル・ツェザーリ、汝はアラン・カーティスを夫とし生涯愛することを誓いますか」
セシルはニッコリと微笑み『誓います』と言った。神父が『指輪の交換』を促し互いの薬指にはめる
「それでは誓いのキスを」
互いに向き合い微笑みあう。
アランは少し屈んだセシルのベールを上にあげ頬を優しく撫でた。
「愛しているよ…これから先もずっと。一緒に幸せになろう」
そう言うとアランはセシルに口づけをした。一瞬の事であったが、二人には数分の様に感じられた。
「愛しているわ、これから先もあなただけを…」
教会に拍手の音が響いた。二人の結婚を祝福するかの様になる鐘の音は帝国中に響いていた
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