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運命の再会5
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本格的に読む体制(めがねにちょんまげ)を整えていると、電話が鳴った。
ディスプレイには、「お母さん」の文字。
どうせ今日のお見合いのことだよね。
無視を決め込んでいると、少しすると、着信音は途切れた。
でも、すぐに再びけたたましく鳴り始める。
その繰り返し。
こんなんじゃ、漫画に集中できない。
渋々通話ボタンを押した瞬間、通話口から母の金切り声が聞こえた。、
「奏音!?あんた何勝手にお見合い断ってんのよ!?」
第一声が、これ。
このテンション。
負けじとこちらも言い返す。
「は!?とにかく行くだけで良いって言ったじゃない!だから行くだけ行って、丁重にお断りしてきたんです!!」
「ちょっと奏音!羽立さんの一体何が不満なの!?顔だって絵に描いたようなイケメンで、おまけに背だって奏音より高いのよ!次もこんな超優良物件が来ると思ったら大間違いなんだからね!」
母の言葉に耳を疑う。
今、『次』って言った?
…ってことは…?
「えぇっ!?まだやらなきゃならないの!?お見合い…私、全然結婚願望なんてないのに!!」
まくしたてると、母が急に押し黙った。
そして、心底言いにくそうに切り出した。
「奏音…ごめんね。実は」
トーンダウンした母に身構える。
いつも高圧的な母が謝るなんて!!
もしかして、どこか体の具合が悪いとか!?
それで、一日も早く私の花嫁姿と孫の顔が見たいとか?
まだろくに親孝行もしていないのに、そんなのイヤだ。
固唾を飲んで続く言葉を待った。
「お父さんの会社の経営が、上手くいってないの」
「え?」
「銀行からも、もうこれ以上の融資は出来ないって言われてて…会社が生き残るには、奏音に、うちに出資してくれる可能性の高い家の人と結婚してもらうしかないのよ」
私の父は、祖父の代から続く機械部品を作る会社、いわゆる町工場の経営者だ。
家に隣接する小さな工場からはいつも金属加工機の音がしていて、父をはじめ、数名の社員たちが朝から晩までせっせと働いていていた。
危ないからという理由で、工場の中には、たまにしか入らせてもらえなかったけれど、その光景は私にとって懐かしくて暖かい、とても大切な場所だった。
母の話によると、うちの取引先の中では大口の会社が倒産したせいで、売掛金が回収できなくなったことを発端に、資金繰りが悪化したらしい。
平たく言うと、連鎖倒産の危機というやつ。
一瞬にして、目の前が真っ暗になる。
更に母は、絞り出すように続けた。
「このままだと、奏太が大学を中退せざるを得なくなるかもしれないの。だから、お願いします」
ディスプレイには、「お母さん」の文字。
どうせ今日のお見合いのことだよね。
無視を決め込んでいると、少しすると、着信音は途切れた。
でも、すぐに再びけたたましく鳴り始める。
その繰り返し。
こんなんじゃ、漫画に集中できない。
渋々通話ボタンを押した瞬間、通話口から母の金切り声が聞こえた。、
「奏音!?あんた何勝手にお見合い断ってんのよ!?」
第一声が、これ。
このテンション。
負けじとこちらも言い返す。
「は!?とにかく行くだけで良いって言ったじゃない!だから行くだけ行って、丁重にお断りしてきたんです!!」
「ちょっと奏音!羽立さんの一体何が不満なの!?顔だって絵に描いたようなイケメンで、おまけに背だって奏音より高いのよ!次もこんな超優良物件が来ると思ったら大間違いなんだからね!」
母の言葉に耳を疑う。
今、『次』って言った?
…ってことは…?
「えぇっ!?まだやらなきゃならないの!?お見合い…私、全然結婚願望なんてないのに!!」
まくしたてると、母が急に押し黙った。
そして、心底言いにくそうに切り出した。
「奏音…ごめんね。実は」
トーンダウンした母に身構える。
いつも高圧的な母が謝るなんて!!
もしかして、どこか体の具合が悪いとか!?
それで、一日も早く私の花嫁姿と孫の顔が見たいとか?
まだろくに親孝行もしていないのに、そんなのイヤだ。
固唾を飲んで続く言葉を待った。
「お父さんの会社の経営が、上手くいってないの」
「え?」
「銀行からも、もうこれ以上の融資は出来ないって言われてて…会社が生き残るには、奏音に、うちに出資してくれる可能性の高い家の人と結婚してもらうしかないのよ」
私の父は、祖父の代から続く機械部品を作る会社、いわゆる町工場の経営者だ。
家に隣接する小さな工場からはいつも金属加工機の音がしていて、父をはじめ、数名の社員たちが朝から晩までせっせと働いていていた。
危ないからという理由で、工場の中には、たまにしか入らせてもらえなかったけれど、その光景は私にとって懐かしくて暖かい、とても大切な場所だった。
母の話によると、うちの取引先の中では大口の会社が倒産したせいで、売掛金が回収できなくなったことを発端に、資金繰りが悪化したらしい。
平たく言うと、連鎖倒産の危機というやつ。
一瞬にして、目の前が真っ暗になる。
更に母は、絞り出すように続けた。
「このままだと、奏太が大学を中退せざるを得なくなるかもしれないの。だから、お願いします」
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