【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星

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駅へと向かう途中、何度か振り返ってみたけれど、晴臣が追ってくる気配はない。

寂しい気持ち半分。
あんな出て行き方したんだから、心配して追いかけて来てくれたって良くない?

ほっとする気持ち半分。
三年間も離れていたとはいえ、私と晴臣は距離が近すぎる。
良くも悪くも一番心を許している相手だから、物理的に距離を置かないと。
また同じことの繰り返しになってしまう。

とにかく、仕事。
仕事して頭を冷やそう。

自分にそう言い聞かせながらいつもの電車に乗り込み職場へ向かったのにー

オフィスに辿り着いた私は、一瞬で冷静さを失った。

来客用駐車場に、見覚えのある戦車のような黒い車。

いやいやいや。
まさかね。
ちょっと珍しい車ではあるけれど、たまたまよ、たまたま。
さすがにシンガポールに行ってる間に手放してるでしょ?

それに、このオフィスビルに入っているのはうちの事務所だけじゃないし。
うちの事務所、まだ営業時間前だし。

何とか心を落ち着かせて出勤したものの、「おはようございます!!」と言う声はいつもより大きめになってしまった。

だって、、事務所はすっかり営業を開始していたから。

「おはよう、蓮見さん。今日はえらく元気がいいわね」

挨拶を返してくれたのはこの道30年のベテラン補助にして、唯一いつも私より早く出勤している末村さん。

応接室に目を走らせると、利用状況を知らせるプレートが「使用中」になっている。

「あ、あの!こんな朝早くからお客様ですか?」

末村さんに飛びついて問いただしたいのを何とか堪え、できるだけ落ち着いて尋ねた。

「そうなのよ。飛び込みのお客様だったんだけど、たまたま副島さんが出勤されてて」

やっぱり晴臣なの!?
でも、どうして私の勤務先を?
まだお互い近況報告なんて全然できてないのに。
大体、会計事務所うちに何の用!?

「へ、へえ。飛び込みのお客様の対応されるなんて、珍しいですね」

「そうなのよ。副島さんも一度お断りになったんだけど、その方のお名前を聞かれたら、『すぐにお通しするように』って」

「も、もしかして…その方、椎名様というお名前ですか?」

固唾を呑んで末村さんの返事を待つ。

「ううん、そんなお名前じゃなかったと思うわ。えーっと…あら、やだ。年かしら。思い出せないわ」

アハハハという気の抜けた笑い声につられ、こちらもプシューッと音がしそうなほど気が抜けた。

いくら晴臣でも職場には来ない…よね?

「ところで蓮見さん、今日いつにも増してお肌プルプルなのは、もしかして遂に副島さんとお付き合いを始めたのかしら?」

安心したのも束の間。
末村さんの裏の顔、『所内一のゴシップ好き』が現れた。
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