【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星

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19-5

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*****

結局、晴臣はそれっきり二晩経っても帰ってこないまま。
月曜の朝になってしまった。

いつもどおりの時間に起きて、顔を洗いながら考える。

…もしかして、全部私の妄想だった?

いやいやいや。
薄くなりかけてはいるけれど、鏡に映る私の首筋には晴臣の残した痕がある。

「もう二度と私の側から離れないって言ったのに…!」

あの言葉は、プロポーズじゃなかったの?
私が勝手に勘違いしてただけ?

子どもまで作ろうとしたクセに、お父さんからの電話一本なんかに震え上がっちゃってさ。

自宅とは言えあの状況で置いてけぼりにされた私の身にもなってみてよ?
自分で洗濯した事後のシーツが、ベランダでたなびく様を一人見つめる虚しさ、相当なものだよ??

二日分のやるせない気持ちを込めて、思い切り投げつけたタオルは、見事に洗濯カゴから外れてしまった。

こんな状況でも、いや、こんな状況だからこそ、仕事には行かなくては。
忙しくしていれば、晴臣のことなんて考えずに済むはず。

出かけようと靴を履いたところで、玄関のドアノブが回り、扉の向こうから晴臣が姿を現した。

「なあ、俺の着替え、ある?」

「え?あ、うん。クローゼット、そのままにしてあるから」

「ん」

晴臣は短く返事をして、私の横をすり抜けて行ってしまった。

説明はおろか、『ただいま』の一言もなく、開口一番それ?
三年ぶりに再会して、ようやく思いを確かめあった途端、古女房みたいな扱い??
そりゃあ付き合い自体は26年の年季入ってるけどね???

「ちょっと待ってよ!二日間もどこ行ってたのよ!?」

追いかけて腕を掴むと、すぐさま勢いよく振り払われた。

なんだろう?この感じ。
晴臣に拒絶されているような。
地味に凹む。

「あの流れで千歳の実家以外どこがあるって言うんだよ?」

「それならそうと連絡の一つくらい…」

「入れられると思うか?相手、千歳んとこのおじさんだぞ?」

それは、確かに。
父の強烈なキャラのせいだけでなく。
光越に行ってからはそうでもなくなったけど、晴臣は昔から父に絶対服従なところがあるの分かっている。

だけど。
でも。

「そんなにうちのお父さんが好きなら、お父さんと結婚すればいいじゃない!!」

言い捨てて、今度は私が家を飛び出した。
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