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番外編

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静花のことを言えないくらい、ストレートな告白。
でも、さすがの真緒にも私の気持ち、届いたよね?

ダメ押しするように、頬に当てていた手をぎゅっと握ると、真緒は私の手を振り払った。

「─か」

「え?」

「どこまで俺を弄べば気が済むんですか!」

手負いの獣みたいな警戒感丸出しの真緒に、さっきまで醸していた甘い雰囲気が吹っ飛ぶ。

「何でそうなるのよ!?」

「…俺のことが好きだなんて、笑えない冗談だ」

「冗談なんかじゃないってば!

「じゃあ、何であの後何もなかったんですか?俺への態度も全然変わらなかったじゃないですか!!」

「ごめんってば。でも、最初から”今夜だけ”って約束だったから、困らせたくなくて」

「その癖呼び方だけいきなり変えるし」

「それは…そういう主義というか何というか…。真緒だけ変えないのは変かなって…」

「…つまり今まで寝た相手は全員名前で呼んでるってことですか?」

うっ。
そういうところだけはやたらと鋭いのに、何で私の気持ちは分からないのよ!

「やっぱり、そうやってに期待させるだけ期待させて…あなたが他の男を名前で呼ぶ度に嫉妬する俺を見て楽しむつもりなんでしょう?」

物凄く冷ややかな視線。

ハッキリ言ったのに、何で伝わらないの?
どうして私だけ責められなきゃならないの??

手も縛られたままで、イライラする。

「何よ、それ。そんなこと思ってもないわよ!真緒があのコ達に会うことなんか、ほぼないでしょう!?私なんて、毎日静花に嫉妬してたんだから!」

「嫉妬…?」

「そうよ!あの夜、真緒、最初全然反応してなかったのに、静花が隣の部屋にいるって言ったら急に元気になるし…あの後だって、静花の頸とかすごい見てるし!一番大切な親友なのに…静花のこの嫌いになりそうで…っ!だから真緒のことは忘れなきゃって、適当な相手とシようとしたのに、できなかったって。真緒が好きだからって言ってるじゃない!!」

さっきのストレートな告白の方がまだマシだった。

こんなこと言うつもりじゃなかったのに。
感情が昂ぶり過ぎて、涙まで出て来るし。
嫉妬まみれの、最低最悪の告白。

なのに、真緒はさっき払い除けた私の両手からシャツを解き、私の体をこれ以上ないほど優しく抱きしめた。
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