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「あぁ!アラン様!やっと私を…!」
「何を勘違いしているのか判らないが、この薄汚い手を離してくれないか」
アランは足に手を回すカナリアを底冷えする視線を向ける
カナリアは初めて目にするアランに動揺が隠せない
「あ、アラン様…?」
「今まで君に対して処罰をしなかったのは、実害は主に私に対してだけであり、まだ言葉で対処出来ると思っていたからだ。だが、私の考えが甘かった」
「では、アラン。異論はないのだな?」
「はい、陛下。もっと早くにするべき事だったのです。私が誤った対処をしてしまったばかりに…この一件は避けられる事だったのです。申し訳ありません、陛下」
「確かに、公爵としては考えが甘かったと言う他ない。優しさも必要だが、毅然とした対応や対処が大切な事も分かったはずだ」
「はい」
「それでよい。では、カナリア・ゴールディンを国外追放とする。身一つでこの国から出て行くがよい。今後、この国に入る事は許さん。そして、ゴールディン男爵夫妻は爵位剥奪ののち無期限の石運びの刑に処す」
「い、石運びのけいですと!?な、な」
「奴隷の事だけでも許せぬがそれに加え、職務の放棄。しかし、人を殺めてはおらぬ事を考慮し三食の食事は与える事とする。連れて行け」
アーネストが指示すると兵士はすぐさま行動に移し、ゴールディン男爵夫妻とカナリアは連れて行かれた
「あっけないですね…彼女の犯した罪は重い。なのに裁くのは簡単な事だ」
「…アラン。自分を責めるでないぞ?そして大切なものを守るために己を強くするのだ。悲しみや憎しみに囚われ、情に流される事の無いよう」
「…はい。今回の件でよく分かりました。私のやり方では救えるものも救えない事があるのだと…彼女は私の大切なものを傷つけた…同じように傷ついてしまえばいいのにと、思ってしまいました。だが、それでは彼女のしている事と何も変わらない。私は強くならねば、なりませんね…」
アランは目を伏せたまま、自分の気持ちと戦うように唇をかみしめていた。そんなアランをアーネストは慈愛を込め見つめていた
今回起こった事はセシルやロイドはもちろんだが、アランにとっても心苦しい事だっただろう
「あぁ、話は変わるがガルバ・イーニアスの罪状が全て明白になった。共犯した者、被害にあった者も全て解り、対処も終わった所だ。解っていた罪状だけでも十分に重い罪だったが、あやつが犯した罪に係った者も、それにより傷ついた者も…うやむやにする訳にはいかなんだ。時間がかかってしまったが、これでようやくガルバを正式に裁けると言うものだ」
「…私も安心できます。ロイド殿も安堵出来るでしょう。陛下、ありがとうございます」
「…これは私がやらねばならぬ事。先ほど申したな…防げていたかもしれぬと…私も今まで何度もそう思ってきた。もっと早くに気付いていれば…もっと早く行動に移していればと。叶うならば誰も傷つかねばいい…だが、現実はそうなってくれない…悲しい事だがな」
「権力にはそれ相応の責任が伴ってくる…それにおごる事なく、責務を全うし…受け止める事の出来る器を…」
「そうだ。憎しみも、悲しみも受け止めるのだ。それならば我等にも出来る事だ…簡単な事ではないがな。一つ解決すればまた一つ、問題は尽きないものだな…」
「…私も、少しでも陛下のお力になれるように精進致します」
「期待している。アラン、お主にはサフュラスを支えて行って欲しいと思っている。あれも私の息子にしては出来た子だが、やはりまだまだ未熟な所もあるのでな。…頼んだぞ」
「もったいないお言葉です。陛下の期待に応えられるように…サフュラス殿下を支えられるよう、己を強く鍛えていかねばなりませんね」
先程の感情が幾分か落ち着いたのか、アランの表情は穏やかだった
「何を勘違いしているのか判らないが、この薄汚い手を離してくれないか」
アランは足に手を回すカナリアを底冷えする視線を向ける
カナリアは初めて目にするアランに動揺が隠せない
「あ、アラン様…?」
「今まで君に対して処罰をしなかったのは、実害は主に私に対してだけであり、まだ言葉で対処出来ると思っていたからだ。だが、私の考えが甘かった」
「では、アラン。異論はないのだな?」
「はい、陛下。もっと早くにするべき事だったのです。私が誤った対処をしてしまったばかりに…この一件は避けられる事だったのです。申し訳ありません、陛下」
「確かに、公爵としては考えが甘かったと言う他ない。優しさも必要だが、毅然とした対応や対処が大切な事も分かったはずだ」
「はい」
「それでよい。では、カナリア・ゴールディンを国外追放とする。身一つでこの国から出て行くがよい。今後、この国に入る事は許さん。そして、ゴールディン男爵夫妻は爵位剥奪ののち無期限の石運びの刑に処す」
「い、石運びのけいですと!?な、な」
「奴隷の事だけでも許せぬがそれに加え、職務の放棄。しかし、人を殺めてはおらぬ事を考慮し三食の食事は与える事とする。連れて行け」
アーネストが指示すると兵士はすぐさま行動に移し、ゴールディン男爵夫妻とカナリアは連れて行かれた
「あっけないですね…彼女の犯した罪は重い。なのに裁くのは簡単な事だ」
「…アラン。自分を責めるでないぞ?そして大切なものを守るために己を強くするのだ。悲しみや憎しみに囚われ、情に流される事の無いよう」
「…はい。今回の件でよく分かりました。私のやり方では救えるものも救えない事があるのだと…彼女は私の大切なものを傷つけた…同じように傷ついてしまえばいいのにと、思ってしまいました。だが、それでは彼女のしている事と何も変わらない。私は強くならねば、なりませんね…」
アランは目を伏せたまま、自分の気持ちと戦うように唇をかみしめていた。そんなアランをアーネストは慈愛を込め見つめていた
今回起こった事はセシルやロイドはもちろんだが、アランにとっても心苦しい事だっただろう
「あぁ、話は変わるがガルバ・イーニアスの罪状が全て明白になった。共犯した者、被害にあった者も全て解り、対処も終わった所だ。解っていた罪状だけでも十分に重い罪だったが、あやつが犯した罪に係った者も、それにより傷ついた者も…うやむやにする訳にはいかなんだ。時間がかかってしまったが、これでようやくガルバを正式に裁けると言うものだ」
「…私も安心できます。ロイド殿も安堵出来るでしょう。陛下、ありがとうございます」
「…これは私がやらねばならぬ事。先ほど申したな…防げていたかもしれぬと…私も今まで何度もそう思ってきた。もっと早くに気付いていれば…もっと早く行動に移していればと。叶うならば誰も傷つかねばいい…だが、現実はそうなってくれない…悲しい事だがな」
「権力にはそれ相応の責任が伴ってくる…それにおごる事なく、責務を全うし…受け止める事の出来る器を…」
「そうだ。憎しみも、悲しみも受け止めるのだ。それならば我等にも出来る事だ…簡単な事ではないがな。一つ解決すればまた一つ、問題は尽きないものだな…」
「…私も、少しでも陛下のお力になれるように精進致します」
「期待している。アラン、お主にはサフュラスを支えて行って欲しいと思っている。あれも私の息子にしては出来た子だが、やはりまだまだ未熟な所もあるのでな。…頼んだぞ」
「もったいないお言葉です。陛下の期待に応えられるように…サフュラス殿下を支えられるよう、己を強く鍛えていかねばなりませんね」
先程の感情が幾分か落ち着いたのか、アランの表情は穏やかだった
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